商業ギルド
蒸留水をビンに詰め終わると私たちはハマカさんと一緒にラニーの農園をあとにした。
「あの、私たち商業ギルドにいくの初めてなんですけど…遠いんですか?」
「うーん、そんなに遠くないわ…裏道知っているから。」とハマカはにいっと笑った。
(なんか嫌な予感…。)
私の予感は的中した。体が入るギリギリの隙間を通ったり、お店の裏を通ったりしながら表通りへとつながる道を歩いた。
(結構歩いたような気がするけど…。)
「あっ、あの、ハマカさん?」
「あと少し、そこの角を曲がればすぐだから…大丈夫?」
「俺は…ただリディーが…」
「わ、私も歩き疲れてなんかないもん。」
「おぶってやろうか?」
「子供扱いしないで…。」
「兄妹っていいわね、私一人っ子だったから…」
(本当の兄妹じゃないんだけど…)
「さぁ、ついた。ここが商業ギルドの本館よ!」
「やっと、ついた…。ってここ?」
(ここって…ナティさんの店のすぐ近くじゃない?まさか、高級店が立ち並ぶところにあったとは…)
見た目は役所というより高級ホテルのような外観で一般の人は入りにくそう外観だ。
「ここの、持ち主が前のギルド長で、好きに使っていいってことだったから…やっぱり…入りにくい?」
「…うっ、……はい。」
「でも、そんなこと言っても仕方が…。」
「タルカ君の言う通り…いきましょう。」といって私たちは、ホテ…商業ギルドの中に入った。
「うわー、すごい。」
商業ギルドの中は、お城ほどではないものの高級そうな家具に美男美女のスタッフとまるで別世界の空間だ。
「リディーちゃん、離れないでね。」
「あっ、はい。」と私たちはギルドのカウンターに向かった。
「おや、ハマカ様ではありませんか?」
「ニースさん、お久しぶりです。」
「お久しぶりですね。今日はどのようなご用件で?」
「ガラナラクさんに用事があって来たんですが…。」
「お約束などはございますか?」
「ええ、先ほど水鏡の魔法で会う約束をしました。」
「作用でございますか、確認をとりますので少しお待ちください。」と男性は自分の杖を取り出し丸い装置に杖をあてた。
「うん?ニースかなんのようだ。」
「受け付けにハマカ様がいらっしゃってますが…。」
「ああ、通しても構わん。」
「わかりました。ということですので…。」とニースは後ろにある階段をさして三階へ上がるように言った。
(さっ、三階か…。)と私は絶望的な気分になりながら、階段を登った。
「ガラナラクさんには、私が交渉するから…二人はとりあえず挨拶だけね。」
「はぁ、はぁ、わ、わかりました。」と私が息を切らしながら登る横で、二人は涼しい顔をしながら三階へと登った。
(少し、運動をしなきゃダメかも…。)
三階へと登ると階段のすぐ横にギルド長の部屋があった。(ここがギルド長の部屋…ギルド長って看板で貼ってあるのが少しツボ。)
ハマカさんは息を整えたあとに身だしなみを整え、四回ほどノックをした。ハマカが身だしなみを整えるのを見て、タルカと私も身なりを整えた。
「はい、誰だ?」と奥から年老いた男性の声がした。
「ハマカです。入ってもいいですか?」
「ああ、入ってこい。」
「失礼します。」と言って入ったハマカのあとに続くようにして、私とタルカも中に入った。