紅茶と農園
「…?」
「ああ、これはね…」とハマカはバスケットの中からポットとカップを取り出し、空中に杖で円を描きながら、「ヴァッサー」と唱えた。
(すごい、水が…)
杖から放たれた水は球体のような形になり、ふよふよと浮いている。
「これをね、こうするの…。」とハマカはポットにむけて、ゆっくりと杖をふると水が吸い込まれるようにポットに入っていった。
(すごい、普段お城であまり魔法は見ないから…。でも、何でお城では魔法は使われないんだろう…?)
ハマカはバスケットから紅茶のティーバックをとりだしポットに入れると「コーザ」と唱えた。
「ハマカさん今のって?」
「ああ、コーザは飲み物を温める魔法よ。あまり使わない魔法かな。さぁ、できた!ハマカ特製ジンダーティーよ。」
(うわー、きれい…。)
薄いオレンジ色の紅茶が、白い陶器のカップによくはえとてもきれいに見える。
「ハマカさん、とてもきれいですね!」
「そう、それは良かった!まだ、気温が低いから体を温める効果のあるジンダーの実が入った紅茶にしたの。」
「確かに、少し肌寒いから助かるよ。それに、ハマカのハーブティーは美味しいから何杯でも飲めるし!」
「おじさんてば、お世辞言い過ぎ…」
「でも、本当に美味しいですよ!」
「ああ、リディーの言う通り。」
「ありがとう、みんな。」
「ふぅーやっと終わった。」
「ああ、おばさんお疲れ様。」
「おや、ハマカのハーブティーじゃないか。私にも一杯くれるかい?」
「ええ、もちろん!それより、おばさん収穫の方はどうなった?」
「もちろんすべて収穫したよ。端正込めて作ってるから、からすわけにはいかないしさぁ…」
あとからハマカさんがこそっと教えてくれたが、どうやらラニーの農園はこの地域の品評会で最優秀をとったことがあるらしい。
「おばさんらしい。」
「ラニーは花のことしか頭にないから。」
「私は好きなんだよ…この景色も、この農園も…。ここは私の父が唯一残してくれた農園だから…守りたいんだ。この景色も、この農園もこの子の代まで…。」とラニーはそばで遊ぶ、息子の頭を撫でながらそう言った。
(そんな…思いが…)と少し胸が熱くなった。
「ロゼの花言葉は純愛だしね。きっとラナーサおじいさんの思いも…。なんか…暗くなったね、あっ、そう言えば私お菓子を作ってきたの、みんな朝食べてないかなって…リゴの実のパイ」とハマカはバスケットの中から、アップルパイのようなものを出した。
(うーん、美味しい!ジューシーで甘酸っぱいリゴの実がサクサクのパイとよくあって、最&高、最高⤴️⤴️)
ハマカのハーブティーとパイの組み合わせは最高で、幸せなひとときだった。