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暁月夜

作者: 鳩御門


重く深く、沈んだ夜に。

(うつむ)いたまま。悲しみに暮れたまま。

一人きりの部屋を暗闇に塗り潰して。

固く閉ざして。鍵を掛けて。

誰も入れないようにしたんだ。

太陽の君を、拒んで嫌って消し去って。

それでも君なら僕を照らしてくれるはずだと。

勝手で、無謀で、暗愚(あんぐ)な僕を、君は(わら)ってくれるかな。


暁月夜あかつきづくよ。残った月よ。

取り返しなんてつくもんか。

(しぼ)んだ笑顔、落ちる涙。

後悔だけが冴え輝く。

ただ毒突くよ。自分自身に。

「許して」なんて言えるもんか。

明らむ夜、暗い心。

君のいない世界は非道く、薄暗い。


暗く、冷たく、呪われた夜に。

黙ったまま。毛布を被ったまま。

孤独の苦しみを、(うつ)ろな目から垂れ流して。

黒く濁して。カーテンを閉めて。

陽の光を()み嫌ったんだ。

幸せの意味を、望んで願って失って。

君を思い出してしまうよ。

悩んで、喘いで、命を捨てれば、君は還ってくるのかな。


明時降ち。出でる太陽。

やめてくれ僕を照らさないで。

「さよなら」なんて、聞きたくなかった。

責める様に照らす朝日はまるで。

暁の闇。逃げる黒夜。

追いかける陽は咎める様に。

怒ってるだろ。怨んでるだろ。

目も耳も塞いで諦めてしまいたい。




有明の月。宵は嗤う。

僕は生きて、君は死んだ。

何て滑稽(こっけい)な有様だ。

死ぬべきなのは僕だった。

暁月夜。鈍色にびいろの空。

色彩の墓場此処ここに在り。

淋しいよ。寂しいよ。

朝焼けの雨。






————暁月夜あかつきづきよ



不意ふいに陽が射して。闇が消えて。

明々と燃ゆる黄金(こがね)の太陽。

あの笑顔に、よく似ていて。

どうにも涙が止まらない。

朝靄あさもやの記憶、忘れてないよ。

「さようなら」じゃなくて「また明日」。

黎明の今日。拭う涙。

いいとも、君がそう言うなら。

明日を生きよう。今日を生きよう。

消え逝く月がまたたいた。

くすり、と君が微笑わらう気がした。


心の彼方、暁月夜。


連夜投稿。評価してくれたら筆者が咽び泣きます。



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