職人街
私たちは、ハマカからもらった地図をもとに職人街へと向かった。
(職人街へなんかいくのはじめて…ちょっと楽しみ。)
今まではお城のある貴族街と商業施設の立ち並ぶ高級店街、市場や領民が暮らすA地区と貧民街以外はいったことがない。
「なんかワクワクしてませんか?」
「いいえ。」
「いいですか、我々は仕事であって遊びじゃないですからね。」
「わかってます。」とタルカの小言を聞きながら、地図をたよりに職人街に向かう。
(なんか人が多くなってきた。)
職人街は高級店とは違いレンガずくりのお店が多く軒を連ね、看板を見ただけで何の職人かわかるようになっていた。
(こっちは家具…こっちは蝋かな?絵でわかるって面白い!!)
「あれ…リディーさんとタルカ君?」
「ナティーさんなんでここに?」
「お店の棚が壊れたから修理をね…ここのリオッネル家具工房は古くからの付き合いなんだ。」
「へぇー、商人の人も来るんですね。」
「ああ、買付とかにね。注文とかもするし。」
(さっきから職人ぽくないひともいるなぁなんて思ったけど…そう言う理由だったんだ。)
「ところでリディーはなんでこんなところに?」
「あっ、えっとねガラス瓶を買いに!その中にローズウォターが入ったらきれいかなって。」
「そうだったんですね。ということは試供品はもう?」
「ええ、すでに薬師のハマカさんの力を借りて…。」
「ハマカ…ってハマカユスフィネルのことですか?」
「ええ、そうですよ。」
(あれいってなかったけ…。)
私はそばにいたタルカに視線を向けたがタルカは気づいていないようだ。
「ハマカさんてすごい人なんですか?」
「ええ、王都の学園で最優秀になんども選ばれ、王都の宮廷薬師の道を望まれたにも関わらず自分は田舎ものなのでと断ったすごい人ですよ。」
(ハマカさんてそんなに優秀だったの…。)
「そうだったんですね。」
「これは、ますます商品が気になります。試供品ができたら必ず連絡してください。」とナティーさんは私の手を握った。
(ナティーさんのようなイケメンに手を握られると…ドキドキしちゃう。)
「うっ、うん。リディーそろそろ。」
「あっ、そうね。ナティーさんごめんなさい次の予定があるので。」
「ああ、ごめんなさい。」と言ってナティーさんは握っていた手をはなした。
「いえ、それでは。」
私たちはナティーさんと別れさらに奥へと進んだ。
「ここね。」
地図に示されたお店の看板には「サラエガラス工房」とかかれた文字と一緒にガラス細工だろうかきれいなステンドグラスのような絵がかかれていた。
「すみません。」
(うわー、すごい。)
レンガ作りの建物のなかはすみにサンプル品が飾られた棚があり、真ん中には大きな炉がおかれていた。
(あの炉で作業するのかな?もっと色々見たい!)
「おい、そこで何をしてる?」