アレクセイとソフィア
「ここかしら?」
地図をたよりについた先は、ボロボロで天井も隙間だらけの掘っ立て小屋だった。土壁でできているせいかあちこちがポロポロと崩れている。
(本当にこんなところに人がすんでいるの?騙された?)そんなことを思いながら扉に近づくと中から声が聞こえた。
「……アレクセイ…また無理をしたの?」
「いいや。」
「まさか、また盗みを?」
「これは……優しい人が譲ってくれたんだ。さぁ、食べて、少しでも栄養をつけなきゃ。」
(ここからだと中が見えない。)と扉を少し動かすと、扉の金具が錆びていたのかギイーと音がなった。
「誰だ?」
「ごめん、驚かすつもりはなかったの。」と言いながら私は小屋の中へと入った。小屋の中は一人用の木のベッドと椅子が一脚あるだけの簡素なつくりだ。
(こんなところに…。)
「お前は…なぜここがわかった?」
「それは…。」
「アレクセイ…どなた?」
「…ソフィアは気にしなくていい…外で話そう。」
といってアレクセイは私たちを外へと連れ出した。
「ここに来たのは…金が目的か?どうやっておってきた?衛兵はいるのか?」
「お前はやたらと質問攻めにするんだな?」
「タルカそんなに睨み付けないで…。」
「すまない。」
「お前は、その子の言いなりだな。」
(まぁ、立場上私の方が上にあたるから…。)
「あなたはあの子と二人で住んでるの?」
「ああ、だからなんだ。」
「あなたのその耳の形…不自然な形…あっあなたあの広域強盗団の一味でしょ!」
「広域強盗団!?」
「ええ、商業ギルドに手配書があったの。特徴は耳の傷…。あなたのその耳と似ている…。」
「すぐに衛兵を。」とタルカは私とアレクセイの間立ち杖を構えた。
「待て、ここに仲間はいない。本当だ信じてくれ。」
「それも本当かどうか…。衛兵を呼ぶべきです。」
「…………確かに………強盗団で働いていた時もあった。だが………。」
「それがなぜこんなところに?」
「……。」
「言わないなら…衛兵を…。」
「タルカ…脅すようなことはしてはダメよ。それに……何か事情があるんでしょう。」
アレクセイは黙ったまま真剣な面持ちでしたを向いた。
(気にかかっているのは…あのこの子とかしら…。)
「あの子…ソフィアさん?私と同い年くらいかしら?」
「お前には関係ないことだ。」
「……手助けができるかもしれないから。」とそっとアレクセイの手を握ろうとした。
「さわるな…俺に。」
「痛っ。」
「なぜ関係のないお前が俺たちを助けようとするんだ?」
「リディーはお節介なんだ。手大丈夫か?」
「ええ怪我はしてないわ。」
「例え偽善者だろうが神だろうが、お前に答える義理はない。」
(これ以上の質問は無意味ね。)
「何かあれば、城の衛兵にリディーに会いに来たと伝えて、わたしは兵士用の寄宿舎にいるから。」
「……。」
「いきましょうタルカ。」
「いいのか?」
「ええ、伝えることは伝えたから」と私たちはその場をあとにした。
「あの状況…普通であれば、衛兵を呼ぶべきです。」
「ええ、でもタルカ彼が捕まったら彼女はどうなるの?」
「しかし、やつを見逃せば強盗団は…。」
「彼は仲間はここにいないと言ったのよ、それに病気の彼女をつれて出ていくとは思えないし。」
「彼の戯言を信用するきですか?」
「ええ、私は彼が嘘を言ってるようには見えなかったし、それに…」
(悪い人に救いの機会を与えることが悪いことなのかしら…だとしたら…悪役令嬢である私も…いつかは。)
「それに…?」
「信じて見たくなったの幼いあなたが自らの剣に私を守ると誓ったあの日のようにね。」
「……。ごまかさないでください。ちょっとイレーヌ?」
「さぁ、ハマカさんのところにいくわよ。」
「ちょっと、待ってください。」
今回のイレーヌの決断がどうなっていくか見ものですね!まさにマーフィーの法則かも…(テレビで紹介されていたので…頭よく見えるかなと…すでに痛いやつかも…。)次回もお楽しみに!!