タルカのお見合い
今日はちょっと視点をかえてタルカの話を書きました。この話は2話構成になっています。この前の話の続きは別の日に書こうと思います。楽しんでくれたらうれしいです。
「タルカお前もそろそろ婚約者を探させねば。」
「まだ、いいですよ父上。私はまだ10歳になったばかりですし…。」
「良家のお嬢さんは早めに婚約しておかねばならいから…私も苦労したものだ…。」と父はうんうんと頷きながらしみじみとそういった。
「ですが…。」
「今すぐとはいっていない…いい相手はいないのか?」
「いい相手…いないですね。」
「それじゃあ…こちらでお見合いの相手を探してみるから…。」
「えっ、お見合いですか?」
「あぁ、必要なことだろう?」
「ええ、でも…。」
「どうした?」
「お見合いをするのは構いませんが、条件があります。」
「なんだ言ってみろ。」
「一つ目、身元が確かな者。二つ目、次期領主のイレーヌ様にお仕えできるもの。この二つですね。」
「わかった。探しておく。」
「お願いいたします。」
(まぁ、あのやんちゃ姫にお仕えできる人はそうそういないけど…。)
俺が、現在の主でいとこであるイレーヌお嬢様とあったのはイレーヌが0歳で俺が5歳の時だった。
「タルカ、こちらがお前がお仕えするイレーヌ様だ」
(笑顔がかわいい女の子だ…この子は俺が守らなくちゃ。)
そのときは、思っても見なかった。とんだじゃじゃ馬姫だったんなんて。姫は4歳から城の図書館にこもっては、本を読み興味を持ったことがあれば試していた。お皿を割ったり城の窓ガラスを割ったり。挙げ句のはてには、城を抜け出し貧民街にまで通う始末だ。
奥様や領主様から頼まれているのだから付き合わなくてはならない。
(お供するこちらの身にもなってほしいものだ。)
数日後に、父がいくつかの縁談話を持ってきた。
「いい縁談話が10件もどれがいい?」
「父上…。」
「この子はどうだ?あの名門、キャピュレット家の三女で、お前と年も近い。」
「父上、生涯付き添う者を選ぶのです。一度あってみたいです。」
「…まぁ…それもそうだ。席を用意しよう。」
「ええ、お願いします。」とため息混じりの返事が聞こえないかのように父は意気揚々と部屋をあとにした。
(乗り気じゃないお見合いだ、性格の不一致で断ろう。)
「お嬢様にも気づかれないようにしないと。」
(お嬢様が入るとまた面倒なことになるから…。)
それからまた数日後に父が側仕えと一緒に俺の部屋に入ってきた。側仕え達はきれいに畳まれた服や新品の靴を持っていた。
「タルカ、日程が決まった。」
「もうですか?」
「あぁ、先方が乗り気でな。お前の服もほら。」と父は側仕えに新品の服を広げさせた。
「はぁー、わかりましたよ。イレーヌ様の面倒を誰かに頼まないと…。」
「それは必要ない、イレーヌ様はこれからお披露目の準備をおこなうそうだから…男のお前では、いても意味ないだろう?」
(確かに…男の子と女の子のお披露目は違うと聞くが…。そこまで確認済みとは、父上の本気度が伝わる。)
「じゃあ、よろしく頼んだぞ。」
「わかりました。」
(これは、性格の不一致だけだと難しいかもしれない。)