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第58.5話 おまけ回 ギルド酒場での会話 中編

前回の話と内容が繋がっていない場合、前編に追記で

載せているのでお手数ですがそちらからお読み下さい。

 アリアンロットとギルドの酒場で再会して一緒に食事をする事にした。

 そしてその流れでパーティー結成の経緯を聞く事になったのだが、どうやらその切っ掛けとなったクエストで、依頼主に騙されてトラブルに巻き込まれたらしい。


「コホン、それで俺達はみんなを説得して協力しつつその実験に挑む事になったんだけど実験の詳しい内容は省くけど、最終的には勇者様がさっき中央の広場でしていた戦闘パフォーマンスみたいに、特殊な魔法陣によって召喚された相手と戦ってそれを撃退する感じだったよ」


「ふむふむ、魔法陣?」

「魔術の儀式とか魔法を行使するのに使う、術式が書かれた紋様の事ですね、陣を組む事で魔力を増幅させたり、特殊なフィールドを発動して戦闘に特別なルールを設けたりする事も出来るんですよ、それにワープポットを使用する為にこの国全体にも魔法陣による結界が貼ってあったりはしますね」


「なるほど、そう言えばそんな話を前にもアルマに聞いた気がするな」

「それと魔道具にも魔術式と呼ばれる魔法陣が組み込まれてはいますよ、発動するには媒体となる魔石や魔力も必要にはなりますが」


「やっぱり魔法は便利だよな、生活にも欠かせない感じだし」

「アルマさんは魔法の見識も深いですね、とても興味深いです」


「え、あの、ありがとうございます……えっと、でもこの国では認可を取らないで勝手に魔法陣を用いて”召喚の儀式”を行うのは禁止されていますよね?」

「む、そうなの?」


「ええ、もちろん知ってます、実はその貴族にはお抱え魔術師が何人か居まして、その魔術師の内の1人が今回の件の黒幕でして、過去の文献に従って召喚の儀式を行い、己の野望を叶える為にその貴族を利用して裏で暗躍していたんですよ」

「え? そ、そうなんですか?」


「そして実はボクもその術師の1人で、冒険者に紛れていた内通者だったんです」

「ふぇ!?」


「あ、ちょっとバド、何で自分から白状しちゃうのよ!」

「いや、だってどうせバラされる流れでしたし、それなら自分から打ち明けた方が手っ取り早いかと……それにリディアに得意げにバラされるのは何か癪ですし」


「なっ!?」

「バドもそう言うところあるよな、何気に負けず嫌いというか、リディアと競って戦闘でも掠め取るように魔法でとどめの一撃をよく狙うし」


「……順番的に行動が最後になるので全体魔法の大技が決まりやすいだけですよ」

「ふーむ、何か所々含みがある言い方で引っ掛かってはいたけど、そう言う事か」


「む? つまりバドは悪者ってこと?」

「まあ共謀って意味ではそうなんだけど、実際のところバドは無理やりその貴族に協力させられていた感じなんだよ、えっと、順を追って説明すると──……」


 中略


「……つまりバドは元々はその貴族を先代から支えている魔術師の家系で、忠義もあって貴族の実験に協力はしてたけど、次第にエスカレートしていく実験の内容に不信感を抱き、このままだと自身の身の破滅すら感じたからその貴族を見限ろうかと考えていたけど実はお抱え魔術師の1人がその依頼主の貴族を(そそのか)し裏で暗躍して若い男女の”エナジー”と呼ばれる特殊な魔力を集めていて、禁忌とされる魔法陣を完成させ”悪魔”を喚び出そうとしている事を突き止めて、更には今までの実験での蓄積もあって今回の実験でその魔法陣が完成してしまうので、その計画を阻止する為に自ら実験に参加すると伝えて、雇い主に協力する振りをしながらアッシュ達をサポートして導く事で、本来なら行く着くはずのなかった魔法陣のある隠し部屋にパーティーを誘導して魔術師の悪事を暴き儀式を妨害するつもりだったけど、バドの予想外の行動に焦ったその魔術師が未完成のまま魔法陣の術式を発動してしまい復活した冥府の悪魔”メフェストレス”とか言うのと戦う事になったのか……」


「む〜、説明が長い、それにピヨピコ、なんで聞いた話をまた言い返したし」

「え、なんとなく、内容を整理する為に、かな?」


「情報を整理する事は大切だからな、それでその悪魔は本来の力を取り戻してはいなかったんだけど、それでもかなり手強くて苦戦したけど全員で協力する事で何とか撃退する事が出来た感じだよ」

「そうそう、それに途中でヘタれて怯えてたもう1人の冒険者も最後には活躍してたよね、所持してたタリスマンの効果であの悪魔も弱体化されたし」


「そうだな、でも何だかんだ言ってもカーラの奴が一番活躍はしてたけどな、俺達よりも普通に強かったし」

「ですね、あの悪魔の魅了攻撃も気合で跳ね除けてましたし」


「え、カーラさんも居たんですか!?」

「カーラ? 何かどっかで聞いた名前だな」


「む? 鋼鉄の戦乙女?」

「あ、それだ! 確かレティシアの護衛の女騎士の名前か……って、え、それじゃあの女騎士もそのクエストに巻き込まれてたのか!?」


「ああ、もう1人の付き添いの冒険者ってのは、騎士団に所属しているカーラって女でな、と言うか勇者様もアイツの事は知ってたのか?」

「えっと、ちょっとした因縁で敵視されてると言うか、まだ勇者として認められてないと言うか、それでさっきも追い詰められて何とか逃げて来た感じだよ」


「なるほど、アイツの性格ならそうだろうな、例の悪い噂もあるし」

「ああ、俺達が立ち去った後で何か広場の方が騒がしかったけど、レティシア様の検問が敷かれたのか、無許可のパフォーマンスとか商売にはかなり厳しいからな」


「そんなところだ、と言うかもしかしてアッシュ達はその実験クエストの以前からカーラとは知り合いなのか? 何かやたらと親しい感じで話してるけど」

「ああ、近衛騎士のカーラとアッシュは幼馴染なんだよ、それに俺も一応知り合いではあるな、と言うか俺の実家とカーラの家は親戚同士なんだよ」


「え、そうなのか!?」

「まあ家の事情も色々あるんだけど、そんな感じでな、偶然だけどそのクエストで再会した時は、正直かなり気まずかったよ」


「カーラは元々は騎士の家系で歳も近いから幼い頃は一緒に剣の修行とかもしたんだけど、正義感が強いと言うか、クソ真面目な性格でな、サボり癖のあった俺とは性格的にも合わなかったから苦手意識があるんだよな」

「あれ、と言う事はアッシュとランドルフも元から知り合いだったのか?」


「いや、面識自体はなかったけど傭兵の頃に出会って、打ち解けてお互いの内情とかも話すようになったら実はカーラが共通の知り合いだった感じだよ、まあそれで意気投合して一緒に組むようになったってのはあるけどな」

「そんな偶然もあるんだな……あ、でもそう言えばネタバレ防止で伏せていたけど意図して貴族の関係者が集められたってのは、その依頼主の貴族や黒幕の魔術師を出し抜いて、バドが介入していたって事だよな?」


「ああ、俺達も後で聞かされたけどそうみたいだな」

「貴族の身内がギルドで受けたクエストで一服盛られて地下室に監禁されたなんて話が広まれば、その実験も続けられないだろうし、それを狙った感じか?」


「そうですね、勇者様の仰った通りボクが予防策として用意していた案です、まあ結局は間に合わず、悪魔が召喚されてしまったのですが……」

「でもそのお陰で、その当時は貴族の息子の護衛として仕えていたカーラまで巻き込まれたから悪魔に対する戦力にはなったんだけどな、俺達だけじゃ倒すのは正直かなり厳しかったし」


「その息子は冒険者に憧れがあったみたいで、無理を言って冒険者になったらしいんだけど親が心配して騎士団に依頼してカーラを護衛に任命したって話だけどな」

「それが出世して今は第三王女様の専属護衛にまでなってるのか、末恐ろしいな」


 貴族の青年が冒険者に憧れていたって事か、俺もその気持ちは分かるな……


「まあ貴族の息子って言っても、三十路を過ぎた眼鏡のおっさんなんだけどな」

「!?」


「でも体格は良かったよね、ランドルフよりも大きかったし」

「ああ、素質はあるから傲慢で臆病な性格さえ克服すれば立派な冒険者になるな」


「俺が聞いた話だと既に冒険者は引退して、結局は家を継いだらしいけどな」

「なんだ、そうなのか? あれから殆ど会う機会がなかったから知らなかったな」


「……あれ、でも確か20歳前後の若者が集められたとか言ってなかったっけ?」

「条件はそうだったんだけど何故かその中におっさんが1人紛れ込んでたんだよ」


「??」

「安全が保証されてると言われて、カーラがその依頼を受けたとは聞いたけどな」


「ああ、その貴族の息子が勝手に危険な討伐クエストを受ける可能性があったからその前に手頃なクエストを選んだ感じなのか?」

「どうやらそうらしい、騎士として名が売れてたカーラも含めて、そのおっさんの冒険者を見て、予想外の展開だったのか依頼主の貴族は何か困惑していたけどな」


「平静を装ってたけど実際はかなりきょどってたよね、明らかにあの貴族の息子とカーラちゃんの事を知ってる様子だったし、あの2人はクエストにワクワクしてたのか、何かやたらとテンションが高かったけど」

「ふむふむ」


「ああ、用意されてた睡眠薬入りの紅茶も何も疑わずに飲んでたからな、カーラの方も少し疑ってはいたけど、甘い菓子の誘惑に抗えずに紅茶も飲んでたし」

「バドが上手く誘導してたよな、先に自分だけ眠り薬の入ってない紅茶を飲んで、如何にも美味そうに原産地とか語ってたから、俺達もそれに釣られて飲んだし」


「ああ、釣られたって言ってたけど、依頼主の貴族の内通者でもあったバドがそう仕向けた感じなのか、それは確かに油断しそうだな」

「ボクもあの地点で下手に騒ぎ立てるとその貴族と魔術師の計画を暴く事が出来なかったので、適度に雇い主に協力する振りをしつつ、アッシュ達のサポートをしてた感じですね、実験の内容や攻略法は把握してたので」


「ふむふむ、でも貴族の関係者を巻き込んだのが分かっていたのに、よくそのまま地下に監禁して実験を敢行したな、中止にはしなかったのか?」

「ああ、あの依頼主の貴族も俺達はまだしも2人には気が付いてた様子だったんだけど、お抱え魔術師の魔法もあったから大丈夫だとタカを括っていたんだろうな」


「魔法?」

「ボクとしては、なるべく名前が知られていない貴族の関係者を集めたかったのでカーラさんが居たのは予想外だったんですけどね、まあ黒幕の魔術師の方は貴族の繋がりには疎かったようですが、それにボク自身もあまり興味がないので条件だけ伝えて選考は例の汚職ギルド職員に一任してたんですよ、取り敢えず騒ぎになれば実験を中止させられるとは考えていたので」


「……なるほど、あれ、でもその黒幕の魔術師はどうなったんだ?」

「中途半端な状態で召喚された悪魔メフェストレスが、契約に足りない魔力をその魔術師から搾取したので、その影響で魔術師は魔力欠乏になって昏倒しましたよ、その際に貴族に掛けられていた”思考誘導の魔法”の効果も解けて、その貴族も正気を取り戻した感じですね」


「ああ、そう言えばその貴族は魔術師に誑かされたって話だったけど、魔法で操られていたのか、と言う事はその貴族も実際は被害者だったって事か?」

「魔法で思考を誘導されて、利用されたって意味ではそうなるんですけどね」


「相手を洗脳したり思考を操作する魔法はこの国では禁止されてますから、明確な悪意を持って使用した場合は犯罪者として捕まりますね、でも思考誘導は闇属性に分類されるかなり特殊な魔法なので、そもそも使える人が少ないのですが」

「ふむふむ、そう言えば時間を操る魔法も禁止されているとか言ってたっけ……」


 悪意が無ければセーフなのか? いや、でもそう考えると背後の少女がもし魔法で俺を操っていた場合、ループも含めて完全にアウトだよな、思考に関しては何とも言えないけど、行動や選択に関してはあの少女に管理されているし、目的は同じだとしてもそこまで信用するべきではないのかもしれないよな……とは何度か考えているんだけど、現状だと背後の少女を信じて頼るしかないんだよな。


「コホン、バドの雇い主ではあったけどその貴族も元々は裏ではそこそこ悪い事をしてたらしいから同罪ではあるんだけど、まあ貴族なんてみんな何かしら他人には言えない事をしてるものだけどな……」

「ええ、それに一番最初に自身の知的好奇心を満たす為の余興として、実験を敢行したのはその貴族でしたし、それを黒幕の魔術師の悪事に利用された感じですね」


「なるほど、元から悪徳貴族って感じだったのか、でもそれってバドがその悪事の証拠を集めて、冒険者ギルドや国に密告して訴える事は出来なかったのか?」

「ボクとしても穏便に済ませる為にそうしたかったのですが、その貴族には先代からの恩義もあってある程度は黙認してたのですが、黒幕の魔術師の陰謀に関しては知ったのが結構ギリギリのタイミングだったので時間がなかったんですよ、それに証拠を用意するにしても、その貴族や魔術師に嗅ぎ回っている事がバレたらその前に握り潰されていた可能性もありましたし、ボク自身その魔術師にはちょっとした弱みを握られていたのもあってあまり口出し出来なかったんですよね、実力的にもその魔術師の方が格上だったのもありますが……」


「弱み? つまり立場的には下手に動けない状況だったのか」

「それに眠り薬を使って地下室に監禁までするようになったのは、前回の実験からだったので、それまでは選ばれた冒険者達に多額の報酬と口止め料を払う事で内密に事が運んでいたんですが、前回の実験ではその魔術師が”忘却の魔法”まで行使していたらしく、それを知ってボクとしてもこれ以上実験を続けるのは危険だと進言したのですが全く聞き入れて貰えなくて、それで不信感を抱き色々と詮索してたら魔法陣の隠し部屋を発見して、その魔術師の陰謀に気が付いた感じですね」


「忘却の魔法? そんなのまであるのか……」

「えっと、一応ありますが精神に干渉する部類にはなるので、その魔法もこの国では禁止されてますね、それに効果も良くて数日程度の記憶の忘却らしいです」


「そっか、なら俺とは関係なさそうだな」

「?」


「あ、いや、何でもない……でもそれでお抱え魔術師の魔法があるから大丈夫だとタカを括っていたと言ってたのか、確かにその魔法で監禁した事や実験の内容とか諸々を忘れさせれば、不思議に思われたとしてもその依頼主が訴えられたり、騒ぎ立てられる事はなさそうだな、報酬次第では契約書でその魔法を強要したり、秘密厳守って事で無理やり同意させる事も出来そうだし」

「もし仮に強要されても精神干渉に抵抗するアイテムを人数分用意していたので、記憶を維持できる算段だったんですけどね、使う展開にはならなかったですけど」


「なるほど、用意周到だな」

「まあその辺の内容は俺達も後からバドに聞いたんだけどな、それで何とか悪魔を退治した後は、放心してた依頼主の貴族と魔力切れで意識を失ってた黒幕の魔術師はカーラとリディアが簀巻きにして、ギルドに連絡したりお城に通報したりと大変だったんだけど、後処理も済ませて一緒にクエストの打ち上げをして、リディアとバドとはそのまま意気投合して仲間に迎えた感じだな」


「そうそう、私もそれまでは募集スレとか利用してたんだけど、女性1人だと変な視線で見られたり色々と面倒だったから、ちゃんとした仲間を探してたんだよね、それでアッシュ達なら他の冒険者達よりは信用も出来ると判断して、パーティーに加わったんだよ」

「ボクの場合は思いっきり関係者だったので、色々と事情聴取もされたのですが、貴族と黒幕の魔術師の悪事を暴いたのも考慮されて、投獄や冒険者カードの剥奪は免れた感じですね、それで今後どうしようか考えてはいたのですが、アッシュ達に事情を話したら勧誘してくれたので仲間になった感じです、まあ実際にパーティーに加わったのは、諸々の処理が終わってからでしたけどね」


「なるほど、そう言う経緯で”アリアンロット”は結成されたのか」

「ああ、それで今もこのメンバーでパーティーを組んでるよ、まあクエスト関連で出逢いや別れもあったから、5人目の仲間が加入していた事もあるけどな」


「ふむふむ、そりゃ3年も冒険者を続けていれば色々あるよな」

「一時期だけど、カーラが仲間になって同行してた事もあるぞ」


「え、そうなのか?」

「その頃には既に貴族の息子の護衛からは外れてたんだけど、クソ真面目な性格は相変わらずだったから、俺の方は余計に苦手意識が強まったけどな」


「アッシュはカーラちゃんと仲良くしてたよね」

「……ぷい」


「あ、そっぽを向いた、なに恥ずかしがってるのよ」

「うっさいな、もう良いだろあの話は、掘り返すなよ」


「ふむ、幼馴染だと言ってたし何かあった感じか……」

「まあ年頃の男女の幼馴染みが共に生活してた訳だから、色々とね〜」


「む? その利用されてた貴族と悪い魔術師はどうなったの?」

「あ、それは俺も少し気になってた、確か裏で繋がってたギルド職員は懲戒免職にして投獄されたとは言ってたから、その2人も裁判に掛けられて重い罪を課せられたのか?」


「えぇ、2人とも恋バナには興味なし?」

「だってプライベートな事なんだろ? あまり追求するのも何か悪いし……」


「コホン、いや、特に負傷者も死者も出なかったからな、その貴族と魔術師の事情も考慮されて罰金や財産の一部を差し押さえられたけど投獄は免れたよ、と言うかどちらも今もこの国で普通に生活してるよ」

「え!? そうなのか?」


「今までの実験に参加した冒険者も、報酬を貰って同意した上で実験が行われてたから被害届けとかも特に出てなかったしな」

「え、でもクエストと称して変な実験を行ったり、無断で召喚の儀式をして悪魔を喚び出したのに全く罪に問われなかったのか?」


「ボクが仕えていた貴族の方は先代が温和な人物で、王国を献身的に支えるハト派の有力者で、更にはその貴族自身もタカ派と呼ばれる王家のやり方に反発する派閥に対して顔が効く立場だったので、マルクス様の判断でそのまま貴族として今も国に仕えていますよ、まあその一件で王家に弱みを握られて恩を売られたので、立場的には権限を色々と制限されて、かなり弱体化はしましたけど」

「つまり家名を取り潰して没落させるよりも、国の為に今後も利用した方が価値があると判断されたのか、あの軍師様らしいな……」


「でもあの実験に使われた屋敷は国に差し押さえされたらしいけどな、まあ郊外に位置して、趣味を楽しむ別宅として利用していたらしいから、あの貴族にとってはそこまで痛手ではないんだろうけど」

「ふむふむ、持ち家を幾つも持ってる場合もあるのか、貴族の財力はスゴいな」


「ですね、事後処理で家宅捜索もされたのですが、ボクも関係者として立ち会ったので色々と大変でしたよ……それと例の黒幕の魔術師の方も事情聴取と身辺調査した結果、王国に害をなす勢力や魔王軍のスパイとかではなく、禁忌の魔法陣により冥府の悪魔を喚び出して亡くなった恋人を復活させようとしていたかったらしく、犯罪行為や国家転覆などを企んでいた訳ではなかったんですよね……」

「え、恋人を復活? そんな事が可能なのか?」


「えっと、魔法で欠損部位の修復や死者蘇生も条件次第では可能なのですが、既に亡くなって肉体を失っている場合まず不可能ですね、それに蘇生の魔法自体が習得するにはかなりの研鑽が必要なので、この国でその魔法を扱える術師は資質も含めて殆ど居ないのが現状です」

「ふむふむ、と言うか魔法でそんな事まで出来るのか、魔術の真髄はスゴいな」


「それこそ死者蘇生の魔法を使えるのは歴代の”聖女様”だけとも言われてるよな、俺達もあまり詳しくは知らないけど」

「……聖女様か」


「確かにアルマさんの仰る通りなんですが、でも過去にその悪魔を呼び出した文献の記述によると”エーテル”と呼ばれる特殊な魔法素材を媒体にする事で、死者の魂を冥界から呼び戻し復活させたと言った内容で、魔術師はそれを再現しようと独自に研究していた”レプリカント”と呼ばれる精巧なゴーレムを用意する事でエーテルの代わりにして、更には若い男女の欲望を刺激して発せられるエナジーを糧にその悪魔を喚び出して願いを叶えて貰い、死んだ恋人の魂を呼び戻して復活させようとしていたらしいんですよね、その事はボクも後で知ったのですが、それでその事も考慮されて審議した結果、マルクス様の温情もあり投獄は免れた感じですね」

「……なるほど、犯行に至った理由的には確かに情状酌量の余地がありそうだな、実行しようとした内容に関してはかなりグレーな領域って気もするけど」


 と言うか若い男女の欲望を刺激するって、その実験ってもしかして何か如何わしい感じのやつなのか? でも内容は伏せていたし質問するのは止めておくか。


「ですね、死者蘇生は人の領分から外れた行為ですし、倫理的にはアウトですからボクとしてはどんな理由であれ未然に防げて良かったですけどね、それに死者の魂を無闇に呼び起こすのは危険を伴いますから……」

「そうか、でもそんな禁忌に触れるような魔法を色々と扱えるのに、そのまま無罪放免って訳にはいかないよな?」


「ええ、当然ですが危険視されたので、そのまま野放しには出来ないですから処遇的には監視下に置かれて、今は魔道修道院に属して教鞭を振るってますよ」

「教鞭? え、教師になったの!?」


「その魔術師はゲオルクと言う名前なのですが、高い魔術の教養と知識があったのでマルクス様の配慮で学院に再就職させた感じですね」

「えっと、え、もしかして闇の属性魔法の第一人者のゲオルク先生の事ですか?」


「あ、アルマはその修道院の出身だからその魔術師の事を知ってるのか」

「ええ、3年くらい前に学院に就任されて、私も講習を受けた事はあります……」


「精神関与の魔法は闇属性に由来するので名前も一致してるなら多分本人ですよ、それにあの場所なら自由を制限される代わりに禁止されている魔法も研究と称してある程度は融通が効きますから、元々はボクと同郷の出身ではあったので、処遇も決まり落ち着いてからボクも何度か面会はしたのですが、その時はまだ死んだ恋人の復活を諦めてはいない様子でしたよ……いつまでも姉の幻影に囚われている感じがして、ボクとしては少し心苦しい気持ちにはなりましたけどね」


「……姉?」

「ええ、実はその亡くなった恋人と言うのは、ボクの姉でもあったんですよ」


「え、そうなの!?」

「なるほど、何か似たような話を昨日も聞いた気がするな……」


「いや、何でリディアまで驚いてるんだよ」

「え、だって私もそんな話、聞いてないんだけど!?」


「パーティーを組んで絆を深めてからだけど話してくれただろ、ってあれ、その話を聞いたのって俺だけだっけ?」

「いや、俺もその話はバドから聞いたから知ってるぞ、確かパーティーを結成して1年くらい過ぎた頃に記念として打ち上げの飲み会をした時に過去を振り返って、その時に話してくれたな、と言うかリディアもちゃんとその場には居たぞ」


「えー、そうだっけ? 全然覚えてないんだけど?」

「その話をした時はリディアは既にお酒を飲んで酔ってましたから」


「ああ、なるほどなぁ」

「確かに、それじゃ覚えてなくても仕方ないな」


「ねえ、私ってそんなに酒癖が悪いかな、何かショックなんだけど」

「いや、悪いだろ、本人にその自覚がないのが一番ダメなところだよ」


「ぐぬぬ……もういい、私ちょっとお手洗いに行ってくる!」

「む、トイレ? ネムも行くー」


「うんうん、野郎どもなんてほっといて一緒に連れションしよ」

「おい、はしたない言い方するなよ」


「あら、これは大変失礼致しましたわ、そうだ、アルマさんも一緒に行く?」

「え、あ、それじゃ私も……えっと、勇者様、少しお花を摘みに行って来ますね」


「!? あ、ああ、分かった、気を付けてな」

「お花ー?」


「え、なになに今のやり取り、報告の義務とかあるの?」

「ふふっ、秘密です」


「え〜、気になるー」

「む、ネムも聞きたいー」


 きゃあきゃあ♪


「……行ったか、アルマって結構根に持つタイプなんだな」

「何か意味深だな、俺も少し気になるな」


「おや、ネムさん、椅子の上に魔物図鑑を置いていきましたね?」

「……ギクリッ」


「ネムは本当に気が効くな……えっと、ちょっとした決め事みたいなものだから、その図鑑もそのまま椅子に置いておいてくれ」

「ふむ? 分かりました」


「何か勇者の兄さんのパーティーも色々と大変なんだな」

「ああ、でも俺の方はまだ正式にパーティーを結成したと言えるかどうか微妙ではあるけどな、アルマとも会ってからそこまで日が経ってないし、ネムとベオルフに関しては一緒に連れてはいるけど、昨日初めて会ったばかりだよ」


「え、そうなのか? それにしては仲が良いな」

「ネムは人懐っこい性格で誰とでも直ぐに打ち解けられるからな、あの吟遊詩人はまだ仲間とは認めてないけど、それにアルマの方は魔王討伐の手助けになるようにと国から派遣された感じだよ、まあ天啓による使命とかもあるんだろうけど……」


「なるほど、それでアルマさんが同行してたのか」

「……えっと、もしかしてアッシュ達はアルマの素性とか知ってるのか?」

「ああ、身分を隠してるのも知ってるけど貴族の間では有名だしな、とは言え俺の方が一方的に知っているだけで直接的な面識はないんだけどな、天啓の使命も関係しているのか社交界とかにも殆ど顔は見せてなかったようだし」

「ふむふむ」


「ボクも面識はなかったですけど、アルマさんは魔術師の間では元素魔法を4つも同時に開花させた才女として、かなりの有名人ですよ」

「え、属性魔法を4つ使えるのってそんなに稀な事なのか?」


「そりゃそうですよ、元素魔法に関してはその人の資質によるものが大きいので、大抵は1つか2つ開花すれば良い方ですし、ボクも属性魔法に関しては氷と風しか使えないですから、3つ以上は天才の部類ですね」

「そ、そうなのか……」


「まあ後天的に他の属性が開花する事もありますし、現在は魔道具やタリスマンによる補助もあるので資質がなくても属性魔法を行使する事は可能ですが、発現自体は努力で何とかなるものでもないですからね」

「なるほど、タリスマンって奴の事はよく知らないけど、魔道具は便利だよな」


「……奴?」

「と言うか騎士の間でもアルマさんは有名人だよ、なんたって王国騎士団の団長でもありこの国の第一王子様のご息女だし、母方の方も確か御三家の1つだろ?」


「え、そうなのか?」

「アルマさんの母方の家系はローズベルって名家で、リーンベル家と同じく王家とは深い関わりがある侯爵家の1つだよ」


「それにこの国の第二王女のミランダ様ももう1つの御三家、ベルヘルム公爵家に嫁いだって話だし、しっかりと王家グランベルの地盤を固めてる感じだよな」

「……ふむふむ、何か貴族も色々と繋がりがあって窮屈そうだし大変なんだな」


 と言うかサラッと情報が出たけど、やっぱりミランダがこの国の第二王女様か、ループ前の記憶でメアリーから聞いてたからもうそこまで驚きはしないけど……


「ああ、本当にそうだよな、古い風習とか騎士道に執着してるし、まあそれが嫌で俺は家を出たってのもあるんだけどな」

「あ、因みに俺も一応アルマの素性は知ってるけど、アルマにはそれを知られていない感じだから本人の前でうっかり口を滑らせないように頼む、俺としてはアルマから打ち明けるのを待っている状況なんだよ」


「ああ、了解した、何か複雑な事情があるんだな」

「アルマさんの身分的に隠し通せるものではない気もしますが、分かりました」


「本当にそうだよな、何で隠してるんだか……」

「それじゃいつトイレから帰って来るか分からないし話題を変えるか」


「話題か、そう言えば少し気になってたんだけど、さっきの実験のクエストで貴族と魔術師の処遇を話してたけど、結果だけ聞くと何か裏工作で利用されてたギルド職員が一番割を食ってる感じだよな、懲戒免職にして投獄までされたって話だし、そっちの方は情状酌量の余地とかはなかったのか? 賄賂を貰って依頼人の融通を効かせて利益を得ていたとしても、他の2人と比べるとずいぶんと重い処分だとは感じたんだけど……」

「いや、俺達が聞いた話だと寧ろその職員の方から金を持っていそうな貴族に言い寄って、金銭を貰う代わりにギルドが保有してる貴重な情報や魔物の素材の横流しまでしてたらしいから言い逃れ出来ないくらい完全に自業自得だよ、あのクエストの後でその事も発覚したんだけど、早耳瓦版に取り上げられて記事にもなったから当時は結構な騒ぎになってたし、俺達も当事者って事で取材されたしな」


「……横領とかの行為にまで及んでたのか、それは救いようが無いな」

「ギルド全体の信用問題にも関わるからな、そのギルド職員が今どうなってるのかまでは分からないが、何か窃盗団との繋がりまで発覚して、他のギルドにも仲間が何人か紛れ込んでいたらしいけど、瓦版の規制が間に合わなくて情報が洩れて他の奴等は捕まる前に姿を眩ませて逃亡したって話は聞いたな」


「え、そのギルド職員は窃盗団の一員だったのか!?」

「ああ、逃亡した奴等も名前と顔は割れてたから直ぐに指名手配されたんだけど、捕まったって話は聞かないな」


 その瓦版ってのが気になるけど、おそらく常識的な感じのだろうしアッシュ達にその質問をするのは止めた方が良さそうだな、まあ取材とか言ってたから新聞的な機関があるんだろうけど、後でアルマにでも聞いてみるか。


「でもそのクエストが切っ掛けで露見したなら逆恨みとかしてたら何か怖いな」

「ああ、とは言えもう3年も前の話だし、関係者がピンポイントで狙われたとかも特に無いし大丈夫だろ、護衛クエストの任務で野盗に襲われた事なら何度かあったけど返り討ちにしたから、恨まれてるなら寧ろそっちの方がありそうだけどな」


「それにその事件を切っ掛けにギルド職員の選考やセキュリティーもかなり厳しくなったから、それ以来ギルドの失態は特には聞かないな」

「あ、そうなのか、それなら大丈夫かな、それにしてもクエストを受けたら紅茶に眠り薬を仕込まれて監禁されるとか、普通に考えたら洒落にならない自体だよな、被害が出なくて良かったけど相手がもっと明確な悪意を持っていて、例えば身代金目当てで貴族の関係者を誘拐したとかだった場合、状況も変わってただろうし」


「言われてみるとそうですね、依頼を受理したギルドの沽券にも関わりますし」

「裏工作してたバドが言えた立場じゃないけどな」


「ええ、ごもっともですね」

「まあその悪巧みのお陰でアリアンロットは結成したんだけどな」


「確かに、言われてみたらそうですね、意図してた訳ではないですが」

「ふーむ、そう考えると何が切っ掛けになるか分からないな……」


「ああ、それにクエストに危険は付きものだから、討伐クエストで魔物に返り討ちにされたりトラブルに巻き込まれたとしても自己責任だけどな、自分の身は自分で守るしかないんだし」

「そうそう、目的の為に危険に身を晒して利益を得るのが”冒険者”だからな」


「確かに、安全第一ではあるけど冒険者には相応の覚悟とリスクを背負う心構えは必要か、俺も肝に銘じておこう……」

「お待たせしました、食後のデザートの林檎のパイと紅茶をお持ちしましたー」


「!? あ、ありがとう、そう言えばアルマが注文の時に頼んでたんだっけ」

「何か会話を楽しんでいたので、食事は既に済んでたようですがタイミングを見てお持ちしました、それと紅茶の方はそちらの皆さんの分も含めてお代は結構なので当店からのサービスです」


「え、頼んでないけど俺達の分もあるのか?」

「ええ、なかなか面白い情報を提供して貰ったのでそのお礼です」


「……そう言う事は本人に直接は言わない方がいいんじゃないかな?」

「だって、私達が聞き耳してるのに気が付いてる様子でしたし、テヘッ」


「あ、ちょっとサキ、何で余計な事まで話してるのよ!」

「疑われるくらいなら先手を打って打ち明けて仲良くした方がいいでしょ」


「コホン、まあ別に良いけど、それじゃ遠慮なく戴くとするよ」

「どうぞ、もし紅茶に合う甘いお菓子も必要でしたら注文してくださいね」


「……ああ、わかった」

「ふふ、眠り薬などは入ってないので安心していいですよ」


「!?」

「空いた食器はお下げしますね、カチャカチャ」


「ああ、ありがとう」

「では、食後のティータイムをごゆるりとお過ごしください」


 トコトコ……


「……何か普通に聞き耳してたみたいだけど、清々しいくらい開き直ってたな」

「まあ酒場の看板娘と言ってもギルド職員でもあるからな、リディアの話だと姉妹揃ってかなりの噂好きの情報通みたいだし、案外したたかな感じだよな」


「と言うか雑談っぽい感じで俺達も話を聞いてたけど、ここで話しても問題なかったのか? 汚職してたギルド職員の件は騒ぎになったらしいけど……」

「ああ、あのクエスト自体が騒動になって当時の冒険者にも知られた事だから聞かれても別に問題ないよ、それに以前もこの酒場で話題にした事はあるから、双子の店員さん達も既に知ってる内容だと思うし……ズズッ、ふぅ」


「そうか、なら大丈夫か……お、普通に美味いなこの紅茶」

「コクッ、食後の紅茶も中々良いものですね、精神が落ち着きます」


「普段はティータイムなんて無縁だけど確かに落ち着くな、ズズゥー」

「アルマがお勧めしてくれたし林檎のパイも戴くとするかな、サクッ、もぐもぐ」


「あー、ピヨヒコ君、なんか美味しそうなの食べてる、ズルいー」

「むぐっ!?」


「お、騒がしいのが帰ってきたな、おかえり」

「注文してた林檎のパイですね、食後に頼んでたのに中々来なかったようですが」


「ああ、会話してたから店員さんが気を利かせてタイミングをずらしたんだよ」

「なるほど、そうだったんですね、納得です」


「ピヨピコ、それ美味しい? ゴソゴソ」

「……ムガッ」


「ああ、とても美味いぞ、熱の通った林檎は甘さが増して、それでいてしっとりとした滑らかな口触りに折り重なったサクサクのパイ生地がよく合っていて、下地にはタルト生地が使われてるから食べ応えもあるし、更に中にカスタードクリームまで入ってるから果実の甘さと合わさって自然と口角が上がり幸福な気分になるな」

「おー、美味しそう」


「サクッ、もぐもぐ……気に入ったなら頼んで良かったです、私も久し振りに食べましたけど林檎が甘くてとても美味しいですよね、そこそこボリュームもあるので思わずほっぺが落ちそうです♪」

「もうー、その食レポは止めてよ、アルマさんまで一緒になって便乗してるしぃ」


「……紅茶は店員さんがサービスしてくれたから、それでも飲んで落ち着けよ」

「食べたかったならリディアも注文の時に一緒に頼めばよかったじゃないですか」


「だって、普段あまりデザートとか頼まないし、節操なく食べて太ると嫌だもん」

「むぐっ!?」


「あ、アルマ、大丈夫か?」

「けほっ、だ、大丈夫です……」


「リディアは性格的に体重とかあまり気にしないと思ってたわ」

「何気にスタイルは良いですよね、容姿も悪くはないですし」


「失礼な、これでも体型にはかなり気を遣ってるんだよ、戦闘での順番にも関係してくるし、でもその林檎のパイは美味しそうだから私も頼めば良かったかも……」

「む? 欲しいならネムのを食べる?」


「え? あ、いや、ネムちゃんのだし貰えないよ、気遣ってくれてありがとね」

「ん、わかった、なら飴のお礼で一口あげるね、はい」


「! ネムちゃん優しい、それなら一口だけ貰うね、パクッ」

「美味しい?」


「うん、紅茶とも合うし、とっても美味しいよ、ありがとー」

「それなら良かった♪」


「そう言えばネムは甘いのが苦手なんだっけ」

「え、そうなの!?」


「ん、甘ったるいのは少し苦手だけど、でも果物は好きだよ」

「そっか、それならその林檎のパイは大丈夫だね」


「うん、それにリディアに貰った飴も美味しかったよ」

「ああ、アレは果汁のエキスが入ってるからね、他にもミルクの飴も持ってるけど気に入ってくれたなら良かった、甘いお菓子は冒険のお供にもなるよね」


「……っ」

「そ、そうだな」


「荷馬車で移動中もリディアは飴を舐めてたよな、俺達にも1個だけくれたけど」

「あ、何よその言い方、私がケチみたいじゃない!」


「えー、だって、なぁ……」

「アッシュ達だって欲しいなら自分用のを買えばいいでしょ、それに私だって別に隠れて1人で食べてる訳じゃないし、飴も1個ずつでも毎回ちゃんと分けてるんだから有難いと思いなさいよ」


「……しゅん」

「そ、そう言えば食事の時にもそんな話をしてたけど、午前中はアッシュ達は何かクエストの最中だったのか?」


「え? ああ、欲しい素材の調達で少し遠出してたんだけど、ついでに帰りは王国行きの護衛クエストを受注して荷馬車で移動してたんだよ」

「なるほど、自分達の目的に合わせて護衛クエストを受ければ、移動も出来て報酬も稼げるし、それに依頼主や御者も積荷を安全に運べるから一石三鳥だな」


「移動用に自前の魔馬を所持してる冒険者も居るけど、人数分揃えるのは大変だし厩舎や餌代とか維持費も掛かるからな」

「乗り合い馬車や魔馬のレンタルも一応あるけど、なるべく効率よく稼ぐに越した事はないからな、まあ護衛クエストだと依頼主の予定に合わせないといけないから良し悪しだけど、その辺はパーティーの方針にもよるな」


「ふむふむ、俺達もいずれは移動手段とかも考えないといけないし参考にするよ」

「でも荷馬車でずっと揺られていると、お尻が痛くなるからネックなんだよねー」


「へぇ、そうなんだ……チラッ」

「あ、今ピヨヒコ君に然りげ無くお尻を見られた、エッチ!」


「え!? いや、そんな話題をしてたから何となく視線を向けただけで、別に俺はそんなつもりは、あ、さっきまで落ち込んでたのに、アルマの視線が何か怖い」

「……じとぉ」


「いや、ちょっとした冗談だから、アルマさんもゴメンね」

「いえ、別に怒ってないですし、私には関係ないですから、もぐもぐ」


「あ、拗ねちゃった、何か可愛いから抱き付きたい、むぎゅー」

「ふぇ!?」


「それでも以前に比べたら荷馬車とかもかなり改善されたんですけどね、ゴム素材の車輪に軽鉄のサスペンションとか、発明家の貴族様がどんどん新しいアイデアを取り入れて開発してますから、色々な方面で便利にはなってますよね」

「発明家? 前にアルマにも聞いた気がするけど、そんなにスゴい人物なのか?」


「ああ、何か大分変わってるって話だけど、元々は準男爵だったから俺も詳しくは知らないんだよな、何処かの異国から流れてきたとか噂では聞いたけど」

「ふむふむ、異国? なんか引っ掛かるな……」


「謎の多い人物なんですけど、色々な発明で国に貢献して実績を認められて、今では辺境伯にまで登り詰めましたからね」

「それに政治には関心がないのかあまり口を挟まないらしく、その辺も含めてこの国の貴族は勿論のこと、王様やお妃様にも気に入られているとは聞いたな」


「他にも異国の料理とか新作のデザートとかも広めてるって話だよね、調味料にも詳しくてレシピの幅が格段に広がったとか知り合いの料理人も言ってたし」

「ああ、それでホイップクリームやカスタードクリームとかの凝ったお菓子も普通に浸透してる感じなのか」


「他にも気球に鉱山で使ってるトロッコ線路とか、まあ気球の方はあまり目立って魔王城に目を付けられると厄介って事で、実用化はされなかったらしいけど」

「それでも地図の作成には便利だったので、何度か飛んでるのは見ましたけどね」


 俺の知識にもその手のものは何故かあるけど、普通に気球とかはあるんだな。


「でもそんなお偉い貴族様は、冒険者の俺達には無縁だけどな」

「ああ、そうだな、発明の恩恵にはあやかってるけど直接会う事はまず無いしな」


「……あれ、でもみんなも元々は貴族の出身なんだろ?」

「あ、過去の詮索はピヨヒコ君でもルール違反だよ」


 いや、その割には自分達から内情を話してなかったか? リディアの過去はよく分からないけど何処かのご令嬢だったみたいだし、何で危険が伴う冒険者になんてなったんだろう……と言うか何でリディアはアルマに抱き付いてるんだ?

 女子3人でトイレに行ったし、あっちはあっちで何か会話して打ち解けたのか?


「ああ、悪かった、それじゃ話を戻すけど、遠征クエストって見知らぬエリアにも行くんだろうけど、やっぱり準備とかも含めて大変な感じなのか?」

「リディアさん、そろそろ離して下さい、怒りますよ」


「はい、調子に乗ってゴメンなさい」

「何か知らん間に仲良くなってるな、トイレで何かあったのか?」


「……秘密です」

「そっちだってどうせ内緒話とかしてたんでしょ、お互い様だよ」


「コホン、王国と目的地を護衛クエストの受注込みで荷馬車で移動したから往復で4日くらい掛けて、欲しい素材を入手する為にダンジョンの探索をしたり、現地で討伐クエストにも挑んだりして2週間くらいは過ごしたから、今回の遠征は準備期間も合わせると合計で3週間くらいは掛けた感じかな、まあ短い方だけど」

「……ふむふむ、やっぱり移動とかも含めると、それなりに時間は掛かるんだな」


「そりゃこの近辺のクエストよりは大変だけど、慣れれば大した事ないよな」

「うーん、私はやっぱり移動が大変かな、女性の場合トイレとか色々と面倒だし」


「ですね、でも目的を決めてそれを達成した時は嬉しいからボクは遠征も結構好きですけどね、見知らぬ土地では新しい出会いや発見とかもありますし」

「なるほど、遠征って旅をするって印象もあるし冒険の醍醐味ではあるのか……」


「まあ生活するだけたらこの国でコツコツってのもアリだけどな、勇者の兄さんの場合は魔王討伐の使命もあるだろうから、そうもいかないんだろうけど」

「え? ああ、確かにそうかも、強制では無いけど攻防戦クエストとかにもいつか参加しないといけないようだし」


「でも遠征してたから行方不明だったピヨヒコ君が先週くらいに突然姿を現して、勇者の任命に伴う凱旋パレードまで開かれたと噂で聞いたから観てみたかったけど残念ながら間に合わなくて私達は参加する事が出来なかったんだよね」

「! そ、そうか、あれ、でも遠征しててもそんな噂話が耳に入るものなのか?」


「ああ、毎日のように王国から御者や冒険者があちこちに向かってるし、ギルド間で情報共有もしてるから自然とその手の噂話とか情報も伝わるんだよ、それに帰りの道中では勇者様と直接話をしたって言う商人とも会って少し会話したよ」

「え、商人!?」


「2日くらい前かな、護衛クエストの合間にすれ違って休憩がてら合流して挨拶を交わしたんだけど、確かサンソンって名前の商人だな」

「あ、あのポーションをくれた商人か、確かに移動中に会ったな、何か懐かしい」


「それで勇者様の悪い噂とかも耳にはしたんだけど、今日の昼前に帰還して報告とか済ませてたら偶然あの戦闘パフォーマンスを見掛けたから、噂の真意を確かめようと思って話し掛けた感じだよ」

「なるほど、そう言う経緯があって接触してきたのか」


「まあ今回は割とスムーズに道中は移動出来たけど、護衛クエストの場合こちらの都合ですぐ出発って訳にも行かないから、何かアクシデントが発生してたら予定がズレて今日の午前に帰って来れなかった可能性も普通にあったけどな、その場合は今こうして一緒に食事してる事もなかったし」

「……そう考えると奇妙な縁を感じるよな、俺の方もノリと勢いであの吟遊詩人に決闘を挑んだけど、それがなかったら出会い方も変わっていた可能性はあるし」


「確かに、こっちは例の悪い噂で勇者様の事を少し疑ってはいたから、声を掛けていたにしてもあのパフォーマンスがなければ印象が違ってたかもしれないな」

「そっか、でも噂に関しては軍師様にも釘を刺されたし、全く身に覚えがないって訳では無いんだけどな、だから俺を信用するかどうかはそちらの判断に任せるよ」


「ああ、分かった、まあこの酒場に来た時に魔王討伐の為に仕方なくって話も聞いたから何か事情がある感じなんだろ? それにこれでも人を見る目はある方だから大丈夫だよ、少なくとも今の勇者様に対して悪い印象は持ってないし」

「そうそう、それにネムちゃんもアルマさんも、とっても良い子だし、その2人に好かれてるんだからピヨヒコ君が悪い人の訳ないからね」


「……っ」

「そっか、そう言って貰えるなら助かるよ、折角こうして打ち解けて仲良くなったのにアリアンロットから敵対されたくはないからな」


 敢えて”今の”と付け足したって事は、俺の行動次第で今後の評価も変わるって事だよな、うーん、偽物の勇者の存在を伝えるのもありだけどまだ不確定な内容だしマルクスも調査するとは言ってたから今の段階で俺から伝えるのは止めておくか、言い訳してる感じになるし。

 それに本当に偽物が居たとしても事件を解決すればその噂も自然と広まるだろうからそっちの方が印象は良さそうだ……取り敢えず背後の少女を制しつつ今後の行動には気を付けよう、とこれは強く念じて少女にも伝えておくかな、むむむ〜


「……勇者様?」

「あ、いやゴメン、また少し考え事をしてた、あれ、でもそれならこの食事はその遠征の打ち上げも兼ねていたのか?」


「え? ああ、一応そうなるかな、護衛クエストの帰りでもあるからギルド宿屋にチェックインして、取り敢えず明後日までは自由行動にして休みにする予定だよ」

「……なるほど、体力は回復しても毎日クエストばかりだと精神的にも疲れるし、スケジュールに合わせて休日とかも決めているのか、確かに休息も必要だよな」


「冒険者として強くなってもっと上を目指したいって気持ちもあるけど、あんまり気負い過ぎると疲れるからな、この国で生活するだけなら充分に稼げてるし」

「まあ贅沢を言えば自分達の拠点が欲しいってのはあるけどな、今までは装備とか優先して来て何だかんだと後回しにして来たし」


「そ、そうなのか……」

「ギルド宿屋にはパーティー専用の貸し部屋があるからそれに契約してるんだよ、冒険者なら色々と優遇してくれるし、遠征の間とかもちゃんと管理してくれるから使い勝手はそれなりに良くて便利なんだけどな」


「ふむふむ、やたらと部屋数が多いとは思っていたけどそう言うことか」

「コツコツ貯めてはいるんですけどね、それに仮拠点みたいな場所はありますし」


「でも彼処はバドの研究室みたいなものだろ、それに稼いだゴルドもよく分からん魔法の実験とかに注ぎ込んでるみたいだし」

「確かに趣味みたいなものですけど、個人の分前を何に使おうと自由ですからね、魔法の研究には何かとお金が掛かるんですよ」


「そんなに魔術に興味があるなら魔法修道院に通えばいいのに、実力があれば色々と融通もしてくれるんだろ?」

「亡くなった姉を懲りずに甦らそうとしてる教師が居るから嫌ですよ、しかもそれを阻止したのはボクですし、頻繁に顔を合わせるのは流石に気まずいです」


「言われてみると確かに、それは気まずそうだな」

「そう言えば、ピヨヒコ君の方はこれから何かする予定はあるの?」


「え? ああ、取り敢えず名刺交換システム? ってのがあるらしいからギルドの受付でその詳しい説明を受けようかとは思ってたけど、他にも色々とやるべき候補はあるから、その辺の事も仲間と話し合おうかとは考えてたけどな」

「……そう言えば勇者の仲間になる人材を集ってリストを作成してるんだっけ」


「あ、そうだったのか、それじゃ俺達が居て邪魔になってたかな?」

「え!? いや、そんな事は全然ないぞ、寧ろ楽しい時間を過ごせたし」


「そうですよ、色々とお話を聞けて楽しかったです」

「うん、ネムも楽しかったよ」


「そうか、それなら良かったけど……」

「寧ろこっちこそクエストの打ち上げと言ってたから、もしかして俺達が居たから酒を頼むのを遠慮してたのかもと、申し訳なく感じていたくらいだし」


「え、そんな事を気にしてたのか? 全然大丈夫だよ」

「そうそう、それにまだ昼だし、リディアが飲んで酔うと本当にヤバいからな」


「ちょっと、なによそれ、どう言う意味よ!」

「そのまんまの意味ですよ、泥酔して脱衣しそうになったら毎回アイスシェードを唱えて凍えさせて服を着させてるこっちの身にもなってくださいよ、ボク達が止めなかったら公共の場で大恥を晒してたんですよ?」


「……その節は大変ご迷惑をお掛けしました、本当に助かりました」

「と、まあそんな感じで俺達が飲むのは大体は夜で、リディアが飲み過ぎる前にはお開きにして、そのまま寝かしつかせる感じだから、勇者様が気にする事ないよ」


「そ、そうか……何か大変なんだな」

「いや、私も別に普段からそんな泥酔する程は飲んでないから、誤解しないでね」


「あ、そうなのか」

「そうだよ、それに私の事ばかり責めてるけど、アッシュ達だって普通に飲むし、そこまでお酒に強くはないから酔っ払う事だってあるんだから」


「確かに酔う事はあるけど、リディアほど悪酔いして絡んだりはしないけどな」

「まあ全員嗜む程度には酒は好きだから、高難度のクエストをクリアした後とかはつい盛り上がって羽目を外す事も確かにあるけどな……」


「……酔うとエッチな事とかしてるの?」

「!?」


「ちょっ、ネムちゃん、それは思っていても聞いちゃダメですから!」

「む? そうなの?」


「あはは、ネムちゃんにまでそう思われちゃったかー」

「え、俺も少し勘繰ったけど、酔うと本当にそんな展開になったりもするの!?」


「まあ男女のパーティーで3年も苦楽を共にしていれば、そんな事も多少は?」

「おー、なんか大人だ」


「そ、そうなんですね……モジモジ」

「……そっか、まあ年頃の男と女なんだし性欲を抑えられない事もあるよな」


「いや言い方、もう少しオブラートに包もうよ」

「あ、ゴメン、えっと、年頃の男と女なんだしムラムラする事もあるよな?」


「いや、それあまり変わってなくないか!?」

「アッシュはそういう話題は苦手だよね、むっつりスケベなクセに」


「なっ!!」

「おい、バラすのは止めてやれよ、可哀想だろ」


「えー、だって私と目を合わせて話せる様になるまでに1年くらい掛かったし」

「え、打ち解けるのにそんなに掛かったの?」


「それが今やお互いあんな事までする関係に……うふふ」

「おい、誤解を招く言い方は止めろ、リディアとは別にそんな関係じゃないだろ」


「でも酒に酔った勢いなんだろ? えっと、その……それってリディアは覚えてなかったりするのか? いや具体的な内容まで聞くつもりはないんだけどさ……」

「あ、言われてみれば確かに、まさか私が酔い潰れてるのをいい事に3人して変な事とかしてるんじゃないでしょうね!?」


「酔った勢いで変な事をしてくるのは寧ろお前の方だろうが!」

「あれ、そうだっけ? えーと、はい、そうでした……ゴメンなさい」


「ああ、そう言えば絡み上戸のキス魔とか言ってたっけ」

「それにコイツ酔って覚えてない振りして実は……」


「あ、止めてよ、アッシュ、その話をするのは!」

「コホン、でも勇者の兄さん達の方が俺達よりも若いんだし、そう言う行為に興味ありそうだけど何か慣れてる感じだよな、実は経験豊富だったりするのか?」


「え!? いや全然、もちろん興味はあるけど、そそ、そんな事ないぞ、チラッ」

「……っ///」


「おっと、なにその2人の反応、何かアルマさんに視線を向けたし、怪しいー」

「いや、ちょっと待って、何で昼飯を食べに来てこんな変な質問されてるの!?」


「む? ピヨピコもアルマも何か顔が赤い」

「リディアもランドルフも、あまり詮索するのは野暮ですよ」


「おっと、そうだったな、ちょっと調子に乗ってたわ、悪い」

「確かに、公共の場でする話じゃなかったねー」


「ゴホン、それじゃ食事も済んだ事だし俺達はこの辺でお先に失礼するよ、こちらの話に長々と付き合ってくれてありがとう、ガタッ」

「ああ、わかった……あ、それと最後にもう1つ気になってた事があるんだけど」


「?」

「あ、いや、答えたくないなら別に良いんだけど、まだ会って挨拶した程度だったのに何で自分達の素性とか、アリアンロットが結成した経緯とかまで詳しく話してくれたんだ? 俺が勇者って立場なのもあるとは思うけど、それにしてもちょっと無警戒だとは感じたんだけど、何か理由があったりするのか?」

「……やっぱり勇者様は鋭いな、まあ誰かれ構わず話すような内容ではなかったんだけど、勇者様の悪い噂を聞いて、その真意を確かめようと接触したから、それで勇者様の方も警戒していた感じだったし、不信感を抱かれたのは何か嫌だったらから信用の証としてこちらの内情を話した感じだよ」


「当初の予定だと黙って勇者の兄さんの資質を見極めるとか息巻いてたけどな」

「そうそう、私も最初はピヨヒコ君の事を疑いつつ話し掛けてたし、でも結局その事も打ち明けてたからアッシュらしかったけどね」


「……なるほど、それで色々と話してくれたのか、会った時にも最後に打ち明けてくれてたから特に不信感とかは感じてなかったけど、律儀なんだな」

「それと、いつかまた何処かで会った時にはよろしく頼む、と何か仰々しく別れたのに偶然とは言えこんな直ぐに再会して内心かなり気まずかったから、微妙な空気になるくらいなら、こちらから話題を振って楽しく会話でもしながら食事した方がお互いの為にも良いかなと、とは考えてたけどな」


「ああ、そう言う事か、俺の方も正直気まずいとは感じていたから、積極的に話し掛けてくれて助かったけどな、他にも席は空いてたから、もし誘ってくれなければ遠慮して違う席に着いてたかもしれないし」

「うわぁ、もしそんな事になってたら、私でも気まずい空気になりそう……」


「確かバドが隣の席に誘ったんだっけ、何気にナイスな提案だったな」

「ええ、まあ別に意図していた訳ではなかったのですが」


「コホン、何にせよ俺達も楽しく食事する事が出来たから良かったよ、最後にまた少し気まずい空気にはなったけどな」

「ああ、そうだな、えっと、それじゃ今度は俺の方から挨拶するかな、同じ冒険者ギルドを利用しているからまた会う機会もあるとは思うけど、その時は気軽に話し掛けて欲しいし、こちらから話し掛ける事もあるとは思うからその時はよろしく頼む、でも別に強要はしないから気が向いた時だけでも良いけどな、俺の方も場合によっては見掛けても会釈する程度でスルーする事もあるかもしれないし」


 まあそこは背後の少女の判断次第でもあるんだけどな……


「ああ、分かった、了解したよ」

「楽しい食事会だったよ、ありがとな」


「ですね、ボクも楽しかったです」

「それじゃネムちゃんとアルマさんも、またねー」


「ん、リディア、またねー」

「はい、また会いましょう」


 こうしてアリアンロットの4人は挨拶をして、ギルド宿屋に向かった。

 最初はお互い警戒心とかもあったけど、打ち解ける事が出来て良かった。


 苦楽を共にした仲間同士の絆みたいなものを感じたので、俺も参考にしよう。

 そう思ったのだが、あの吟遊詩人のストーカー行為を思い出したら、何か自然と怒りの感情が湧いて来たので、奴と仲良くして絆を深めるのは難しそうだ。


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