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第十話:ほっといてくれる?

この物語はフィクションです。

夏休みが明けて一ヶ月ちょっと。

十月に入れば、大分涼しく感じるようになる。


あいつとの関係は、変わらず続いている。

けれど、最近よく思うことがある。

「そろそろ限界だ」

と。




放課後、家に帰ろうと立ち上がったときの事だった。

ん?家に帰る?あいつのいるあそこに行くんじゃなかったっけ?どっちでも大して変わんないか。

「ねぇ、美香。ちょっと」

ふらりと歩き出そうとしたら、沙知に肩を押さえられて、椅子に座らされた。

「……沙知、なにか用?私、行かなきゃ……」

「美香、警察行こう」

はっきりと言いきった沙知は、むしろ格好良いくらい。様子をうかがいつつ隙を見て逃げ出す男子達と比べれば、雲泥の差というヤツ。

束縛系の粘着男子に無理矢理付き合わされている、という噂はすぐに広まり、私をいいなと思ってる何人かの男子や義憤に駆られた女子があいつのところに行ったという話は聞いていた。

けれど、結果は、返り討ち。

成果なしとか効果なしとかじゃなく、返り討ちだ。

警察沙汰にならないギリギリのところまで痛め付けて追い返しているらしい。


あいつ、ほんと、 ◯ねばいいのに。


私が黙って生け贄の羊を演じてりゃあ、世の中平穏万々歳なようで。

触るな危険の警告が、少なくともうちの高校には広まっている。

女子ならともかく、男子は、迂闊に私に話しかけようものなら、埋められるか沈められるとまで話が膨らんでいた。


そんな話を、私は放置している。


あいつなら、本当にやりかねないから。


みんな、私に近寄らないように目を合わせないようにしているなか、堂々と話しかけてくる沙知は、すごいよ、ほんと。


けどさ、そんな沙知だからこそ。


「ごめん、もう、ほっといてくれる?」


明確に拒絶したのだった。


なんせ、クラスの中に、あいつに密告してるヤツが居るみたいだし。

誰か分かんないし興味もないけど、こんな下らないことで友達に傷ついて欲しくないからさ。


「ほっとけるわけ、ないでしょうが!あんたが、美香が、こんなに、ボロボロになってくの、黙って見てるわけにはいかないから!」


ああ、ありがたい。

本当に、ありがとう。

だからもう、その気持ちだけで十分だから。

……だからさ。


「沙知さ、もう話しかけないでくれる?」


ごめん、友達やめるよ。さよなら。

本当にごめん。






そして、見つけた、密告者。

あいつの事も、あんたの事も、絶対許さない。

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