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第5話 見習い魔術師アルマ 前後編

サブタイトルに合わせて文字数は調整しています。

長いと感じたら申し訳ないですが、ご了承ください。

第五話 見習い魔術師アルマ 前編


 ギルドでの登録を済ませ、武器屋で装備を新調した盗賊のピヨヒコ。

 待機していたヒロインと思わしき魔術師に話し掛けられたが、まだ慣れない名前を呼ばれたので条件反射で苦い薬草を食べた時のような渋い顔をしてしまった。


「え、あ、あの、すみません、人違いだったでしょうか?」


 オドオドとした態度で、申し訳なさそうな顔をしながら聞き返された。

 如何にも魔法使いみたいな格好だけど、一体何者なんだろうか? 

 俺の事を名前で呼んだって事は何か事情を知っている感じなのかも?


「あ、いや、俺が勇者であってますよ」


 名前の事で複雑な気分になったが、この女性が悪い訳でもない。

 ピヨヒコは無理やり愛想笑いを作り対応する。

 女性は人違いではなかったと安心したのか改めて口を開く。そして何やら手渡して来た。


「えっと、私はこう言う者です」

「ふむふむ? 見習い魔術師のアルマ?」


「勇者様のサポートをするようにと国から派遣されて来ました」

「サポート?」


 彼女が言うにはこの王国のお偉いさんに要請された魔術師との事だ。


 挨拶を済ませて王国の要人からの封書を差し出したので内容を確認してみると、なんでもまだ見習いではあるけど優秀らしい。

 この国の地理や情勢にも詳しく博識で、魔物の知識もあり魔法にも精通している自分が勇者の支援者として、魔王討伐の任務に一緒に同行すると言う内容だった。


 詳しい選考の経緯や生い立ちなどは書いてないが、常に何処かオドオドした感じで身構えてるし、正直あまり頼りにはならなそうな印象なのだが。


 それでも記憶もなくいきなり勇者に任命されて、この世界の事をまるで知らないピヨヒコにとっては有難い申し出だったので断る事なく承諾する。


「わかった、よろしく頼むよ、えっと、アルマ」

「はい勇者様、ではこれから宜しくお願いしますね」


 アルマは優しい笑顔でそう言った。


 城下町での泥棒騒ぎで勇者の評判は良くないと思ったが、もしかしたらその事を知らないのかもしれない。自分に対するアルマの印象は特には悪くはないようにも感じた。

 敵意がないならこちらも仲間として迎えて、真面目に対応しよう。


 これから一緒に冒険するなら仲良くはしたいところだしな。


 ラララン~ラララン~ララララン♪


 唐突に何処からか仲間の加入を祝福するような効果音が流れてくる。

 周囲を見渡しても演奏してる音楽家などは居ないのだが、アルマにはこの音とか自然と流れてくる曲とかは聞こえているのだろうか?


 それに俺の背後を追従する違和感しかない画面もだけど、特に反応はしてないし今までの周りの反応からしてもアルマには見えてないとは思われるのだが……

 仲間になった直後に変な質問をして、頭のおかしな奴だと思われるのも嫌なので取り敢えず心の中に留める事にしよう。


 そんな事を考えていたら、アルマが何か云いたげな様子でこちらを見ていたので聞いてみた。


「その、お互いの実力も把握したいので近場の狩り場で試しに戦闘してみます?」

「狩り場?」


「ええ、近くに手頃な探索エリアがあるんですけど、危険度も低いので初心者には推奨される場所なんですが……」

「わかった、お互いの事をもっとよく知る必要はありそうだしそうしよう」


「そ、そうですね」

「……えっと、場所とかも分からないから案内を頼めるかな?」


「は、はい」


 アルマからの提案でお互いの能力や実力を把握する事にした。

 確かにお互いの能力を知らないと、いざという時に困るからアルマの提案に同意したのだが、何かまだぎこちない感じで、何処となく気まずい空気だ。


 外で一緒に魔物を退治したりしてれば、その内に打ち解けるだろうか……

 出発の前にギルドに立ち寄って、薬草採取のクエストも受ける事にした。


 回復ポーションなどは冒険者にとって必須の消耗品なので原料の薬草は常に納品依頼があるらしい。手持ちの薬草を納品しても構わないのだがどうせなら基本的なクエストの手順や流れも覚えたいと判断したようだ。

 手傷を負った場合を考えると回復手段としても必要にはなるので、自分達で使う分も余分に採集するとしよう。



 準備を済ませたので【初心者の狩り場】と呼ばれる、初心者がよく利用する場所にアルマに案内されて来た。

 話によるとこの辺りの平原にはワーキングウルフの様に群れで襲ってくる魔物も居ないようで“ファーラビット”と呼ばれる、モコモコした角の生えた兎の魔物が出現するらしい。


 初心者でも苦戦する事はないが、素早い動きで攻撃が当てづらく油断するとその角で怪我する事もあるようだ。他にも大きな猪の魔物とかも稀に出現するらしい。


「初心者専用の狩場か、こんな場所があったんだな、知らなかった」

「冒険者は大体ここで戦闘して戦い慣れていく感じですね、ギルドに登録する際にギルドの職員からこの探索エリアを先ずは推奨されるはずなんですけど……」


「えぇ? そんな話は聞かなかったけど?」

「そ、そうなんですね、まあ担当のギルド職員にもよりますから」


 ギルドで対応してくれた眼鏡の受付壌さんは少しおっちょこちょいな性格なのかもしれない。そう考えてピヨヒコは、そんな失礼な設定を勝手に生やした。


「ギルドに登録する前に少し外を探索したけど魔狼なら何匹か居たな」

「この周辺地域の魔狼ならウォーキングウルフですね、群れで行動する事が多いので場慣れしてないと1人で戦うのは危険なんですが……」


「囲まれたけど薬草もあったから何とかなったけどな」

「あまり無茶はしないでくださいね、ソロで活動してる冒険者も居るには居ますが初心者に限らず、基本的に魔物との戦闘はパーティー推奨ですから」


「あ、ああ、そうだな気を付けるよ」

「無事で良かったです……」


 何か気を遣われた。確かに1人で魔物と戦うのは危険だと思うけど、その判断を背後の画面の少年がしてくれるとは限らないのが切ないところだ。


 他愛のない会話をしたが、打ち解けてないからかお互いにまだ少しぎこちない。

 そのまま探索してたら、薬草を幾つか見つけたので黙々と摘んでいく。


「……」

「……」


「……」

「……」


「あ、あの」

「む?」


 沈黙に耐え兼ねたのかアルマの方から話し掛けて来た。


「えっと、本当はここよりも更に進んだ魔女の森に泉があるのですが、その付近が薬草の群生地になっているんですよね、乱獲は出来ないので一度にそこまで搾取は出来ないですけど」

「ふむふむ?」


 何でも探索フィールドで拾える素材になる薬草や花、それに果物などの食材は、決まった場所に植生してるようで一度採るとある程度は時間を空けないとリポップしないらしく、採れる数には限りがあるらしい。


 リポップって何だ? 知らない言葉だったのでアルマに素直に質問してみた。


「リポップは採取した素材、もしくは倒した魔物が再び出現する事を指す言葉ですね、ダンジョンとかだと宝箱とかも稀にリポップするようです」

「なるほど、何か美味しそうな名前だな」


「え、そうですか?」

「なんか甘いお菓子とかそんな印象があるかも」


「……もしかしてホイップ?」

「ああ、それだ、何か語呂が似てたから間違えた」


「そ、そうですか……」

「ゲフンゲフン、取り敢えず教えてくれてありがとう」


 と言うか記憶喪失なのにホイップクリームの事は何故か知ってるんだな。

 アルマも知ってたなら、この世界には普通にお菓子とかもあるようだ。


「いえ、分からない事があればまた気軽に聞いてくださいね……フフ」

「!」


 ぐぬぬ、恥を晒してアルマに笑われたので話を誤魔化す事にした。


「ま、魔女の森か、泉までは行かなかったけどその辺りで魔狼が群れで襲って来て戦ったんだけど、何故か敵が順番に行動して来たんだけど……」

「ええ、戦闘には行動順があるので基本的には素早さが速い順からになりますね」


「あ、やっぱり行動順があるのか……」

「ですね、様々な要因で行動順にも変化があるので注意は必要ですが、例えば魔法の詠唱や属性による状態異常によっても行動に変化はありますし、あと敵の攻撃による行動阻害やバフやデバフの状態によっても順番が変わって来ます、それと職種のスキルによっても行動順に影響はありますよ」


「ふむふむ? 何か色々とあるんだな」


 何やら難しい説明をされたが、ちんぷんかんぷんだ……

 とにかく戦闘は素早さの順番に行うとだけ今は覚えておこう。


 行動順に関しては戦闘を繰り返していれば自然と自分の順番が理解出来るようになるらしいのだが、ターン制バトルとも呼ばれ【行動ターン】とも呼ぶらしい。


 最初の自己紹介で博識とか優秀だとか強調されたので少し自慢か? とも感じたけど、本当に色々な事を知ってるようだ。

 それに思ったよりもよく喋る、教えてる時は笑顔で生き生きとしている。


 記憶喪失でこの世界の常識もまだよく知らないし、物知らずで恥をかく事もあるけど知ったかぶりをしたり、分からないまま勝手に理解したつもりになるよりも、ちゃんと質問して理解した方がいいな。


 今後も分からない事があれば素直にアルマを頼るとするか。

 それに会話してればお互い打ち解けて仲良くなれるとは思うし、なるべく俺の方からも話題とかあれば積極的に話しかけたり、質問するように心掛けよう。


 そんな事を考えていたら唐突に流れていた演奏が激しい曲調に切り替わる。


 テロテロテロテロテーラーラー♪


 ウォーキングウルフと戦った時と同じ戦闘曲だ。


「あ、出ましたね、あれがファーラビットですよ」

「……何か可愛らしい姿だけどこれも魔物なのか?」


 目の前には毛皮でモコモコしたまん丸な兎の魔物が居た。角が生えているのだがつぶらな瞳と長い耳がなんか愛らしく、群れで出現はしてないようで単体だ。


「……」


 身構えているが魔兎は攻撃して来ない。その場でお腹をコロコロしながらこちらを見ている。その姿は想像以上に可愛らしくどうすれば良いのか分からず困惑した顔でピヨヒコはアルマとファーラビットをキョロキョロと無言で交互に見渡した。


「……ぷっ」

「!?」


 笑われた!? いや、確かにちょっとシュールな光景かもだけど。


「コホン、すみません、勇者様はファーラビットよりも素早いので何か行動してみてください」

「あぇ? そ、そうか、わかった」


 そう促されたので覚悟を決めて武器を構えて攻撃する。


 ムキュ? ボヨンッ


 するとこちらの攻撃に反応してファーラビットは丸くなり弾みながら避けようとした。それでも当てられない感じでもなかったので上手く剣で斬り付ける。


 ザシュ!


 反撃はなくそのまま魔兎は倒され、黒い靄を霧散させ消滅する。

 武器を買い換えた影響もあってか一撃で仕留める事が出来たようだ。


 しかしその見た目の可愛さもあり罪悪感がかなりある。しかも先制攻撃の一撃で一方的に仕留めたので手に残る斬った感触はワーキングウルフの時の非じゃない。


 罪の意識で剣を握った手が少し震えているのを感じる。

 魔狼の時と同じで血とか臓物は何故か出ないけど“魔物”だからなのだろうか?


 そうだ、これは世界を脅かす魔王が使役する凶悪な魔物なんだ、可愛い見た目に騙されて油断してたらこちらが殺られる。そう自分に言い聞かせて正当化する。

 心の中では安らかに眠ってくれとお祈りをしておこう。


「楽勝でしたね、流石は勇者様です」

「あ、ああ、ありがとう」


 それでもアルマに褒められると少し嬉しく感じる。


 その後もまた暫く探索と薬草採取をしながら続けて何匹かの魔兎と遭遇したので戦った。群れないとは聞いていたけどこの場所だと多くても三匹以上同時には出ないようだ。

 その身体をゴム毬のように弾ませて、何度か攻撃を避けられたけど苦戦する事はなく倒せた。アルマの杖の扱いも中々達者だ。


 それと何か蛇のような魔物も見掛けたけど、発見したら茂みに逃げて行った。


 魔物にも好戦的なのも居れば臆病なのも居るようだ。ファーラビットは見掛けると積極的に襲い掛かってくる印象はあるけど、アルマに聞いてみたら魔物の特性によって行動パターンも様々なようだ。

 

 とは言えやはり見た目は可愛らしいので魔物とは言え、多少なり罪悪感も感じるのだが、それでもドロップした素材は遠慮なく回収する。


 その様子を見ていたアルマが何やら感心してる様子だ。

 可愛い魔物にも非情になれる自分の胆力に対する評価かな?


 少し自信を付けたピヨヒコだったが、途中で一度アルマの魔法が披露してくれた火の魔法は、見た目も派手で何か凄い威力だった。

 アルマの非情さも大したものだと少し恐ろしくなった。魔物とはいえ業炎に焼かれる特に罪の無い魔兎を見て、心の中で手を合わせ念仏を唱えた。


 口調も丁寧だし優しくて物腰も柔らかいのだが、この手のタイプはキレると案外怖いかもしれないので怒らせないように注意しよう。


 そのまま何度か戦っていると抵抗感もだんだん薄まってくる。


 慣れとは恐ろしいものだと感じるけど、経験値にもなるし手に入れた素材は冒険を続ける為の生活の糧となるのだから魔物と言えどもその命に感謝しなくては。


 それとアルマに説明されたように行動順に関しても、戦っていると何となく自分の行動ターンが分かってくる。

 と言うか俺が理解してなくても背後の画面の少年がまるで分かっているかのように指示を出してくる感覚がある。


 操られて直接戦闘してるのは俺だが、その指示は今のところ的確とも言える。

 まだ年端もいかない子供なのにこの少年も戦闘に必要な判断力と、非常さを兼ね揃えているようだ。本当に何者なんだろうか……


「初心者の狩場と言われてるだけあって戦闘の基礎を覚えるには最適な場所だな、魔兎は遭遇すると敵意を向けて襲っても来るし」

「そうですね、ファーラビットは攻撃を仕掛けると弾んで避けるので武器の扱いの訓練にもなりますし、それに角で攻撃を受けると致命傷にはならないですが、そこそこ痛いので、避けたり盾で受ける練習にもなりますから、立ち回りも自然と覚えられますね」


 そしておそらく初期装備だと一撃では倒せない。でも群れでは襲って来ないならソロでも何とかなるし、まさに初心者にはうってつけな感じの魔物だ。しかも近場だから初めての探索と合わせても程よいバランスだな。


 もしかしたらこの世界で一番弱い魔物なのかもしれないが、その可愛さは魔物の中で一番かもしれない。生物と戦う上で乗り越えないといけない精神面での成長にもなるな。


 暫く探索を続けていたら、そろそろ夕刻なのか、辺りが少し暗くなってきた。


「夜になると危険なので今日はこの辺で切り上げて帰還しますか」

「そうだな、なんか精神的なダメージも受けた気がするし帰るとするか」


「ああ、分かります、見た目は可愛いから抵抗感はありますよね」

「そ、やっぱりそうだよね? 俺の感覚がおかしいのかと思った」


 容赦なく過剰攻撃とも言える魔法を魔兎に放っていたので正直怖かったのだが、どうやらアルマもファーラビットの事は普通に可愛いとは思っているようだ。


「女性冒険者とかだとその可愛い容姿に魅了されて倒せないとかも聞きますね」

「そうなのか、まあ気持ちは分かるが……」


「それでも需要があるのでおそらくこの地域だと一番狩られてる魔物でもありますけどね」

「需要? ああ、初心者には戦いやすいし戦闘に慣れる為にも需要はあるのか」


「ええ、まあそれもあるのですが素材目的で狩られる事も多いですね、それよりも夜になると探索エリアも様変わりするので慣れないうちは早めに帰還するのが良いかもです」


 夜は出現する魔物の種類も変化して、日中よりもかなり強くなるようだ。

 視界も悪いので冒険者は無理して夜に出歩いたり、進んで戦闘はしないで宿屋で寝たり、安全を確保しつつ夜営とかしてやり過ごすのがセオリーらしい。


 アルマと来た道を引き返し、歩きながらそんな会話をしていたのだが……


 何か変だ、身体が重い。

 体力は問題ないようだが慣れない戦闘で自分が思っている以上に消耗しているのだろうか? もしもの事があっても困るので一応アルマにもその事を伝える。


「ぐぅ、何か身体がダルいような、力が抜けるような、なんだこれ?」

「あ、それはもしかして勇者様――」


 テロテロテロテロテーラーラー♪


 その言葉を遮るよういつもの戦闘曲が流れ茂みからガサゴソと魔物が出現する。

 またファーラビットかと身構え、警戒しながら視線を向けるが、そこに居たのは大きな猪の魔物だった。



第五話 見習い魔術師アルマ 後編


 王国から派遣された魔術師のアルマと合流して、初心者の狩場にやって来た。

 見た目も可愛らしいファーラビットをしばきつつ、互いの実力を確認した。

 その帰路につく際、謎の疲労感を感じたのだが茂みから大きな魔猪が出現した。


「勇者様、気をつけてくださいね、この魔物は【ファングボア】と言って、動きはファーラビットよりも遅いですが牙と突進による攻撃とその体躯により体力もそれなりにありますので」 


 そう言うとアルマは魔法の詠唱を始めた。

 魔兎よりも遅いならとピヨヒコは武器を構えて攻撃しようとするが何故か身体が動かない。その事に戸惑っているとファングボアが動き出して突撃してきた。


「あれ、俺の行動順なんじゃ!? ……がふっ」


 体当たりでピヨヒコの身体が軽く吹っ飛ぶ、予想外の出来事でかなり痛い。

 そして何故か今度は動けるようなので武器を構えて攻撃に移行する。


 サクッ! 


 攻撃は当たるが思ったほど威力は出てないようだ。やはり何か変だ。

 ファーラビットと戦った時よりも、明らかに身体に力が入らない。


「サンダーボルト!」


 詠唱を終えたアルマが魔法は発動すると鋭い雷撃がファングボアを直撃する。

 魔猪はその電流で身体が硬直してるように見える。


「感電してスタンしました、勇者様、続けて行動してください」


 アルマがそう言うと、再び詠唱を始める。

 

 ええ? さっきは先にこの魔物が攻撃して来たから、今度もまたこの魔猪の行動ターンなんじゃ? そう疑問に思ったがファングボアは今の雷の魔法の影響なのか痺れて何もして来ないようだ。ピヨヒコは再び武器を構えて攻撃する。


 ザシュ!


 魔猪は避けることもなく攻撃が当たる。しかしまだ体力はあるようだ。


「勇者様、延焼する恐れがあるので少し離れてください、ファイアボール!」

「延焼? よく分からないけど分かった!」


 先程の雷の魔法とは違い、今度は火の玉がアルマの持ってた杖の先から発現して魔物に直撃する。ファーラビットに対しても使ってた炎の魔法だ。


 プギィィィ!?


 燃え盛る炎にファングボアが苦しみながら呻き声を上げる。火の玉が爆ぜて炎が燃え広がってる。

 これが延焼か……しかしファングボアは身体をブルブルと振り回し火を消した。


 そしてそのまま怒りに任せて突進してきた。ターゲットは再びピヨヒコだ。


「ええ、何で!? 今度は俺じゃなくて魔物の行動が先なの!?」


 敵味方の行動の順番がよく理解出来ずに困惑していたら、魔猪の突進を正面から受ける。

 が、今度は装備してた小盾でタイミングを見極めて受け止める。


 ガキンッ!


 衝撃はあるが直撃するよりは遥かにダメージを抑えられているようだ。


「勇者様、魔物はもう瀕死のようです」

「よ、よし任せろ、これでとどめだぁ!」


 サクッ


 そう意気込み、剣を構えて跳びファングボアを斬り付けるのだが、思ったように力が入らずヘナヘナ~、とした剣筋になってしまい勢いがない。

 魔猪は、プギィィ、と悲鳴を上げて傷口から黒い靄を噴き出してはいるが、まだ倒しきれてはいないようだ。


 それを見てアルマが無言で杖を構えて魔物に近寄り、ポコンと殴り、ダメージの蓄積でその場から動けなかったファングボアを見事倒す。すると黒い靄が霧散してそのまま消滅した。


 戦闘に勝利しお互い目が合うが、何処か少し気まずい空気になってしまった。


「……役立たずでゴメンナサイ」

「え!? いやいや、全然そんなことないですよ、武器の扱いも巧かったですし、戦闘中の位置取りもよく理解して立ち回ってくれてたので、私も詠唱に集中出来ましたし、魔物の敵視を引き付けてくれてたのでやりやすかったですし、あ、あの、ありがとうございます」


 立ち回りなどはなるべく意識して動いてたけど褒められたので嬉しかった。

 それと、アルマの魔法を見て気になった事があったので質問してみた。


「この魔法の攻撃ってもし味方に被弾した場合ってダメージを受けるの?」

「いえ、味方に誤射しても直接的なダメージはないですよ、意識して狙った場合は魔法や物理攻撃でもダメージを与えられますが、巻き込まれた場合は味方同士なら基本的には大丈夫です」


 何か解せないけど、どうやら大丈夫なようだ。


「ただし属性攻撃による延焼や感電が起きた場合は味方にも影響があるので、注意する必要はありますが」

「まあ普通はそうだよな……分かった、教えてくれてありがとう、ダメージはなくてもなるべく魔法には巻き込まれないように気を付けて立ち回るとするよ」


 俺の方はまだ剣での近接攻撃しか攻撃手段がないので、魔物と近付き過ぎるとアルマの魔法の妨げになると懸念したが、どうやら基本的には大丈夫みたいだ。


 無事に戦闘が終わっても身体はダルいままなのだが、町に向かって歩きだす。

 行動の順番で混乱したので、それをアルマに伝えたら今の戦闘の流れを復習する事になった。


「えっと、先ずは最初の行動でファングボアが勇者様に向かって突進攻撃を仕掛けて来ましたね」

「あ、それで思ったんだけど、さっきまではファーラビットよりも先に行動出来てたから、それで動こうとしたけど何故か魔猪の方が先に仕掛けてきて焦った、その後に攻撃した時は何かいつもよりも力が入らなかった気がしたし」


「それは勇者様がこの戦闘中“デバフ状態”だったからですね」

「デバフ?」


 説明されたが言葉の意味が分からなかったので聞き返したが、どうやら状態異常によりペナルティが課せられたらしく、そのせいで何時もよりもステータスが半減しているらしい。詳しく聞きたかったが取り敢えず先に戦闘を振り返る事にした。


「次に私が唱えたサンダーボルト、これは雷属性の魔法で一定の確率で相手を感電状態にして行動を阻害する事が出来るんですよ、連続で使うと抵抗力が増すので段々とスタンの確率は下がりますが」


【感電状態】は電流によって相手の行動を阻害し、スタンさせてそのまま次の敵の行動をキャンセルさせる。感電すると痺れて回避行動も妨げるらしい。

 しかし足元が水場とかだと電流が水を伝い仲間にも感電の影響があるようだ。


 それで魔猪の行動を飛ばして再びピヨヒコの手番になった。敵が電流で痺れてたので攻撃を避けられる事なく当てられた。


 雷の魔法の他にも行動をキャンセルさせる武器の技スキルや、敵が使う阻害行動とかもあるようだ。行動がキャンセルされた状態を【スタン】とも呼ぶようだ。


「それから今度はファイアボールですね、これも獣系の魔物には炎が弱点になるので大ダメージになります、ただし延焼は仲間にも影響あるので巻き込まれないよう注意する必要はありますが」


【延焼状態】になると炎によるダメージの他に火傷の症状を起こし一定時間火属性の継続ダメージを受ける。木などに当たった場合も延焼はするのだが不思議と燃え広がる事はなく自然と消えるとのことだが、煙で視界が遮られたりはするらしい。


 状況によって魔法を使い分ける必要がありそうだが、その判断はアルマに任せるとしよう。


「それでファングボアが延焼状態を嫌がって身体を振るわせ、消火してから勇者様に再度、突進攻撃してきましたね」

「うん、真正面から突っ込んで来たから結構焦ったな」


 もし炎が纏わり付いても身体を振るわせるなど抵抗行動に成功すれば状態異常にはならず延焼を防げるようだ。


【抵抗行動】は次の行動にはならず、状態異常が起きた時に抵抗して成功すると耐える事が出来る。

 その際に抵抗力も上がるので連続で同じ魔法による状態異常は効きずらくなる。精神力が関係していて状況にも左右される。


 それでそのままファングボアは突進攻撃に移行してきた感じだ。


「スタンが解除されてたから、また魔猪の方がデバフ状態の俺よりも速く行動してきた訳だな、購入した盾があったから何とか直撃は防げたけど」

「ですね、回避に成功すればダメージを受けずに済みますが、無理せず盾で受ければダメージはかなり防げますよ」


 盗賊でも装備が出来るバックラーは小さめの丸い盾で、他の盾より性能は低いがそのぶん軽くて扱いやすい。片手は塞がるがそれでも守りは大切だ。


 小盾の【バックラー】中盾の【シールド】大盾の【タワーシールド】と、盾には三種類あって、大盾は防御力は高いが重くて扱いずらいので職種によっても用途を使い分ける必要があるようだ。


 盾を専門に扱い、敵視を集めて仲間を守る盾士と呼ばれる職種もあるらしく硬くて頼りになるけど、そのぶん扱える武器が少なく攻撃性能は落ちるようだ。


「この後は俺の行動順だったけど、倒しきれずに最後にアルマの杖でとどめになった感じだったな……ズーン」

「そ、そうですね」


 ピヨヒコは少し落ち込みながら戦闘の流れを振り返った。

 魔物も瀕死の状態だと動きが鈍り、回避行動も殆ど出来ないようだ。


 ちなみにファングボアからは牙と、大きな猪肉の塊を獲得した。

 アルマの話だと毛皮も獲れるみたいだが、延焼の影響もあり今回はドロップしなかった。


 こうして確認すると戦闘の流れは良く分かったけど、やはり魔猪よりも行動順が遅くなった原因の“デバフ”が気になったので改めて聞いてみた。


「それは、えっと、勇者様は、その……お腹が空いてたんじゃないかと」

「……え?」


     ◇


「まさか食事による空腹状態でのデバフまであるとは……」


 ゲームを操作してた少年は少し呆れつつ画面を確認していた。


 リアリティーを求める世界観のゲームならば、食事の概念もあるにはあるけど、正直RPGでそれをされても面倒なだけだとは思うのだが。

 それでも食事によるバフもあるなら、上手く活用すればステータス以上の能力を発揮するだろうし、忘れずに管理するしかないけど……、


 空腹状態だと攻撃力と精神力、素早さに回避率まで半減するので流石にこの状態が継続するのはかなり不味い。

 取り敢えず町に帰ったらギルドの酒場で食事をする事にしよう。


 それと仲間のアルマは思った以上に優秀だった。最初から習得してた固有スキル【アナライズ】による解析で敵の特性や弱点まで常に把握出来るし、それに下位の属性魔法もいくつか使えるようだ。

 どうやら主人公以外の仲間はAlが行動を管理してるようで、直接指示も出せるようだが基本的にはその場に合った行動を自動で行うみたいだ。

 大まかな作戦とか優先行動とかも変更が出来るのだが、思ったよりも細かく設定出来るようで仲間の体力が減ったら攻撃よりも回復優先とかにも切り替えられる。


 面倒なので初期設定のまま弄ってないけど、オートなら戦闘も楽だし別に問題ないだろう。

 しょぼいAIだと変な行動をするのもあるからその辺は注意しないとだけど、即死耐性のあるモンスターに即死魔法を連発するのとかもあったしなぁ……


 クオリティには不満はないけど、設定が細かくて覚える事も多いのが難点だな。見たことあるような設定も多いから慣れれば問題ないとは思うけど。


 それとアルマは何やら【導き手】とか言う、意味深な称号を所持してた。

 効果とか用途は分からないけどストーリーと関わってくる感じかな?

 他にもキャラ付けなのか、あまり意味の無さそうな変な称号も持っていた。


 レベルも主人公よりもかなり高めだしこのゲームの魔法は、属性による状態異常も含めてかなり便利だ。まあそのぶん詠唱による行動のリスクもあるけど。


 行動順は戦闘画面の上側に敵味方のアイコンで表示されており、毎ターンに選んだコマンドによって敵味方の順番が変動するので分かりやすく、敵の行動を遅らせる選択をしてその間に割り込みで回復したりとかも出来そうだ。


 それにコマンドを実行する際に敵を中心にサークル状に移動出来るので主人公を動かして仲間との立ち位置を調整して敵視を分散させたり、魔法や技スキルの種類によっては範囲内や直線上に居る敵を、複数同時に攻撃とかも出来るようだ。


 敵の残り体力も黒い靄のエフェクトによって瀕死かどうか判断は出来る。

 それと聞き込みの情報だと、技スキルや魔法による追撃で仲間と連携攻撃とかも出来て、更に条件次第で敵を一時的にブレイク状態にして無防備にする事も出来るらしい。


 発動条件とかはまだよく分からないけど、その辺の説明もギルドで講習を受ければ分かるのかもしれない。

 

「……なんか、色々な大作ゲームの良いとこ取りしたような戦闘システムだよな、まあ面白いなら別になんでも良いけど」


 そんな事を考えつつ移動してたが探索エリアの帰路でも何度か戦闘した。

 魔物から手に入れた食材はあるが、そのままだと使えないようなのでピヨヒコの空腹デバフが継続したままだったけど、アルマも居たので問題なく倒せた。


 この【初心者の狩場】は群れで魔物が殆ど出てこないようで【魔女の森】よりは敵も倒しやすいようだ。探索エリアによっては敵の種類や強さ、エンカウント率も変わると思うけど、夜時間によって難易度とかも更に変動しそうだ。


 ここまで遊んでみたが、このゲームは『移動パート』と『探索パート』に分かれていて、某大作RPGのようにキャラクターをそのまま操作して、外のフィールドを歩きながら移動する訳ではないようだ。


【移動パート】では王国から外に出ると、ワールドマップ画面に移行して、王国を拠点にマス目で広がり、それぞれのマスが街道で繋がっている。主人公を駒として俯瞰の背面アングルから眺めながら目的地を決めて、時間を消化して移動する。


 簡単に言えば、双六とかボードゲームみたいな感じで、城の南門から出て2マス進むと看板があり、そこから枝分かれして魔女の森と近隣の村に繋がっていた。


 移動するには時間経過が伴い進むとそれだけ時間が経過する。基本的には街道を進むマス移動では魔物との戦闘は無いみたいだけど、各マス目にはランダムなのか何か条件があるのか、イベントも発生するようで、最初に魔女の森から帰ってきた時に看板の場所で商人と遭遇したのはその為だ。


 馬車などを利用すれば時間短縮して目的地に辿り着けるようだけど、シナリオの都合なのかまだ利用は出来なかった。

 

 それに夜時間になると敵の強さが変わるなら、もしかしたら夜間に強行移動すると魔物の襲撃イベントとかで戦闘が発生する可能性もありそうだ。


 更には、朝、昼、夕、夜、など時間の概念もあるようで、ゲーム画面の上の右端に時計のアイコンが表示されていて、何か暦や月までも設定されていた。


 もしかしたら経過日数でイベントが発生する可能性はありそうだけど、魔王軍の侵攻とかのワードもあったし、あまり無駄にマス移動して時間や日数を消化しない方が良いのかも知れない。制限日数で強制ゲームオーバーとかも最悪あるのかも?


 マス移動での時間の経過の概要はまだよく分からないが、色分けされていたり、街道とは関係ないルートもあるようで、情報収集によって新たな探索エリアとかも解放される感じだ。


 最初の看板を調べた事で魔女の森と隣接の村がマップ上に探索エリアとして出現して街道マスが繋がり、アルマとの会話で初心者の狩場が出現した。


 町での聞き込みでも幾つか探索エリアの情報を得たけど、まだメインクエストも序盤なので無駄にワールドマップを探索しても時間経過するだけなので、取り敢えずある程度ストーリーが進行するまで様子見だな。


 マップもまだ持って無いから行ける場所も全然把握してないけど、食事デバフが移動にも反映されるなら、あまり闇雲に探索するのも時間を無駄に消費しそうだ。


 とにかく面倒な要素だけど、これもう移動パートなんてワールドマップだけ表示して、目的地を選んでファストトラベルでもさせればいいんじゃないか?


【探索パート】では普通に城下町など移動してる時と同じで感じでキャラクターを背面のカメラで操作しながら歩いてフィールドを探索してシンボルエンカウントによって戦闘が発生する。


『魔女の森』や、この場所『初心者の狩場』とかが相当する。


 茂みや暗がりから唐突に敵シンボルが飛び出して来て、魔物の索敵サークル内に接触するとシームレスで戦闘が開始されるのだが回避とかもしずらく、こちらから仕掛けると逃げたりする魔物まで居たので何か面倒だ。


 それなら最初からエンカウント方式にすれば良いのに、とは思った。


 細かい詳細とかはよく分からないけど、このゲームの移動はそんな仕様になっているようだ。


 基本的には王国を拠点としてクエストを受けて、移動可能な場所を徐々に増やしながら探索可能エリアや活動地域を拡げていく感じかな。


 護衛任務や遠征などで長距離を移動するなら夜営にする為にテントとかも必要になりそうだし、食事の概念があるなら料理アイテムや、自分で食事を作るスキルなども必要になるかもしれない。


 何かこっちの探索システムも他のRPGや、それ以外のゲームでも似たようなのがあった気がするけど、てか色々と設定が多くて覚えきれないのだが?


 ここまでリアルを重視したRPGだとは思わなかったが、町の外に出たらいきなりボードゲームのような画面になって少し戸惑った。

 後で気が向いたら登場人物とかゲームのシステムをまとめて整理するかな。


 無事に町まで着いたがすっかり日が暮れてたのでそのままギルドに向かう。


 薬草の採取クエストの納品と手に入れた魔物の素材を換金してから、酒場で食事が出来るようなのでメニューを頼むことにした。


 ざっと見ただけでも20種類以上ある。ドリンクや酒類、更にデザートまであるんだけど、流石にこだわり過ぎじゃないだろうか。

 食事の概念もだが、料理の種類なんてこんなに必要ないとは思うんだけど。


「……うーん、何かここまで細かいとスゴいを通り越して普通に面倒だよなぁ」


     ◇


 ピヨヒコの目の前には【兎肉のクリームシチュー】と丸パン、野菜サラダに飲み水がある。

 思い返すとこの世界で目覚めてから口にしたのは苦い薬草と貰ったヒールポーションだけだったので、これが自分にとって初めての食事になる。


 ファーラビットの肉はこの国ではポピュラーな食材らしく流通も多いので冒険者や国民にも好まれているようだ。

 とは言えあの可愛らしい見た目を思い浮かべるとやはり少し罪悪感も生まれるのだが。


 少し戸惑いながらも兎肉のシチューをパクリッ、と食べてみると、ピヨヒコはそのままガツガツと、食べる、食べる、食べる。


「う、うまーーい!」


 柔らかい兎肉と野菜が溶け合って、それをクリームで仕立てた深い味わいが口の中に広がる。確かな食べごたえで添えられた丸パンともよく合う。


 嗚呼、何て美味しいのだろうか、料理の味にピヨヒコは感動した。


「ファーラビットのお肉は柔らかくて美味しいですよね」


 テーブルを挟んで向かいに座っていたアルマが同じ料理を笑顔で食べていた。

 ここはギルドに併設された酒場。周囲は冒険者達で賑わっている。


「アルマが言っていた需要って食材としての需要だったのか」

「ええ、そうなんですが……」


「?」

「ファーラビットは見た目が可愛いので食べるのを拒絶したり、狩るのを反対している人も中には居るんですよね、気持ちは分からなくもないですが」


「ふむふむ、魔物に対してそこまで思い入れを持つのも何か凄いな、魔物は魔王が生み出してるとかも聞いたけど」

「あまり敵意のない魔物も居ますからね、弱い魔物を素材目的で狩るのは私も抵抗感はありますし、温和な特性の魔物に関しては、国やギルドの指定で狩るのを禁止されているのも居ますね」


「ふむふむ、温和な魔物も居るんだな、まあ敵意があっても別に乱獲するつもりはないけどその辺は必要に応じてだな、可愛い見た目に油断してたら襲われて殺られたなんて洒落にもならないし」

「そうですね、その辺の戦闘の判断は勇者様にお任せします」


 ~♪


 他の場所でもそうだが、この場の雰囲気に合った曲が流れている。

 酒場に似合った賑やかで楽しそうな曲調だ。


 よく見ると人族以外の種族も多い。トカゲのような風貌の冒険者に、小人のような種族も居るし、厳つい体格の髭もじゃなオッサン達が談笑しながら美味しそうに酒を飲んでいる。

 それに何やら吟遊詩人のような風貌の男が演奏や弾き語りとかもしてるのだが、その側には観客なのか白い翼の生えた女の子が居た。


 可愛いらしい容姿だけど、天使や悪魔とかもこの世界には居たりするのかな?


「ふぅ、食べた食べた、幸せだー♪」

「食事管理も冒険者には必須事項ですから気を使ってくださいね、美味しい食事は活力の元なので」


 空腹も満たされて弱ってた力がみなぎってきた。

 薬草の納品も済ませ手に入れた素材の換金もしたので、手持ちのお金も少しだけど余裕が出てきた。


 魔物の素材は武具や装飾品などにも利用されるので、ギルドが運営する解体屋が隣接してあるのだが、魔物の肉などの食材に関してはどうやら扱いが別なようで、一般居住区にある専門の肉屋に売る必要があるようだ。


 倒したワーキングウルフの狼肉に、ファーラビットの兎肉、ファングボアの大きな猪肉の塊もまだ所持しているので、後でその肉屋にも寄る必要がありそうだ。


 食事も済み、夜になったのでギルドが運営する宿場で宿泊する事にした。


 ……そう言えば仲間にはなったけど、アルマと2人で一緒に泊まるの?


流石に長すぎたので途中で分割すれば良かったと反省。


追記。読み返すとやはり長いので一話内で前後編に分割しました。

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