紅茶とレッスン
手を綺麗にしたら、ラニーさんが冷たい飲み物を持ってきた。
「ロゼのはなの砂糖づけが入った紅茶さ。」
「冷たくて美味しい!」
「冷やしておいたから、美味しいだろう。」
「これも商品化できたら…。」
(儲かるんじゃない?)
「これは作るのに少しコツがいるし、手間がかかるから…今はいいかな。」
「そうなんですか…残念です。」
「まぁ、機会があればいずれ……ね?」とラニーは少し苦笑しながらそういった。
「そうですね。」
「リディーちゃん、タルカ君今日は本当にありがとう!」
「いえ、ハマカさんこそ…それに楽しかったよね?」
「ああ。少し疲れたけど。」
(タルカは探索魔法使ったから…。私も魔法を使えるようになりたい……。)
その後は、ラニーやハマカと別れて城へと戻った。
「タルカ……今日は付き合ってくれてありがとう。」
「いえ、従者として当然です。」
(無理させちゃったし……今度タルカにお礼しないと。)
「お嬢様お帰りなさいませ。早速ですが…」
「レッスンね。わかっていますアルセーラ。」
(これはお父様との約束だから!)
私は夕食後にレッスン着に着替えて、レッスン室へと向かった。
「来年度御披露目を行いますから。それまでにこのレベルはひけるように。」
「来年!?2年後ではなくて?」
「何をいっているのですかそれでは入学に間に合いません。」
「入学?」
「領主の娘は7歳までに御披露目を終えて、王都にある学園に入学するのが慣例です。…そのために学園入学前に御披露目を終えなければなりません。説明したでしょ?」
「いえ、聞いていません。」
(ゲームは入学してからのスタートだったし…)
「では今言いました。他の貴族たちと日程を合わせなければなりませんし……そのために今から必死になって練習をしなければなりません。」
私は必死になって考えたが、どう考えても時間的に無理だと思う。(……やばい…御披露目まで時間がない。)
その日、私は死に物狂いで課題曲を練習した。
(なんか夏休み最終日みたい…そういやぁ前世の夏休みもこんな感じで宿題に追われていたっけ…懐かしい。)
「結構、今日みたいに一生懸命練習してくれると助かるのだけれど…。」
「はい!がんばります。」
(御披露目に失敗なんてしたら…王子からの処刑の前にお母様から殺されそう…いろんな意味で……。)
「どうしたの?急にやる気をだして……。」
指導しているお母様はうれしいような心配するような少し複雑な顔をしていた。
(急にやる気を出したのはよくなかったかな?)と考えながら、私はお風呂に入り汗を流した。
(ふぅー。やっぱり疲れた時はお風呂だね!癒される!極楽…極楽…だけどこの世界にシャワーがないのはね……魔法で作れないかしら?)
それからアルセーラに用意してもらった寝間着に着替えてベッドへと勢いよくダイブした。
(今日は色々あって楽しかったけど…疲れた。御披露目まで時間ないし頑張らないと。)
「そういえば……タルカになに送ろう?」
(前世のイベントでは感謝祭っていうのあったけ?それって、王都限定のイベントなのかしら…明日タルカに聞いてみ………。)
よほど疲れていたのか、私はその後すぐに眠りについた。