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下町へ

自室に戻ると、側仕えのタルカがお茶を入れてくれた。タルカは私より5つ上の10歳できれいな藍色の髪が特徴的な美男…男の子だ。



「ありがとう、タルカ。」

「いえ、それより午後からはどうなさるのですか?」

「どうって…。」(領地見学もかねて、下町に…)

「下町に行くなら、マナーの勉強をと奥様はおっしゃっていましたよ。」

「それは、わかっているよ。でも…。」(死刑は嫌だし…。)

「ハァー、そんな子犬のような目で見てもダメだぞ。お前のことを考えていってるんだからな!」

「少しだけ、お願い。」

「…」

(タルカは、私に甘いって知ってる!)



私は以前下町にいったときに買った平民の服を着て、タルカと一緒に城の裏門から町へと向かった。



「やぁ、嬢ちゃん今日はお使いかい?」

「リデルさん、今日は何かオススメは?」

「今日は、リクの実がオスメメだ。」

リクの実は、前の世界でいうミカンに似た甘い果物だ。

(美味しそう…)

「リクね、それ5つちょうだい。」

「ハイよ。50シリングだ。」

「はい、ありがとう。タルカ、はい。」

「ありがとうござ…」

(ここでは、従者じゃないんだから…)

私が軽く咳払いをしながらタルカを見た。

「ありがとうリディー」とタルカはなれない口調でそういった。



最初来たときに、下町のみんなはよそよそしく振る舞った。なんかビジネスライクって言うか、よそ者を受け付けない感じだったのだ。だから私は下級兵士で、平民の娘という設定を考えた。名前も本名のイレーヌではなくリディーと名乗っている。その方が、親しみを感じると思ったし騎士は城での門番の任務があるから出入りしやすい。護衛でついてきているタルカは、私の兄のということにしている。



「イレーヌ様今日はどこに行くつもりですか?」

「イレーヌ…誰のことかしら、タルカ兄さん。」

(せっかく作った設定を台無しにしないでほしい。)



以前は私一人で下町に出掛けていたが、護衛のためにタルカが同行するようにお父様からお願いされた。

(お父様は、心配性なんだから…。)



「今日はね、ナティーさんのお店にいってこれから、ナラクじいさんのところにハマカさんからお願いされた薬を届けに行くの。」

「ナラクさんは知っているが、ナティーさんとは?」

「ナティーさんは、外国の品を扱っている商店をしているひと。」

「いつの間にそんなに知り合いが…お前俺がいない時に出掛けていないだろな。」

(一人で自由にどこまでも行けたら良いなぁ。)

「してないよ!そんなに暇じゃないしね。」と私はタルカに向けて微笑む。そして、タルカの手を引きながらナティーの店に向けて走り出した。









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