プロローグ
1話だった部分を切ってプロローグにしてみました、編集もしてありますので、一度読んだ方もちょっと読んでいただけると嬉しいです……!
────ああ、もう力が入らない。
だらりと垂れた片腕からは血が滴っていた。
血が足りないせいなのか、それとも全く別の理由なのかは定かではないが、頭はぼーっとして、周りの音すらも、よく聞き取れない。
そのうえ、体は鉛のように重く、言うことを聞かなかった。
霞む視界で変わり果てた風景を眺める。
こんなことになるなんて、誰が予想できただろう。
真っ赤に染まった木々を見ながら思う。
紅く染まった空を見ながら思う。
”あの頃”を思い返して、ただ願う。
カエリタイ、と。
だが、その願いが叶うことは無い。彼女がどんなに願おうと、自分ではもう、どうすることも出来ないのだから。加えて、恐らくこの願いを叶えてくれる人間が現れることもないだろう。
だから彼女は諦めた。
その時ふと、脳裏で、懐かしい少女の笑顔が霞む。
ああ、もし……。
最後のさいごに。
ワガママを。
ネガイをきいてくれるなら…。
視界がぼやけてきた。
途切れそうな意識の中で、彼女は願う。
……ワタシヲ────。
その時、死角から空を切って放たれた金色の矢に、彼女は気づかなかった。
1話が長かったのでもうちょっと短く切ってみました!以前投稿していた1話の続きは2話にして投稿し直します!