ギルド長
「連絡していたよりも、はやかったな。」
「ええ、裏道を使ったので…。」
「で、今日はなんの用だ?子供までつれて。」
「私の子供じゃないですよ。」
「そんなことわかってる。そもそも、お前は未婚だろう、うん?」
「ええ…喧嘩売ってます?」
「なんでそこで喧嘩の話になる?まぁ…あんな小さい店の婿養子になりたい変わり者がいるかは知らんがな。」
(うわー、明らかに嫌な雰囲気。)
「それで…わしに嫌みを言われに来たのか?」
「ああ、ギルド長なら硝子細工を行っている工房をご存知かなっと思って。」
「ああ、いくつか知っているが…何をするきだ?」
「今は言えません。」
「なぜだ?」
「前にしたことをお忘れになったんですか?」
「前…いつのことだ?」
「はぁー、そうやってしらを切るおつもりで…。」
(ハマカさんが珍しく怒ってる…雰囲気最悪⤵️⤵️)
「あの…ハマカさん硝子…。」
(あっ、タルカが果敢に飛び込んだ。)
「…っそうだったわね。硝子工房を紹介してくれるの?」
「紹介するのはいいが…ハマカ…わしの店に来い。」
「またそんなこといって…絶対に嫌!」
「じゃあ取引はなしだ、どうする?」
(うわー、明らかに嫌なニタニタ顔…意地悪そう)
「…そんなこと言っていいの?」
「どういうことだ?」
「これあげようか迷っていたんだけど…。」とハマカは小瓶を取り出した。
「これは…。」
「そう、あなたがほしいって使用人に探させていたハマカ特性のブレンドティー。どう…取引する?」
(あっ、ハマカさんが笑った。)
「……キャラアそこにいるか。」
「はい、なんでしょうか。」
「サラエの工房の場所を教えてやれ。」
「わかりました。」
「取引成立ね。」とハマカは笑顔で小瓶を渡しながらギルド長の部屋を出た。
(うまくいった。あのとき、ハマカさんが言っていたのはこのことだったんだね。)
「サラエの硝子工房はここをまっすぐ行った職人街にあります。地図をお書きしましょうか?」
「いえ、職人街はわかるから大丈夫。」
「では、今ギルド長からの紹介状を持ってまいりますので、一階のロビーでお待ちください。」
「ええ、ありがとう。」
私たちは、一階のロビーに行き、そこにあるお客様用の椅子に腰かけた。
(これで…うまくいくはず…。)
「……ハマカさん?」
「あら、ギル…久しぶり。」
「ハマカさん、この人は…。」
「ああ、あのギルド長の三男のギルよ。」
「はじめましてかな?よろしく。」
「よろしくお願いします。」
(そういわれてみれば、目元が少しにているような…。)
「ギル、肩が少し汚れているわよ。」
「どこ?」
「ここ。」とハマカはギルの肩ついた汚れをはらった。
(うわ、ギル顔真っ赤!…ひょっとして…)
「あっ、ありがとう。」
「どうしたの?急に顔を背けて。」とハマカはギルの顔を自分の方に向けた。とたんにギルが何かをこらえるようにプルプルと震えだした。
「……。」
(うわ、ギルの体がプルプル震えている。これは間違いない。)
「あっ、あの…ハマカさ…。今夜…しょしょしょく」
「あの、ハマカ様紹介状ができたのですが…。」とキャラアが申し訳なさそうに声をかけた。
(えっ、せっかくいいところだったのに…。)
「あっ、そうありがとう。じゃあね、ギル。」
ハマカはキャラアから紹介状を受けとるとギルに背を向けてギルドを出ていった。
「ハマカさん…。」
(なんか、おあずけをくらった犬みたい。)
ギルは肩をおとしたまま、二階に続く階段をとぼとぼと昇っていった。