第八話:友情?
この物語はフィクションです。
学校が始まってしまえば、和也と過ごす時間は大いに減る。
今は、それがすごく助かる。
学生として、平和で退屈な日常の再開だ……とはいかないようで。
「おはよー」
長期休み明けのダルさを隠そうともしない挨拶をして教室に入れば、教室の空気が変わったことに気が付いた。
「美香!……痛っ!?」
ほとんど悲鳴のような声を上げて、沙知が駆け寄ってくる。で、机にぶつかって本物の悲鳴を上げた。
「どしたの?沙知?」
朝っぱらから突然奇怪な行動を取る友人に、首をかしげる。
「あ~、いって……。いやいや、どしたのじゃないでしょ?入院したって聞いたんだけど?メールも電話も何も返事無いし、弟くんに問い詰めてもはぐらかすし」
弟の所にも行ったんかい?ご苦労だよ。
「あ~、なんてーかね?何か具合悪くなってさ。検査入院てやつ?」
ほんとの事なんか言えないよ。クラスメイト達全員が、息を飲んで耳を澄ませてるんだぜぃ?やったね私、人気者だよちくしょう。
「ちょい、こっち」
手を引かれて、廊下に出る。すると、沙知は声を潜めて衝撃発言をぶっ込んできた。
「美香、あんたさ、夏休み前に彼氏出来たっしょ?その彼氏に、拉致監禁されてたって噂があるんだけど?」
……あちゃー……。
肯定しても否定しても、嘘になりそう。
「沙知、それどこ情報?」
「美香の彼氏さんの自宅の近くにあたしの中学の頃からの友達がいてさ……否定しないってことは、事実?」
また、答えにくいことを。
「先に、情報の詳しいところをよろしく」
聞けば、渋い顔になる沙知。
いやいや、ちょっと待って?ヤバイの?その持ってる情報?
「ちょっと覚悟してね。・・・虚ろな目をしたあんたがふらふらとヤツの家に入って、中からはたまに悲鳴のような声が聞こえて、何時間もしてからあんたが出て来ると、若干服が乱れてて来た時よりもさらに虚ろな目をして疲れ果てた様子で家に帰っていったって」
途中で力尽きて倒れてそのまま死ぬか、身投げでもしそうで、心配で心配でつい後を付けちゃったごめんね?とか言われてもさ。情報元あんたかい!え?友達の話も本当?
「でも、あたしはバラしたり広めたりしてないからね。それだけは信じて?」
そりゃあもう、信じますとも。だからさ、責任もって火消しもやんなさいよ?
兎にも角にも、一見平穏な夏休み明けは、
一日ずつ過ぎ去っていった。




