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第39話 ドキドキ添い寝イベント 中編

今回の添い寝イベントは性的な描写も多少含みます

ので苦手な方には申し訳ないですが、ご了承下さい。

「……もし望むなら、そのまま貴方の好きなようにしても良いですよ?」


 同じベッドに男女が2人、密着した状態で女性の方からそんな台詞を耳元で囁く様な小声で言われたら、どんな対応をするのが正解だろうか?


 もちろん恋人同士とかの関係ならそこまで迷う事もないだろう。寧ろこれで何もしなければ関係の悪化や、ヘタレの称号を与えられる可能性すらある。

 しかし目の前に居るのは、今日の午後に出逢ったばかりのメイドのメアリーだ。


 いくら人並みに性欲があるとは言え、お互いの事もまだそんなに知らないのに、本当にこのまま、求められるがままにメアリーの事を抱いても良いのだろうか?


 答えは否だ。俺にそんな甲斐性はない。ヘタレと言われようともここで抱いたら絶対に今後の冒険に影響する。それ以前に俺の方はまだそう言う経験すらないし。

 いや、記憶喪失だから実際どうかは分からないけど、多分ないはずだ。


 もしかしてメアリーの方はそう言う行為にも慣れているのだろうか?


 と言うかこれはもしかして俺の事を試してるのか?

 これで手を出したらある意味メアリーに弱みを握られる事になるんじゃないか?

 今までの好意的な態度も実は勇者としての評判を陥れる為の下準備だったとか?


 もしそうだとしたら何たる策士だ。まあそこまで疑ってはいないけど。


 でも実際さっきの囁きはかなりヤバかった。

 興奮よりも困惑の気持ちが強かったから何とか耐えられたけど、それでもお互い向き合い密着している状態なので、身体の一部は当然ながら反応しちゃったし。

 腰を引っ込めてメアリーの身体に当たらない様にはしてたけど、もし抱き付かれでもしたら確実にバレる。


 しかも隣の部屋にはアルマやネム達も居るのだ。いくら既に寝てるであろう時間だとしても、そんな行為をして変な声でも出したらこの深夜の静けさだ、少なくとも隣の部屋には気付かれる可能性は大いにあるだろう。


 そもそも真ん中の部屋には誰が居たんだっけ? よく思い出せないけど、どちらにしろバレたら後々の冒険が気まずくなるのは間違いない。


 それにこんな状況になった原因でもある画面の少女もこの場には居るのだ。

 そんな状態でエッチな行為など……


 ゲフンゲフン、と、とにかくメアリーの期待に応える事は出来ない。

 平静を保ちながら何とかこの場を収めよう。


 メアリーは今のセリフを言った後、自分の大胆な行動に恥ずかしくなったのか、こちらの対応を待っている様子だけど、ベッドに潜ってその表情が見えない。

 少しあざとくも感じる行動だけど、見られてないのでそれとなく後ろを振り向き背後の画面を確認する事にした。


 すると画面の中の少女は何故か吐息を少し荒げてこちらを見ていた。


 え、なにその反応!? もしかしてこのシチュエーションに興奮してるの?

 お風呂の時も思ったけど、やっぱりエッチな行為に興味がある感じなのか!?


    ◇


「はぁ、はぁ……」


 ヤバい、また例の訳の分からない”我慢ゲージ”とか言うのが出て来たし!


 主人公の欲求が溜まるのを一定時間ボタンを連打して抑える感じなのだが、何か初っ端から要求される連打の量がヤバかったから結構ギリギリだった。


 何で? お昼のイベントの時は最初はそこまでキツくはなかったのに。あ、これもしかしてあれか? “理性の腕輪”を外したからその影響か? そんな事ある!?


 と言う事は、ピヨヒコの欲求がそのままゲージの上昇値に反映される感じ?


 しかもメニュー画面は開けるのに、何故か装備の画面は開けないんだけど。

 会話イベントの途中でメニュー画面を開ける事がそもそもRPGだと珍しい仕様だけど、イベントの状況によっては装備の変更が出来ない感じなのかな? 


 何となく雰囲気を重視して寝巻きのパジャマのみにしたけど失敗だったかも。

 状況的には理性の腕輪が有効そうなのは分かってはいたのに、これ戦闘以外でもちゃんと効果があるのか? それならそれで正直ビックリだわ。


 と言うかピヨヒコ、何をそんな賢者みたいな顔でコッチを見てる!

 何か凄く失礼な事でも考えてない? 何なのよその表情は!?


 メアリーのセリフに興奮して欲情してたのを私の連打でカバーしたのに。

 もっと私に感謝しなさい。それともエッチな展開を本当は望んでるの!?


 取り敢えず我慢ゲージが振り切ると確実にヤバい展開になりそうだし、イベント失敗になるのも嫌なので、連打はそんな得意じゃないけどなるべく抵抗はしよう。


     ◇


 ベッドでメアリーと添い寝してる状態なのだが、気まずい沈黙が続く。

 色々と思考していたら業を煮やしたのかメアリーの方から話し掛けて来た。


「……何もしてこないんですか?」

「え!? いや、だってこれは添い寝なんだろ? だったら普通に寝るけど」


「……私、そんなに魅力ないですかね」

「!!」


《!! カタ、タタタタ……》


 身長差もあるから俺の胸の辺りにメアリーの頭があるのだが、毛布に隠れてその表情は見えなかったけど、隙間から顔を覗かせ上目遣いでそんな台詞を囁かれた。


 お互いの視線が合うと心臓の鼓動が高鳴るのを感じる。


 メアリーの方も頬をほんのり染めて、その唇は少し震えてるようにも見える。

 どんな気持ちで今のセリフを言ったのかは分からないが緊張してるのが伝わる。

 これはもう添い寝”以上”の事をメアリーも期待してるとしか思えない発言だ。


 くっ、耐えろ俺の自制心、負けるな俺の理性!!


「っ、いや、そんな事はないよ、メアリーはとても優秀なメイドさんだし、色々と気遣いも出来るし、それに容姿も可愛いし、判断力や行動力もあって、精神面とかも含めて俺よりも強い印象だし、その……とても魅力的な女性だと思う」

「……っ」


 モゾモゾ……


 あれ、何か褒めたら顔を引っ込めてまたベッドに潜った?


 その仕草は何処か可愛く感じるけど、もしかしてメアリーって、褒められる事にあまり慣れてないのか? 暗部の家系だと言ってたし、出来る事が”当たり前”だと教えられて来たなら、子供の頃から褒められた経験がそんなにないのかも?


 もしそうなら何となく親近感も湧くけど、その可能性はありそうだ。

 取り敢えずこれは好機だ。このまま褒め続ければこっちが優位に立てる。


 そんな事を思案していたら、突然メアリーが抱き付いて来た。


「ちょっ!?」


 むぎゅぅ……むにゅ


「そんなに褒めて頂きありがとうございます、私嬉しいです」

「ふぁ、メアリー、当たってる、胸が当たってるから!?」


 と言うか胸元に隠した武器は大丈夫なの!? これ下手したら2人とも刃に貫かれない!? あれ、でもそれっぽい硬い感触は無いな、これってもしかして……


「これは、当たってるんじゃなくて、当ててるんですよ」

「ひっ!?」


 ヤバい、何か変な悲鳴が出た。だってこのやり取り、俺は知ってるし……


「どうしました勇者様、少し震えているようですけど……その、迷惑でした?」

「いや、あの、メアリーってもしかして……ミランダの知り合いだったりする?」


「!!」

「メアリー?」


 お昼にククリコの店で出逢った貴婦人にも同じ台詞を言われたので直感的に関わりがあると感じたけど、この反応、やっぱりあの人、このお城の関係者なのか?


「……記憶喪失と聞いていたので忘れていると思っていましたが、既にミランダ様と面識があったんですね」

「え? う、うん、お昼にククリコのお店で偶然出会ったんだけど……」


 なんだろう? メアリーの雰囲気がさっきまでと変わったような?


 それにまだ抱き付いたままなんだけど、話をするなら一度離れない? あ、でも毛布の隙間からまた顔は出してくれた。穏やかだけどその笑顔が何か少し怖い。


「そうですか、もちろん私も知ってますよ、だってミランダ様はこのグランバニラ王国の”第二王女様”ですから」

「えぇ!!」


 何となくそんな気はしてたけど、やっぱりそうだったか。

 公爵夫人という立場もそれなら頷ける。


 予想はしてた。マルクスの話を聞いて思い出した10歳の誕生日会の記憶にも、若かりし頃のミランダと思われる女性も居たし、それに記憶を辿ると、その後のお風呂でもミランダが途中から乱入してきた覚えがある。それにあの場にはもう1人同い年くらいの女の子も居た気がするけど、それってもしかして……


「私も幼少の頃からミランダ様にはお世話になりましたよ、今は公爵家に嫁いで行かれたのでこのお城には居ませんが、マルクス様の護衛をする前は、ミランダ様の侍女としてお仕えしていたので、淑女としての心得なども色々と教わりました」

「そ、そうか、高貴な身分だとは聞いていたけど……」


「それに私に武器の魅力を教えてくれた恩師でもありますから、戦闘に関しても私よりもレベルも高くてお強いですね」

「そう言えば武器の事を色々と語っていた気がするが、つまり俺とミランダは親戚同士の関係になるのか? あれ? それならミランダは俺が自分の甥っ子と知っていたのに”あんな事を”したのか!? えぇ、嘘でしょ!?」


「どうかしましたか勇者様? あんな事?」

「あ、いや、何でもない、大丈夫……」


 じゃない! 全然大丈夫じゃないよ!!


 ミランダが思ってた以上にヤバい女だった。

 勇者様に憧れているとは言っていたけど血縁関係に当たる俺にあんな卑猥な行為をしてたの!?

 てか俺も知らなかったとは言え、叔母に当たる人にあんな行為をしてたの!?


 年齢的にはそこまで離れてはいないけど、倫理的には普通にアウトじゃん!!

 この世界にモラルはないのか!? ミランダの貞操観念はどうなってんの!?


《……ポカーン》


 画面の少女も今の事実に驚愕したのか、何か口をポカンとしてるよ?


 俺の方も緊張して心拍数が上がったのか何かスゴく心臓がドキドキしてるし。

 取り敢えず落ち着こう、ここで取り乱したらメアリーに動揺を悟られる。

 

「あ、あの、勇者様……その……」

「え、どうしたのメアリー?」

 

 あれ、なにその恍惚な表情? 上目遣いが何かスゴく色っぽいんだけど。


「その、私のおへその辺りに、ナニか硬いモノが当たっていて、これって……」

「!!」


 ヤバい、衝撃の事実に呆気に取られ油断していたらメアリーに畳み掛けられた。


「あ、いや、これはその……」

「……っ///」


 しかも無言で顔を赤らめて何かを期待しているような表情をしているし……

 視線が合うと目を逸らされたけど、その仕草が何かスゴく可愛いいと感じる。


 あっという間に優位を取られた、と言うかあざとい。これおそらく分かっていて敢えて恥ずかしそうにしている気がする。こちらがメアリーの身体に反応して欲情してるのを煽っている様にも感じるのだか、抗えない感情の昂りを感じる。


 ドキン、ドキン、トゥンク……


《あ、油断した、これヤバいかも!! カタタタタ、タタタタ……指が痛い》


 つまり何と言うか、メアリーに対して凄くムラムラした気分になってきた。


 位置的にはメアリーの下腹部の辺りに、俺の硬くなったマイコニッドが当たっている感じなんだけど、何か背徳感があってヤバい。


 しかも二度ほど頭を引っ込めて潜ったからか、パジャマが捲れてお臍が剥き出しになっているようだ。メアリーの柔肌の感触がズボン越しに伝わってくる。

 それに今の台詞にも反応して、俺のマイマイコニッドは既にギンギンの状態だ。


 しかもそんな恥じらいの態度をしつつも離れるでもなく抱き付いたままだし。

 と言うか何か然りげ無く触ってない? 布越しに手の感触を感じるんだけど。

 俺のマイコニッドが優しく撫でられてスゴく喜んでるよ!?


 ムクムクー♪

 

 それに密着してると鼻腔を擽るスゴくいい匂いがする。

 程よい強さで抱き付いてるので振り解こうと思えば出来るけど、でもそれをしたら拒絶を意味する事になる。

 つまりはこんなに尽くして慕ってくれてる女性に対して恥をかかせる事になる。


 いや、八方塞がりだよ。どうすんの? 本当にこのままヤッてもいいの!?

 それとも紳士的な態度を貫いて、やんわり拒絶する!?

 と、取り敢えずそれとなく傷付けないようメアリーに離れるようには伝えよう。


「メ、メアリー、その、ちょっとこのままの状態だと色々とマズいから……それと手でアソコを摩るのは一旦止めよ?」

「ふふっ、何かマズいんですか? 我慢しなくても良いですよ? 私も勇者様の事をお慕いしていますから、抵抗はしないのでそのまま押し倒して貴方の望む事をしても構いませんよ?」


 何かスゴい事を言って来たし。試されてたり揶揄われているのかとも思っていたけど、メアリーも今の状況に興奮して本気で欲情してるのか?

 触らないように云ったら摩るのは止めてくれたけど、正直かなりヤバかった。


「それに、これは勇者様も望んだ事なのではないですか? 私は必要なら添い寝も致しますと言いましたけど、必要じゃないなら言ってくれれば直ぐに退室するとはお伝えしましたよ?」

「!!」


「それでも勇者様は添い寝の提案を受け入れてくれましたし、先程は一緒に寝ても良いとも言われましたので、私もそれに応える覚悟でここに居るんです……」

「!!!」


「……本当はその前のお背中を流す提案とか直ぐに断られたので、今回も、その、断られると思って半分冗談のつもりで添い寝の提案をしたのですが、まさか色良い返事を貰えるとは思いませんでしたから、私も正直、最初は戸惑いました……」

「!!?」


「もしかしたら勇者様の方も冗談半分で受け入れてくれてたのかもしれませんが、色々とお話ししていたら楽しくて、それに寄り添って密着していたら、その、段々とエッチな気分になって、我慢が出来なくて、私の方は本気で勇者様の事が好きなので、出来たらこのまま貴方と一緒に……してみたいです」


「メアリー……」

「……でも、決めるのは勇者様ですから、もし嫌なら私も無理強いしてこれ以上は嫌われたくはないので、駄目ならそう仰ってください」


 心の内を打ち明けたメアリー。

 瞳を潤ませてその表情はとても冗談で言っているようには見えない。

 と言うか何か思った以上に想いが重い!!

 

 ど、どうすれば良い? これは背後の少女の判断になんて従ってられないぞ。


 例えいつもの強制力が働いたとしても、自分でちゃんと考えてメアリーの想いに応えたい。とは言え俺はどうしたい? まだ会ったばかりでお互いの事もよく知りもしないのに、この場の雰囲気に流されて本当に致しちゃってもいいのか!?


 それに、そもそもメアリーは何でこんなに……


「……もしかしてメアリーって、記憶を失う前の俺と面識がある?」


 何となく開けてはいけないトラウマを思い出す気がしたので、この質問はしてはいけない気がしていたのだが、今はこの投げ掛けが正解な気がする……


「”ピヨヒコ君”とは10歳の誕生日会の時に会って色々とお話ししましたよ」

「!」


 そう切り出してメアリーは過去の出来事を語り出した。


     ◇


「はぁ、ギリギリだったけど何とか耐え切ったー」


 まだ油断は出来ないけど、取り敢えず回想パートに突入したっぽいので少し余裕ができたけど、要約するとピヨヒコが10歳の誕生日に父親とお城を訪れた時に、メアリーもメイド見習いとしてその場に居たのだが、その際に色々あったようだ。


 当時は自分に課せられた使命を果たす為とは言え、暗部の家系で、普通の一般人とは違う自由が無い自身の境遇に、悩んだり苦しんだりもしていたらしい。

 それでも一生懸命、勤めていた矢先にお城を訪れた天啓により勇者の使命を授けられたピヨヒコ少年と出会い、最初はそのおどおどした態度に困惑したようだ。


 自分の国を滅ぼされ母を失い、魔物に怯え心を閉ざして居たピヨヒコの事情など当初のメアリーは知らなかったので、こんな弱そうな子が勇者として本当に魔王を倒せるのか、人々の希望になり得るのか? そう疑問に感じて居たらしい。


 そして誕生日の食事も終わり、お風呂に案内する役目を担ったのだが、その際にからかい半分でお背中を流すとか提案したら、めっちゃ拒まれたのでそれを強引に押し切り、あろう事か女湯の方に連れ込んだとか……


 うん、何か変な展開になってきたな。


 メアリー的には個人的にピヨヒコと話をして資質を見極めるつもりもあったようだが、なすがままに服を脱がされ、羞恥に晒されたピヨヒコは、半泣きの状態でまともに会話が出来る状態じゃなかったらしい。


 そんなピヨヒコ少年の態度を見てメアリーは嗜虐心をくすぐられて自分の内なる癖を開花させる切っ掛けになったとか……あ、メアリーってそっちの属性なのか。


 その当時の記憶を徐々に思い起こすピヨヒコ。メアリーに対して感じたその当時の恐怖心を思い出し心が震える。


 更にその入浴中に、まだ当時は17歳くらいのミランダまで乱入して、何か色々あったようだが、その結果メアリーはピヨヒコに対しての評価を改めたらしい。


 これ話を暈してるけど、要はあれか? ピヨヒコ少年がミランダの裸に興奮しておっきしたアレを見たメアリーに“勇者らしさ”をアピール出来た感じか?


 なにこの展開? こんなの記憶の雫とか関係なく記憶を封印したくなるわ。

 普通にセクハラだよ? もし性別が逆だったら絵的にも完全にアウトだからね?

 いや、逆じゃなくても普通にアウトだろうけど、薄い本とかの展開だよね?


 うーん、流石にちょっと気の毒になって来た。幼いピヨヒコ少年としては異性の裸を見れて至福のひと時だったのかもしれないけど……

 でも何か話を聞いてる内に当時の記憶が明確になってるのか、メアリーに対して怯えてる感じなんだけど……そんなにトラウマな出来事だったのか?


 てかステータス画面を観ると”恐慌状態”になってるけど、これ大丈夫なの?


 その後、逆上せて倒れたピヨヒコをミランダが個室に連れて行ったらしいのだが反省したメアリーが深夜に部屋に訪れて、そこでお互いの抱えている悩みとか色々と話をして打ち解けたらしいけど、ここでも何かあったのかな?


 確か結果的には次の日のおねしょの世界地図に繋がるんでしょ?


 と言うか何気にミランダが絡んでるのがヤバいよな、まさかこの国の第二王女とは思わなかったけど、やっぱりまた後で再会したりする感じなのかな……

 個人的には割と好きなキャラだけど、また変な展開になりそうで怖いんだけど。


     ◇


 ガタ、ガタガタカタカタ……


「大丈夫ですか、勇者様? 落ち着いて下さい」

「え? あ、ああ、大丈夫……」


 じゃない、あまり大丈夫ではない。


 メアリーの話を聞いてたら朧気だけど色々と思い出してきた。

 お風呂で逆上せたあと部屋で目が覚めて、そしたらメアリーが今回みたいに深夜に部屋に訪れて来て、お互いの境遇とか悩みとか色々と話した記憶がある。


 そうか、それでさっきメアリーの話を聞いた時に何か既視感があったのか。


 事細かくは覚えてないけど、お互いの使命について話してたら誤解もあったのか少し打ち解けたけど、その当時はファーラビットを倒すのにも躊躇してた俺に対してメアリーが冒険者としての心得とか、戦闘の立ち回りとか魔物の仕留め方とか、その後の肉の捌き方とかも含めて、色々と嬉々として話してくれた気がする。


 その話を聞いて魔物に対する恐怖心を持っていた俺もメアリーを見習わないと、と少し自信は貰ったけど、あまりにも生々しい戦闘の体験とかも聞かされたので、怖くなってその夜に、あの日の出来事がフラッシュバックして魔物に襲われる夢を視て、それで”おねしょ”をしたんだった。


 それ以外にも何か話した気もするけど、これ以上は思い出したくない!


 と言うか当時はメアリーとミランダの影響で、暫く女性不信になった記憶があるんだけど、それでずっとお城を避けて過ごしてた気がする。メアリーとはその後は会う事もなかったので、誕生日会の記憶を自ら封印して忘れる事にしたんだった。


 しかし、まさかその当時の記憶をマルクスの話から思い出す事になるとは。


 カタ、カタカタカタ……


「はぁ、いつまで震えてるんですか、これでリラックスして下さい」

「え? あ、ありがとう、メアリー……その、ごめんなさい」


「何を謝ってるんですか? しっかりして下さいよ」

「あ、ああ……」


 怯えてるピヨヒコを見兼ねたメアリーは、用意してたアロマオイルの入った小瓶を手渡した。そのフローラルの香りを嗅いでると気分がだんだん落ち着いてくる。


「スゥー、ハァ〜……」


 ピヨヒコは恐慌状態から回復した。それを確認してからメアリーは話を続ける。


「その当時のピヨヒコ君は”天啓の楔”に囚われてる感じでしたけど、それでも勇者としての使命を果たそうと、幼いなりに頑張っている事を話してみて感じたので、私も自分の使命を前向きに受け入れようと思えるようにはなったんですよね……」

「天啓の楔?」


「えっと、天啓により与えられた使命感に強く囚われている状態の事ですね」

「使命感に囚われるか、何となくは分かるかも……」


「拒もうとすると不思議な強制力を感じる事もあるのですが、あまり使命感に囚われても良くないので、私も普段は気にしない様にはしてます」

「マルクスも何かそんな事は言ってたな、それに記憶の雫が使われたのもその辺に理由があるようだし、不思議な強制力か……、」


 それってもしかして……


「記憶を失う前に勇者様が再びお城を訪ねて来て、その時にも会ってはいるんですが、私の事など忘れた感じで、自分の使命を果たす事に、それこそ天啓の楔に囚われた状態だったので近寄り難かったです……本当は色々とお話しとかもしたかったのですが拒絶されましたし」

「うーん、その時の事は全然覚えてないんだよな、つい先週の出来事とか言われて困惑したけど、その当時の記憶も冒険を続けてればいつか思い出すかな?」


「あの時の勇者様は何かギスギスしていて、少し怖かったです」

「いや、そんな事を言われても何も覚えてないし……それに当時のメイド見習いの女の子がメアリーだとは思わなかったから、普通に忘れてた可能性はあるかも?」


「私の方はずっとピヨヒコ君の事をお慕いしてたのに、酷いです」

「そうは言われても、俺の方はあの日の出来事は正直トラウマになっていたし……はぁ、でも何か気分が落ち着いてきた、このアロマオイル、スゴい効果だな」


「その安眠効果のあるアロマの小瓶はククリコさんのお店で購入したものですよ」

「なるほど、流石はククリコだな、効果的面だ」


「もう、コッチの方まで落ち着いちゃったじゃないですか……さわさわ」

「あ、ちょっと止めて、まだ敏感な状態なんだからいきなり触らないで!?」


 ムクッ?


 添い寝は一旦止めて同じベッドに座りながら会話してたけど、いきなりメアリーが手を伸ばしパジャマの上からまた俺の股間を弄ってきた。何て破廉恥な行動だ。


「ふふ、それにしても逞しくて驚きました、10歳の誕生日の時にも見ましたけどその時よりも更に成長してますし、流石は勇者様です、なでなで……あら? 何かまた元気になってきましたよ、ゴクリッ」


 何か手付きがやらしくてテクニシャンなんだけど、なにその技!?


 ムクムクッ♪


 と言うか何で生唾まで飲んでるんだよ、エッチなメイドだな。

 過去の所業を色々と思い出すと、メアリーに対して恐怖心があるから、最初とはかなり印象が変わったな。


 取り敢えずこのままメアリーに触られてるとまた危険な状態になるのでアロマの小瓶の香りを嗅いで、気合いで性欲を抑え込もう。


「スゥー、ハァ〜、スゥー、ハァ〜、ふぅ」


 シュン……


「ああ、また大人しくなっちゃっいましたよ……くにくに」

「っ、それ普通にセクハラだからね? 我慢出来なくなるから本当にヤメテ」


「それなら勇者様も私のを触ればいいじゃないですか、別に構わないですよ?」

「またそんな挑発を……メアリーってもしかしてそう言う行為に慣れてるの?」


「そんな事はないですよ、私はまだそう言う経験はないですから」

「え、そうなの?」


「はい、それに私から無理矢理はしないです、それだとあまり意味ないですし」

「え、なにそれ? もしかして俺がメアリーの誘惑に負けて欲望のままに襲うかを試していたの!?」


「……コクリっ」

「いや、なに頷いてるの!? て事は本当に冗談半分でこんなベッドに潜り込んでまで積極的にアプローチしてたって事? てか意味ないってなに!?」


「別に冗談半分じゃないですよ、まあ最初はそのつもりでしたけどそうお伝えしたじゃないですか、でも勇者様なら思い留まるとは思っていましたけど、もし抱かれたらそれならそれで私は構わなかったのですが……一緒にエッチな行為をしてみたかったのは本当ですし……」

「そ、そうなのか? いや、俺も正直かなりムラムラした気分にはなったけど」


「そうなんですか? そ、それならやっぱり今からでも一緒に、します?」

「え!?」


《!! カタ、カタタタタ……》


「いや、そもそも変な声とか出したらヤバい状況だし、メアリーの気持ちは嬉しいけど遠慮するよ、アロマの小瓶の効果でそろそろ本当に眠くもなってきたし」

「そうですか……チラッ、まあそうですよね……」


 何となくだが背後の少女の適切な対処のお陰でここまで理性を保てた気がする。


 それに何か今、メアリーが不自然な仕草をしたような? 部屋の壁を然りげ無く見たけど、メアリーも隣の部屋に音が聞こえる事は危惧してたのかな?


「それでもピヨヒコ君は実は私の”初恋”の相手だったので、もし本当に一緒になれたら嬉しいとは思ってたのですけどね」 

「なななっ!?」


「……、なんて、これも半分冗談ですよ」

「いや、あんまりからかわないでくれる!?」


 然りげ無くそういう事を言うからあざといとも感じるんだよな……

 メアリーの事は普通に可愛いとは思うけど、俺の方はぶっちゃけ恋愛対象としては見てないし。

 だって断ったのに女湯に強引に連れ込まれて、無理やり服を脱がされて、更には俺のおっきしたリトルマイコニッドまで見られて散々だったからね!?

 しかもミランダまで乱入して来て2人に色々と見られて触られた記憶もあるし。


 ムクッ?


 あ、そうか、メアリーが風呂場で裸を見せてくれた時、フェアじゃないと言ってたけど、あれはその時の話をしてたのか。確かに当時のメアリーは湯浴みのタオルでしっかりと肌を隠してた気がする。


 その後に部屋で話した時も俺の方は正直メアリーの事を怖いと感じていたから、その後もずっと自分からは会うのを避けてたくらいだしな……いや、そうだっけ?


 確かメアリーの話に共感して何か淡い恋心みたいなものを感じていたような?

 あれ、だとしたら何で俺はメアリーを避けてたんだ?


 それに何故かメアリーに対して何か後ろめたい気持ちもあった気がする。

 記憶喪失の影響もあって良くは思い出せないけど、何か約束をしたような?


 それと教会で2年間を一緒に過ごしたらしい同い年くらいの女性はメアリーとは関係ないのかな? その辺の記憶は失われている影響でハッキリしないんだけど。


 そんな事を考えていたらメアリーが話しかけてきた。


「それじゃあどうします? もう寝るなら私もこれ以上は誘惑したりしないので、一緒に添い寝だけならしても良いですかね?」

「また然りげ無くそういう事を言うし、うーん、でもまあそれなら別に良いけど」


「え、本当ですか? 私の事を受け入れてくれて嬉しいです」

「あ、でも、その代わり……」


『ドンッ!!』


 その言葉を遮るように、唐突に轟音が鳴った。


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