キャラバン
「ありますよ感謝祭。」
「えっ…あるの?」
「ええ、王都より少し規模は小さいですが…。」
感謝祭とはバレンタインデーとホワイトデーを一緒にしたようなイベントで相手に感謝や自身の思いを伝えるイベントのことである。
(そう!王都の感謝祭で王子がヒロインに指輪を渡してプロポーズするのよ…ロマンチック!)
「タルカは今年どうするの?」
「…母上や父上にあげるぐらいですかね…。」
「へぇー、そう。」
(私も周りの人にあげるつもりだし…。)
「そういえば、使用人の一人が今度キャラバンが東方からやってくるっていってたな。」
(キャラバンかぁ…毎年この時期に来るもんね!)
「お嬢様?」
「タルカ…少しだけキャラバンを見てまわれないかしら…?」
「それはお嬢様の心がけ次第かと。」と言ってタルカはドアの方を見た。
(お、お母様。)
「イレーヌ…キャラバンを見に行きたいなら、御披露目のお稽古を頑張りましょうね!」
(うわ、目が笑ってない。)
「はい、わかりました。」
私はその日から毎日お稽古をがんばった。
(歩き方や食事の作法、バイオリンの練習覚えることが多すぎて頭がパンクしそう。)
「よく頑張りましたね。ここ数日のあなたは夜遅くまでレッスンをおこない…本当に母はうれしいです。」
「お母様。」
その時、私は普段怒ると悪魔のように恐ろしいお母様が、天使のつかいのように見えた。
(今日の晩御飯がよほど美味しかったのかしら?)
「なので、キャラバンを見に行ってもいいですが、キャラバンが来るときは人通りも増え犯罪がおこるとも聞いています。なので……護衛を新しくつけようかと思っています。」
「護衛ですか?」
「ええ、中央でも活躍していた方です。入っていらして。」と母が呼ぶと屈強そうな男性が一人入って来た。
「イレーヌお嬢様、お初にお目にかかります。私、ロジエールともうします。」
「こんばんは。」
「明日、キャラバンを見に行くときは、必ずこのロジエールを同行させること…いいですね?」
「はい、お母様。」
「それでは……明日もあるからもうおやすみなさい。」
「はい、お母様。」
「姫様、良い夢を。」
「あなたもねロジエール。」と二人は私の部屋をあとにした。
「やっと一日が終わった。お嬢様って疲れる。」
(ここ数日頑張っただけあってお出掛けの許可ももらったし…何買おう?……何か忘れているような…まぁ必要なら思い出すよね!明日が楽しみ!)