第50話 それぞれの思惑
マルクスに追い詰められて、昨日起きた出来事を報告する事になった。
しかし素直に王室に盗み聞きをして、宝物庫に侵入したとは言いずらい。
ここはどうにか機転を効かせて情状酌量の余地をマルクスに訴えよう。
取り敢えず昨日と同じ奥のテーブルに場所を移してから話を続ける事になった。
一緒に仲良く本を読んでいたアルマとネムも、今は俺の隣に座っている。
対面側の椅子にはマルクスと秘書のシルビアが座った。
メイドのメアリーと司書のエマさんは不在だが昨日と同じような構図だ。
「ふむ、つまり君は”盗賊のスキル”を磨くために深夜の城内を探索したと?」
「……ああ、それでつい出来心で漁り行為にまで及んでしまった」
本当は背後に浮かぶ、謎の画面の中に居る謎の少女に操られたのが原因だけど、不思議な強制力でそれを云いたくても言えないので仕方ない。
それに例え言えたとしても見苦しい妄言だと信じてもらえない可能性すらある。
そこで俺は考えた。
覚えたての”盗賊のスキル”を色々と試してみたかった、お城を巡回する衛兵は、腕試しをするには最適だったから挑んでみた、と誤魔化した。
それに昨日の話だと身内、つまり王族関係者の中に記憶の雫を使った犯人が居るのは濃厚だったから、俺としては何か手掛かりを掴めるかもと思って、それで三階に侵入を試みた、と言う事にした。
まあ実際は背後の少女に操られて已む無くだが、でもこの少女の目的もおそらくはそんな感じだろう。
「ふむ、なるほど……」
「話を聞いた時は、俺も無理に犯人を探したりはしないとは伝えたが、やはり気にはなるし真相を探るにも絶好の機会だったので実行に及んだが、それで試行錯誤の末に何とか三階に侵入する事が出来た感じだ」
「つまり目的の為に兵の宿舎から装備一式や、城の見取り図を拝借した感じかね、それに出来心だとは言っていたが、庭園でハーブを引っこ抜いたり、厨房の食材を漁ったのは盗賊のスキルポイントを稼ぐ為にやむを得なくと言ったところかね?」
「……そ、そんなところだ」
せっかく詳細を省いたのに、わざわざ具体的な内容を掘り返して来るなよ。
でもマルクスも配慮した言い回しをして気遣ってはくれているようだ。
これなら隣にいるアルマやネムの心象もそこまで悪くはないかもしれない。
しかし隣からはどこか冷めた視線を感じたので、その視線から目を背ける。
そして俺は三階に上がり、王族の部屋に聞き耳をした事を打ち明けた。
その話を聞いたアルマは戸惑っている様子だが、ここでも少し話を誤魔化した。
「それに関しては僕も廊下に気配を感じて把握はしていたが、悪意は感じなかったので、その場では泳がせて見逃したがね」
「そんな話をしていたな、その会話は実は俺も隠れて聞いていた」
「ふむ、つまり君は僕たちが廊下に出てきた時もあの場にいたと?」
「マルクスの部屋に聞き耳をした後、少し情報を整理していたら隣の部屋から誰かの気配を感じて、それで思わず四階の階段に続く曲がり角に身を隠し、息を潜めてなんとかやり過ごしていた感じだ」
本当は例の胡散臭い吟遊詩人の能力によるものだが、奴の話をすると更に面倒な事になりそうなので、庇う訳ではないがあの場にベオルフは居なかった事にした。
と言うかもしかしてマルクスの気配察知は”相手”が誰かまで分かるのか?
「……なるほど、咄嗟の判断で距離をとり僕の気配察知から逃れていたようだね」
「部屋からアルマが出てきた時は正直驚いたけど、アルマは元々は国からの要請で仲間になったから、その近況報告など踏まえての事だとは理解した、でも状況的に話の内容までは聞けなかったけどな」
その話を聞いたアルマは少し居心地が悪そうな感じだが、こう言っておけば俺がグラウスの部屋に聞き耳はしなかったとは思うはずだ。
実際もう少し一階や二階の攻略に手こずっていたら、グラウスやそれこそ王様の部屋での会話は聞けなかったと思うし……
何となくだか失敗を重ねる度に聞ける情報が減っていく仕様なんだと感じた。
それで背後の少女が例の”ループ”の力を行使してやり直した、とは考えている。
実際にループする前には五回ほど失敗を重ねて、メアリーに注意もされたしな。
「ふむ、しかしブックル君に追加された冒険の記録、によると君はあろう事か四階の宝物庫にまで侵入して更にはそこにあったゲートにより魔王城に飛ばされ、魔王と対峙したとまで書かれているね、是非その辺の詳細も教えてくれるかな?」
「……分かった、増えたページの内容は誤魔化せないし、そこはちゃんと話す」
「そうか、それでは聞くとしよう」
「ああ、俺はあの場で息を潜めてやり過ごし、これ以上の情報収集は危険だと思い引き返そうと思ったんだが、その際に四階から何か脳内に直接、囁き掛けるような声が聞こえて来て、その声の主に導かれ気が付いたら宝物庫の前に居たんだ……」
ピヨヒコは真剣な顔をして、やはり内容を少し誤魔化しつつ事の経緯を伝えた。
◇
「うーん、何か今回も結局は会話イベントが続く感じになりそうだな……」
桜子は背後の画面からこのやり取りを傍観していたのだが、余りにも長ったらしかったのでピヨヒコの”言い訳”の内容を簡略化する事にした。
要は宝物庫に侵入した理由を全部あの暗幕で封印? されていた”不気味な杖”のせいにして、意図して不法侵入した訳ではないと訴えた感じだ。
扉の鍵が掛かっていなかった理由は、食事の際のワインで酔っていたマルクスが施錠をし忘れた可能性があるとは本人も言っていたが、真意の程は定かではない。
プレイヤー目線だとシナリオの都合で偶然にも空いてたとかで通じるし、個人的にはそこまで理由付けなんて必要ないのだが。
その話を聞いたピヨヒコは何処か疑っている様子だった。とは言え、強く念じて私に何か伝えて来たりはして来なかったけど……
と言うかコイツ、もしかしてちょくちょく私の存在を忘れてないか?
お風呂イベントでも何かそんな感じだったし。
まあそれならそれで別に構わないけど、頻繁に思考を飛ばされても煩わしいし。
そしてピヨヒコは強い意志で邪悪な杖の誘惑を振り払い封印する事に成功した。
と、何かやたら誇張した感じで主張していた。
この杖の詳細もあまり言及はされなかったけど、どうやらマルクスが言うには、過去の勇者パーティーの1人が所持していた貴重な杖らしい。
確か大魔道士ソーマの、とかあの杖も言ってた気もするから、後々のクエストで絡む感じなのかもしれないので一応覚えてはおくかな。
何か名前から察するとあの大作RPGのオマージュ的な要素な気もするけど。
と言うか”宵闇の衣”とか、4つの魔石で弱体化とかもそんな感じだよな。
と言う事は今の復活した魔王タナトスの正体は実はそのソーマだったりする?
まあメタ読みしてもこのゲームは予想外な展開も多いから違うかもしれないが。
その後ピヨヒコは悪いとは思ったが、と強調して父の形見の”ドラゴンメイル”の事も気になっていたので、宝物庫を少し見回り鑑賞した事をマルクスに伝えた。
もちろん盗みなどはしていない、と念押ししていたがその際に奥の部屋にあったワープポットと思わしきオブジェクトに興味本位でうっかり触れてしまい、しかも何故か勝手に発動して、そして魔王城に飛ばされた、と事の経緯を話した。
ピヨヒコはその後に起きた魔王城での出来事は割りと詳細に語った。
魔王から直接聞けた有益な情報もあったので、この辺りの内容はマルクスも興味を持ち質問などもされていたが、ピヨヒコの主観も含めて色々と口論していた。
その際にネムと一緒に話を聞いていたブックルも証言をしつつ会話に参加した。
ゲートを再起動する為に使用した固有スキル”マジックポット”の特性なども説明を求められる状況になったので素直に打ち明けた。
どうやらこの固有スキルも空間魔法の応用らしくマルクス達も感心していた。
それでも寝てる魔王に悪戯した件や、魔王から盗んだ宝箱や指輪の事はそのまま報告すると没収されると思ったのか伏せていたけど……
特にプレイヤー側から選べる選択肢もなく、ずっと会話イベントが続いてたので正直この辺は聞いていてかなり億劫だった。内容的にも振り返りだしな。
とにかくその結果、土の魔石を活用して無事に帰還する事が出来た感じだ。
◇
テーブルの中央にはピヨヒコが取り出した”土の魔石”が置いてある。
「ふむ、我々も行方を探してはいたが、まさか君が所持していたとはね」
「まあ俺にその記憶はないんだけど、欺くように”鉄の額当て”に嵌っていたから、土のベリアルを倒した大規模侵攻の当時に何かしらあった感じかも?」
「わざわざ額当てに加工されていたなら他にも誰か介入しているとは思うが、取り敢えず無事に魔王城から帰還して良かったよ」
「ああ、割りと絶体絶命な状況ではあったが、それと気になってはいたんだけど、ゲートが起動した時に割れるような音がしたんだが、あれは”土の魔石”がゲートに反応して封印が解かれた感じなのか?」
「おそらくはそうだろうね、それにあのゲートを使うには相応の魔力が必要だからそこまで用心しないで宝物庫の奥に保管していたのだが、まさか君が新たに覚えた固有スキルの特性でその条件をカバーするとはね」
「何か偶然が重なった感じだけどな、それよりその封印が解けて問題ないのか?」
「いや、問題はあるが既に対応はしてるから大丈夫だよ」
「そうなのか?」
「ゲートの封印に関しては専門の”結界術士”に管理を任せているのだが、現在その張り直しの作業をしてもらっている」
「……そっか、故意ではなかったとは言え何か迷惑を掛けて申し訳ないな」
と言うかそれ以前に、そもそもその封印に何か意味はあるのか?
魔力が足りないとゲートは発動しない仕様なんだし、魔王軍があのゲートを利用して侵攻してくるのをその結界で防いでたりするのだろうか?
魔王に関しては何か制約とやらであの場所に縛られている感じだったけど。
「想定外の事態だから君がそこまで気にする事はないよ、それにどちらかと言えばお手柄だしね、魔石の有用性も実際に使って証明出来たようだし、それに何よりも魔王軍が内部抗争の水面下にある事実は、かなり有益な情報だよ」
「そうか? 俺としては勇者としての立場がなくて少し自信を失いかけたんだが」
「その情報を上手く扱えば場合によっては魔王タナトスと、配下の炎のレギオンを意図的に仲違いさせて戦力を削る事も出来そうだよ、くっくっくっ」
「そ、そうか……」
軍師としての血が騒ぐのか、何か悪い事を考えていそうな顔をしてるな。
それに情報操作か。そう言えば盗み聞きした王様の話によると、この国のお妃様は実は四天魔族の一人、えっと確か名前は、水のエレノア? なんだよな?
何か魔石を回収して引き継ぎを済ませたとかの話もしてたから、もしかして既に違う水の四天魔族が居るのかもしれないが、マルクスはその事を知っているのか?
俺の祖母にもあたる人物だけど、マルクスやグラウスからしたら義理だけど母親なんだし、一緒にこの城で暮らしてるんだよな?
もしあの話が事実ならその正体は魔族なんだろうし、いくら何でも種族すら違うのにその事に気が付いていないなんて事があるのか?
マルクスを観てみると何か小賢しい戦法でも思い付いたのか、秘書のシルビアと何やらコソコソと話しているのだが、愉快そうな顔をしている。
こちらに意識を向けてないようなので俺ももう少し考えを整理する事にしよう。
思考スキルを発動してもいいけど、それをするとまた背後の少女にこちらの思惑まで読まれるんだよな、情報共有は大切だけど今回は止めておくか……
目覚めた時に俺もお妃様とは顔は合わせたけど、魔族だとは思わなかったな。
いや、そもそも一般的な魔族がどんな風貌や容姿なのかはあまり知らないけど。
確かワーウルフとも呼ばれるコボルト族? とか言うのがこの国に居るとは聞いたけど、ウルフって言うくらいだから見た目はやっぱり狼なのか?
つまりは人狼? 夜な夜な城下町の住人を襲っていたりしてそうで何か怖いな。
まあそんな真似をしていたら国から追われて討伐対象にされるだろうけど。
そう言えば魔王タナトスにはツノが生えてたけど、魔力を解放した時は纏っていた宵闇の衣を拳に集中させて、フォルムチェンジしていたな。
それで口元は見えたけど、目元は黒いマスクを被った感じでそのまま隠れていたから敵ながら見栄えが良くてちょっとカッコよかったかも……
それに最初はローブを着ているのかと思ったけど、立ち上がった時によく見たら実際は襟付きの黒いマントを羽織ってる感じだったんだよな。更にその下には何かボディースーツみたいなのを着ていて、思った以上にマッチョな体型だった。
しかも拳で殴り掛かってくる戦闘スタイルだから、会話した感じだと割と温厚な印象もあったけど、実際はかなりの武闘派だよな。
如何にも悪役と言うか”ヴィラン”って感じがして、魔王としての威厳を感じた。
魔力量も相当なものだったし、俺は本当にあんな化物みたいな奴に勝てるのか?
……まあ本当の決戦はまだ先の事だろうし自身のレベルアップに励むとしよう。
おっと思考が脱線したけど、マルクスの義理の弟にあたる第三王子様の、えっと確か名前は、ルキウス? は魔族と人族のハーフって事になるのかな?
まだ会ってないからどんな容姿なのかは分からないけど、見た目は人族なのか?
マルクス達を欺いているなら、魔法とかで本来の容貌を変えているのかも?
でもあの王様に絆されて魔王軍を既に離反してるなら、お妃様や第三王子は敵ではないのかもしれないけど……いや、でもまだ何とも言えないよな。
そもそも、あの覗き魔の変態の髭の王様の事も全く信用出来なくなったし。
この国の第一人者が裏で魔王軍の関係者と密会してるとか、とんでもない裏切り行為だし、密かに国家転覆でも狙っているのか?
でも話の内容的には完全に敵って訳でもないのかも? 何か自分は傍観者だとか言っていたし、それに孫達の活躍を見守るとか言ってたけど、それって俺とアルマの事だよな? それと一緒にいた魔王のサポーター? らしき謎の女もシナリオがどうこう言っていたから、王様とはまた違う目論見がありそうな感じだったし。
うーん、でもこの場でその話を切り出すのは流石に悪手だよな? 下手な質問をすると聞き耳した内容まで根掘り葉掘り聞かれそうだし、今は止めておくか。
一応マルクスの事は信じてはいるが、さっきの感じだと意図して宝物庫の扉の鍵を閉めなかった可能性もありそうだし、三階での聞き耳に関しても上手く誤魔化したつもりだったけど、矛盾とか指摘されていたら危なかった。
実際にはマルクスの部屋を聞き耳してから、アルマが出て来るまでそこそこ時間は経っていたし、気配察知のスキルを使っていたなら、俺が隣のグラウスや王様の部屋に聞き耳をしていた事も把握してる可能性は普通にありそうだよな。
何となく全てお見通しなのに、敢えて見逃されている感じもするな。
マルクス本人も気付いていながら悪意を感じなかったからそのまま泳がせたとか言っていたし、と言う事は王様やお妃様の事も、実は知りつつ黙認してるとか?
自国の危機よりも自身の愉悦を第一に考えていたりする危険な思考なのかも……
いや、でももしかしたら途中からシルビアの艶やかな嬌声が聞こえてきたから、マルクスも”そっち”に集中して気配察知のスキルを解除してたのかも?
もしそうなら、俺がずっとその”行為”を聞いていたとか思われてたりもする!?
そう思い当たり向かいにいるシルビアを見てみると、こちらの思考を察したのか不機嫌そうな表情を一瞬したかと思ったら、さっと顔を逸らした。
しかし見られて恥ずかしいのか頬を微かに染めて赤いのだが、その仕草が何処となく可愛らしく感じる。
よし、この際だから失礼を承知でシルビアの事をよく観察してみる事にしよう。
「じぃー……」
「!?」
髪色は淡い薄紫色でショートミディアムの髪型なのだが、先端は軽くウェーブが掛かっていて、クールで何処かミステリアスな雰囲気がある。
それに凍えるような鋭い視線を放つその瞳は、透き通るような綺麗な青色だ。
知的な印象だけど”氷塊”のシルビアの二つ名の通り、暴力性も秘めていて嫉妬も含めて怖いのだが、マルクスが秘書にするだけあって容姿端麗でスタイルは良い。
何となく普段は冷たいが、心を許した相手にはかなり尽くすタイプな気がする。マルクスとは恋人関係みたいだが”氷解”のシルビアはどんな感じになるんだろう。
それに廊下に出てきた時に見た、あの透け透けのネグリジェはかなり凄かった。
シルビアの寝巻き姿を思い出したピヨヒコは、視線を自然と身体の方に向けた。
「じぃー……」
「……っ」
「ゴホン、色々と思考するのは構わないが時と場所は弁えたまえ」
しかし節度なく視線を向けていたらマルクスに咳払いされ阻まれた。
「おっとすまない、取り敢えず俺からの報告はこんなところだな」
「ふむ、了解したよ、それとその”土の魔石”はそのまま君が所持しておいても構わないからストレージにでも入れて管理しておくといい」
「え、いいのか?」
「ああ、問題ないよ、我々が保管しても構わないが、紛失した前例もあるので君が持っていた方が安全だろう」
「……俺が所持してたんだし、俺自身がその当時の犯人の可能性もあるよな?」
「その可能性も確かにあるが、ベリアルが倒された時はこちらで厳重に管理していたにも関わらず盗まれたから、君以外の何者かが関与してる可能性も高いからね」
「なるほど」
「その場合、犯人は君と関わりが深い人物かもしれないが、再び土の魔石を狙っている可能性もあるし、真意が分からない以上は油断は出来ないね」
「それはつまり、もし記憶の雫が使われてたと仮定した場合、その犯人と土の魔石を盗んだ人物が同一犯の可能性もあるのか?」
「記憶の雫の鑑定結果にもよるけど、その可能性は確かにありそうだね」
うーん、記憶を辿ってみてもやっぱりその当時の事は全く覚えてないなぁ……
と言うかそんな事が出来るのは限られるだろうし、あの王様が一番怪しいよな。
「分かった、取り敢えず俺が持っていて良いならそのまま所持しておくよ」
「ああ、そうしたまえ」
「お話おわったー?」
「ん、そうだな、個人的には少し疑問とかもあるけど、マルクスも何かと忙しいだろうし別の機会にするか、それにもうお昼頃だからお腹も空いてきたし」
「お昼ごはん? わーい♪」
「お、ネム、良かったナ」
「次の機会がいつになるかは分からないけど、それでもいいか?」
「ああ、僕もそうしてもらえると助かるよ、取り敢えず報告はこの辺にしようか」
長い会話が退屈だったのか、ネムに催促されたので話を区切る事にした。
「アルマも部屋まで起こしに来てくれたのに直ぐに返事が出来なくてゴメンな」
「え? いえ、全然、大丈夫ですよ」
「ピヨピコはお寝坊さんなんだねー」
「ああ、ゆっくり寝れるのは幸せな事だからな」
「そう言うネムだって朝は寝坊してたジャナイカ?」
「むー、そんな事ないぞー」
大人しく話を聞いていた三人も気が抜けたのか、何処か安堵した様子だ。
「オレ様が何度か呼び掛けても起きなかったジャナイカ?」
「むー、口答えするなぁ、燃やすぞぉ」
「ヒィ!?」
「ネ、ネムちゃん?」
ピヨヒコは怖かったのでネムの今の発言は聞かなかった事にした。
きっとお腹が空いて機嫌が悪かったのだろう。
と言うか何処でそんな乱暴な言葉遣いを覚えたんだ?
個人的には王様や王妃様の事とか少し聞いてみたかったけど、あまり闇雲に藪を突くと痛い目に遭いそうだから、追求するのは確たる証拠を集めてからにしよう。
それに王族の詳しい家系図や相関図なら、アルマに聞けば教えてくれそうだし。
取り敢えずこれで長かったお城訪問も終わりだな。
報告も無事に済み、ピヨヒコは心の底から安堵した。




