使用人の部屋と友達
(誰?)
「あの……ここって使用人部屋?」
「ああ、使用人部屋ね。えっと…ここの角を突き当たりに………。」
(同い年くらいの子……服も少し汚れてるし……もしかして…。)
「あなたもここで働く人?」
「…………えっ………ええ……そう、私ここの使用人になるために来たの。」
「私もなんだ……実家が小さな農場でね、お金がなくて……本当は王都にある学園にいきたかったんだけど……てあなた名前は?」
友達になれそうな使用人仲間を見つけて嬉しかったせいか、私はつい夢中になって話してしまった。
「私のことは…………リディーって呼んで。」
「私はプールス……よろしく。ところで……ここって……?」
「ああ、ここは書斎よ。お……領主様の仕事をする部屋。」
「どおりで大きい部屋だと思った。……実は私迷子になっちゃって……。」
「使用人の部屋でしょ?」
「何でわかったの?」
(すごい、考えを読み取る能力とか?)
「だって最初に言ってたじゃない。」
(あっ、そうだった。)
「うん、そこにいきたいの。」
「わかったわ。一緒にいきましょう。」とリディーは私の手ひいて連れていってくれた。
「ここが、使用人部屋!」とリディーは扉を開けて中をのぞきこんだ。
「うん、誰もいない。」といいながらリディーは中に入っていった。
(入っていいのかな?)
「プールス……誰もいないし…………入っていいのよ。」
「うん。」
リディーに促され私は恐る恐る中へと入った。
部屋のなかには、簡素な木のハンガーラックが数個とすみにきれいに折り畳まれた制服がおかれていた。
「制服はそこのなかからあったサイズのとっていくのよ。」
「そう。」(私は身長が小さい方だから……。)
「このサイズなんかどう?ピッタリだと思うのだけれど………。」とリディーは私のサイズを確かめるために折り畳まれた服を広げた。
(友達がいたら…こんな感じなのかな。)
私は村の子供と遊んだ経験者がほとんどなかった。
同世代の子供が5人しかおらず皆男の子だったし、私は家の仕事でずっと中にいたから接する機会がほとんどなかったのだ。
「うん、ピッタリ!これでいいと思うわ。」
「ありがとうリディー。」
「じゃあ、お礼に私のサイズも選んでよ。」
「えっ、私が?」
「うん、プールスに選んほしい。」
「わかった。」と私はいくつか使用人の服を広げ、リディーのサイズに合いそうなものを選んだ。
「これなんてどうかな?」
「うんと、どれどれ……………」
「ピッタリだと思うのだけれど……。」
恐る恐る手渡した服をみてリディーは笑顔で「うん、いいと思う!ありがとうプールス。」といってくれた。
その言葉が嬉しくて私もつい笑顔になった。
「どうしたのプールス。」
「うんうん、何でもない。」
「………それよりはやく着替えないと………。」
「シビアに怒られる。」と私達は急いで使用人服に着替えた。
今回もプールス視点です。プールスもういいよと思ったそこのあなた、もう2話程お付き合いください。
皆様が楽しく読めるよう、石田は脳をフル回転しております。
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