王都への準備
「えっと、着替えでしょ…それから……お母様が用意してくれた通行許可証に…プールスが焼いてくれたクッキー……あとは……。」
私が旅行の支度をしているのは王都にいく日程が決まったからだ。
(ハァー、花の都王都……有名なお菓子屋さんに専門店もたくさんどこからまわろう?)
「あくまで買いにくいのは学用品ですよお嬢様。」
「わかってるわよタルカ。少しだけ買い物したいなって思ってただけ。」
「今回私は買い物に付き添えないので………。」
「えっ?タルカもくるんじゃないの?」
(えっタルカに王都を案内してもらう計画だったのに。)
「あのなぁ、俺だって学用品を揃えなきゃいけないし、王都にいくなら寮の準備もしたいし…。」
「えっ?じゃあ私の付き添いは?」
(だって領主のお父様は無理だし…まさかお母様……ってことはないか。だってお母様貴族の人たちとの話し合いがあるって言ってたし。)
「お前の付き添いはもう決まってる。俺の母のアルセーラと従者のシャレアンテ、護衛のロジエールで3人だ。」
「3人!?」
(…もっと参勤交代のような大移動をイメージしてたのに……なんかちょっとガッカリかも。)
タルカはふぅ~とため息をつきながら私の頭を撫でた。
「俺も王都で合流する予定だし……学用品を買ったらすぐにお前のところにいくから大丈夫だって。」
「少し不安……。王都ってどんなとこ?」
「うーん、イレーヌの興味が掻き立てられるとこ?」
(曖昧な表現……でも案外あたってたりして………。)
「学用品ってどんなものを買うの?」
「だいたい学園から手紙がくるんだ。」
「えっ……2年も前に!?」
「いや……でも毎年買うものはだいたい決まってるからある程度わかるんだよ。それに奥さまのことだからあらかじめ学園に問い合わせしてるんじゃないのかな……。」
(そんな感じなんだ……なんと曖昧な……。)
「で、どんなものを買うの?」
「まずは杖だな。自分の魔力に合う杖を選び……血の契約をおこなう。」
「それって…痛い?」
「いや、少し血をとるだけだからそんなに……チクぐらいかな……。」
(………やっぱり痛いのね……。前世でも注射は嫌だったし……なんか気が重いかも……。)
「それから、魔性石でできた印鑑。」
(ああ…お父様が使ってたあれね。)
「それも血の契約?」
「ああ、あとは魔力の登録なんかもやる。」
(やっぱりここでも血なのね。)
「嫌だなって顔だけど、契約魔術をおこなうときに印鑑は必須だぞ。」
「わかってるって。」
「魔術契約にも色々と種類があって……ってそれは学園でも習うからいいとして……。」
「それ以外は?」
「教科書類とかあと制服とか……かな。」
「へぇー。」
(以外と日本の学校と変わらないのね。)
「ねぇ、タルカはどんなものを買うの?」
「俺かぁ………」とタルカは空を見ながら指を折り曲げ数えるようなしぐさをした。
「新しい教科書と魔木から作られた紙、それから魔性石とあとはてに入りにくい薬草類かな。」
「もう買うものは決まってるのね。」
「ああ、休みに入る前に学校で買うものリストをもらうんだよ。」
「でも以外と買うものが少ないのね。」
「いや、教科書を手に入れるためにいくつもお店をまわったりすることもあるから大変なんだよ。」
(早い者勝ちとかあるのかな……?)と私は前世のバーゲンセールのニュースを思い出していた。
王都への旅行楽しみですね。イレーヌの好奇心はまだまだつきないと思います。次回は、シャレアンテが登場します。
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