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『萌えるゴミ』ちゃんが行くVRMMO~追放されても燃えるのは止められません~  作者: 杞憂


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5話 『燃えるゴミ』の意外な経歴

 「それでお前は何でこれまでここまでレベリング出来てたんだ?

 【炎魔法】のスキルレベルを見るに、『燃えるゴミ』の体質になってからもそれなりに長いはずだが……」


 【東雲アスカ】は目的地に向かう足を進めながらも後ろに続いてきている【ラビ】に問いかけていった。

 レベルというのは上がれば上がるほど必要な経験値やポイント、熟練度など様々なものの要求値が跳ね上がるのだ。

 だからこそ自らの得意技で自滅してしまう【ラビ】の体質でスキルレベルをどのように上げたのか疑問に思うのも不思議ではない。



 「追放されるまで気がつかなかったんだけど、思い返してみたら私が【炎魔法】を使った直後に毎回氷魔法スキル【フリーズプロテクション】を使っている人がいたんだよね!

 何で『五秒間炎ダメージを無効化する』スキルを使うんだろうと不思議に思ってたけど、私が燃えるのを防いでたんだね~納得~」


 

 呑気そうに過去を振り返る【ラビ】。

 他人と話ながら思い返すことによって今さら自分が介護されていたことに気がついたのだ。

 ピンポイントでそのようにサポートを受けていれば気づくものも気づかないのは無理もない……かもしれない。

 だが、その言葉を聞いて引っ掛かることがあった【東雲アスカ】は突然声を荒げて前のめりに【ラビ】へと食いついていった。



 「おいおい、ちょっと待てよ【フリーズプロテクション】だって?

 そのスキルの使い手って『氷将軍』って呼ばれてる【ゼロ】しか知らねーぞ?

 あの使い勝手が難しいスキル、他に使い手がいたのか?」


 「ん? 【ゼロ】さんの知り合い?

 私に【フリーズプロテクション】を使ってくれていたのはその【ゼロ】さんだよ!

 あの人も【炎魔法】を使ってくれていたら良かったのに頑なに【氷魔法】と【剣術】の組み合わせに拘ってたから『相性の悪い【炎魔法】なんぞ誰が使うか!』っていつも断られちゃってたんだよ……残念!」


 「……っっっっ!?!?

 マジかよっ!? 【ゼロ】と仲間ってことは最前線攻略クラン【パンドラボックス】に居たってことだろ!?

 お前が『燃えるゴミ』ってことはすぐ分かったが最前線組で【インフェルノバーニア】を使ってたプレイヤーってお前のことだったのか……

 あまりにも有名なスキルなのに使い手の名前や詳細が不明だったが、その正体がポンコツの『燃えるゴミ』だったのなら情報が意図的に隠匿させられていたのにも頷ける……クランバトルの勝敗にも直結するし全てが繋がってくるな!!!???」


 「一人で勝手に冒険に出るなって言われてたから常にクランの仲間たちがいる時にしかモンスターやプレイヤーと戦わないようにしてたけど、それが原因だったんだね~

 私は気づいてなかったのに他の人たちは私の体質に気づいてたんだ! 凄いな~!」



 【ラビ】のことをただの変なスキルを持ったプレイヤーとしか認識していなかった【東雲アスカ】だったが、ここに来て大幅に見る目が変わった。

 それもそのはず、このゲームの世界の最前線を進めていく攻略クランは限られており、その中の一つであるクラン【パンドラボックス】は優れた属性魔法の使い手しか加入を許されないと有名だからである。

 そこに加入していたということはデメリットを強要するスキル【★属性耐性『炎』-9999】を手に入れる前はそのまま最前線で戦えていたということになるのだ。

 

 【東雲アスカ】は急に胡散臭くなった【ラビ】を薄目で見つめていくが、その視線の意図に気がついていない【ラビ】は……



 「そ、そんなに見つめられると女の子相手でも照れちゃうよ///

 もしかして私に惚れちゃった、とか?」


 「馬鹿も休み休み言うんだな! そんなわけあるかよ……

 ただ、『燃えるゴミ』体質さえ何とか出来て本来のお前の戦い方が発揮できたなら惚れてやってもいいかもしれねーな。

 実際、あの自爆戦術は俺好みの『面白れー』戦い方だった」


 「それって惚れるの意味が少し違う気がするよ~!

 アスカちゃんって可愛いから私も一緒に居たいんだよね!

 それに、可愛い二人が組んで私の元クラン【パンドラボックス】を倒しちゃう……って面白いよね?

 どうかな……?」

 

 「ふっ、お前も分かってるじゃん!

 そういう気概のあるやつも俺は好きだぞ、せっかくだし癖はあるが『面白れー』プレイヤーのお前を追放したクランにひと泡吹かせてやるのも悪くない!

 その目標に一つ俺も噛んでやろうじゃねーか!」


 

 【ラビ】に元々は戦えるだけの素養があったことが判明し、それに加えてその反骨精神が【東雲アスカ】の琴線に触れたようだ。

 実績のあるクランに所属していたという身分証明は見請け人である【東雲アスカ】の認識を大幅に変えたという事実もあるが、その一方でクラン【パンドラボックス】相手に戦えるようになった追放した【ラビ】をぶつけてみたいという好奇心もあったのだろう。


 どちらにしても心の内を話したことで【ラビ】と【東雲アスカ】の中には一種の連帯感が生まれたようだ。



 「でも、何でAランク冒険者のアスカちゃんがわざわざ仲間を募集してたの?

 ソロプレイヤーでAランク冒険者って引く手あまただったんじゃない?」


 今度は【ラビ】が【東雲アスカ】について気になったことを尋ねていったが、【東雲アスカ】の表情は先程までと変わって芳しくない。

 【ラビ】は不安に思って、続く言葉を今か今かと待っているが……



 「お前に事情を話させてこんなことを言うのもアレだがよ、俺の事情はまだ話せねーな……

 時が来れば話してやるよ、それまでにきっちり戦えるようになっておけよ!」


 「当然だよ、私はアスカちゃんの相棒……燃える魔法少女の【ラビ】だからね!」


 「それで自分が燃えてたら世話ねーけどな!

 ……っと着いたぞ、ここが目的地だ!

 俺の馴染みのアイテムショップ【デルタエメラルド】へご案内~ってな!」


 話し込んでいた【ラビ】と【東雲アスカ】であったが、キリがいいタイミングで目的地についたようで先程までの話題が途切れ二人は【デルタエメラルド】の中へと入っていくのであった……

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