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蒸留水と商業ギルド

「そろそろできた頃合いかしら?」そう言うとハマカは席を立ち、火にかけた鍋に向かった。

「うん、ちょうどいい具合ね」



(…?あの小瓶なんだろう?)

「あの…ハマカさんこれって…」



「ああ、この小瓶に蒸留水を移すのよ…よっと…」

といいながら、鍋の中から器を取り出しひとつずつ瓶の中にいれていった。



「これで完成…。あとは、どうやって値をつけるかだけど…」(この瓶だと…ナティーさんのお店に置くには…。)



「あの…ハマカさん…瓶にリボンをつけるのはどうでしょう?」

「リボン?」

「ナティーさんのお店は高級店ですし…リボンをつけたり、飾り瓶にいれたりすれば…もっと高く売れます。」



(みんなに利益を出すなら、値段もある程度必要…。)

「でも、私薬品用の瓶はたくさんあるけど…飾り瓶なんて……」

「ハマカ、じゃあガラナラクにあたってみるよ。」

「ガラナラクって?」

(そんな人ゲームにいたっけ?)



「商業ギルドのギルド長をやっている、問屋のじいさんさ…。頑固だが、面倒見がいいやつだよ。」

「でも、おばさん…ガラナラクさんは」

「いいんだよ、ここまでやってくれたわけだし…」



(何かあったのかな?)

「あの…何かあったんですか?」

(えっ、タルカそれ聞いちゃう?)

「……実は、ガラナラクさんは頑固だから一度違うって思ったら聞き入れてくれないの…」

「つまり…?」

「つまり、ガラナラクが納得するように話す必要があるってこと。」



(うわ、めんどくさ、会社員時代もこういう人いたけど…非常にめんどくさい。)

「リディーちゃん、明らかにめんどくさいって顔に出ているわよ。」とハマカさんがくすと笑った

(…顔に…)

「リディー、お前明らかにショックうけてるだろ」

「なっ…」

「あなたたちを見てたら元気が出たわ、おばさんガラナラクさんのところは私がいく。」

「でも…。」

「まかせて、作戦があるから…。」

「……わかったよ。いついくんだい?」

「とりあえず…」



(……領主になるなら商業ギルドの知り合いがいた方がいいよね…)

「あの、私たちもついて行っていいですか?」

「リディー?」



(資金がないと会社がまわらないように、お金は大事!領地経営がうまくいくのは商業ギルドとの関係も重要なはず)



「リディー……少しこっちへ」

(うわ、タルカの笑顔が…怒ってる?)

タルカは私の服を引っ張って建物の裏へとつれていった。



「ごめん、タルカ…でも会っといて損はないから…」

「だめです!…奥さまとの約束が…。」

「ごめん、でもこの機会を逃すとダメな気がするの」

「ハァーわかりましたよ。」

「本当に…?」

「ええ、あなたはわたしがダメだと行っても一人でいこうとするでしょ…ならばまだ目がとどく方がましです。」



(うっ…あたってる。)

「奥様に手紙を書くので少し待っていてください。」というとタルカは自分の杖を取り出し、胸元に入っている薄い紙を取り出した。



「えっ、タルカも杖を持っていたの?」

「ええ、学校の授業で使いますから…センテンス」と呪文を唱えると紙に黒いインクのようなものが染みでて文字のようなかたちになった。

(すごいタルカ、魔法使いじゃん!)



「面白がってませんか?」

「そんなことないない、次はどうするの?」

「これを、造形魔法で思い描いたかたちにします。キュビスム」



(すごい、あっという間に紙が鳥のかたちになった。)

「それで…?」

「奥様宛なので、見られないよう血による封じを行います。」

(えっ、血って?まさか…)



タルカは服のズボンからソーイングセットのようなものを取り出し、針で指に傷をつけるとその血で鳥の足にぐると印をつけた。



「これで、宛先にかかれた人物以外は手紙を開けなくなります。」

「えっ、無理に開こうとしたときは?」

「手紙の文字が消える仕組みになっています。暗号とかでよく使われる魔法です。」

「ふぅ~ん。」

(面白い…面白い!)



タルカは私と話している間に、指に止まっている小鳥に向かって、「ウイング」と魔法をかけると鳥はどこかに飛んでいってしまった。



「お母様のところ?」

「ええ、あなたが何かをする際は伝えなさいといわれていたので…ハァー」

「苦労してるね。」

「誰のせいですか、誰の。」

「怒らないで…」

「あの…リディーちゃんガラナラクさんに会う時間が決まったんだけど、どうする?」

「は、ハマカさん…もちろん行きます。」



(うわ、ビックリした。)

「じゃあ、残りの蒸留水も瓶につめちゃいましょうか。」

「はい。」


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