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農園にて

次の日もレッスンは続いた。

(気のせいか…お母様のダメ出しも少し減ったような気がする…。)

「イレーヌ…以前よりはましになりましたね。」

(これは…よくやったってことなのかな?)

「うっうん、まだまだ、お稽古は必要ですよ。」と咳払いしながら言うお母様の顔は少し耳が赤くなっていた。



一日中立ちっぱなしでのレッスンが続いたせいか、部屋に帰ると倒れこむように眠りについた。



「お嬢様…おはよ…ご…起きてください。」

(うっん?タルカの声が聞こえる…。)

「お嬢様、おはようございます。起きてください。」

「うーん、タルカ…おはよう。」私は大きく背伸びをしながらタルカに話しかけた。

「おはようございます。本日はハマカさんとの約束の日ですよ。」

「うん、わかってる。」



(この日のためにレッスン頑張ったんだから…。)

私達は朝食を済ませるとボロい古着に着替えて下町へと向かった。

「やっとこの日になったね。」

「ああ、おれも楽しみだったから…。」



私達は人通りが多い中央の道を抜け、ハマカの薬剤店に向かって走った。

ハマカのお店につくと、大きめのカゴバッグを手に持った作業着姿のハマカが店の奥から出てきた。



「おはようございます!」

「おはよう、リディーちゃん、タルカ君!」

「今日は…、」

「うん、ラニーおばさんの農園にいく日ね、ついてきて。」



私達はハマカさんのお店の横にある細い道をとおり抜け、小川を渡り15分ほど歩いてラニーの農園に到着した。

「うわー!」(きれい!)

「きれいでしょ!私はこの国一の景色だと思っているわ!」



ラニーの農園はピンク色のロゼのつぼみが敷地を埋め尽くしていた。

「咲いたらもっと素敵よ…この花畑はおばさんがきちんと手入れをしているから…」

(だからこそ、守らなきゃ!)



「そんなとこで何してるんだい?」

「おばさん…!」

「こんにちは!今日はよろしくお願いします。」

「こちらこそわざわざ来てもらってすまないね。今は忙しいから…。」というとラニーは再び花畑へと戻って行った。




「ごめんね、おばさん今一番忙しいから…咲いたロゼの花は午後までに摘まないと香りがとんでしまうの…だから明け方で日が出ていない時から午後まで休まず花を摘むのよ。」

「…そうなんですね。」

(こんなに手間をかけるのに値段が安くなるなんて…そりゃ、困るわ…。)



「だからこそなんとかしたいって…。」とハマカはぎゅっと手を握った。

(そうだったんだ…。)

そんなことを話していると、私のスカートの裾を誰かが引っ張った。

(誰?)振り向くと4歳ぐらいの男の子が立っていた。



「ナホタ君!」と言ってハマカが男の子を抱き上げると、ナホタと呼ばれた男の子はきゃっきゃっと笑顔を見せた。

「ハマカさん…この子は?」

「おばさんの息子のナホタ君よ!」

(えっ、ラニーさんこんな小さい子供いたの?)

「ママは今仕事だよ!」

「うん、ママは仕事だね!」とハマカさんか頭を撫でながら言った。

「ママはね…。」

「ナホタ、邪魔しないの!」と後ろから男性の声がした。




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