回るものもいつかは止まる
それからの話は正直何も覚えていなかった。
気が付くと僕は観覧車の中で夢と二人だけになっていた。さらに、彼女のひざの上で寝ていた。
涙を流して……
東の空がほのかに白く輝き始めたときだった。
「なぁ夢……あれからどうなったんだ……??」
「……?? 覚えてないの?? いつから教えてほしい??」
「……雨音未来がしゃべり始めたところから……」
夢の話を聞いていると、どうやら僕は無事に物事を解決したらしい。
その後、あの幽霊に捕らわれの身となっていた隣の中学の生徒たちは無事に助け出され警察なども駆けつけ大騒ぎに。
しかし彼らは誰一人として僕たち二人のことは話さなかったらしい。
夢がそうお願いしたのだとか。
この地域に住む人は観覧車が回っているのも見慣れているらしいので誰も気にせず、その中に人影らしきものが見えたとしても誰も気にしないんだとか。
おかしな話だがこれでこの事件は一応片付いたらしい。
ちなみにあの幽霊はこの遊園地のコア。つまり幽霊遊園地の心臓になっているらしく、成仏したくてもできないんだとか……
これからは肝試しに入ってくる学生の相手をするそうだ。
これは彼女が望むことであり、学生からしても願ったりかなったり……
「ところで蒼史。これからどうするの……??」
「ん……?? これからとは……??」
「だから……こんなにか弱い女の子のひざの上で泣きながら眠っておいた上で、『ありがとう。』だけで済ませるの……?? って言ってるの……!!」
彼女は顔を赤らめてそういったが……僕には全く理解できなかった。
ただ首を傾げることしかできない……
「もう知らないッ!!」
怒った彼女は頬を膨らませ勢いよく立ち上がった。
おかげで僕は落っこちて、盛大に頭をぶつけた。
ちょうどそのとき観覧車の一番下。つまり昇降口に着いたのだが……僕は降りるのに間に合わずもう一周回ることとなった……
東の空には太陽が昇り、家々ではその家の住人が起き始めた。
また今日も新たな一日が始まる。
かごの周りを踊るように飛んでいた幽霊や霊魂が消えて見えなくなったころようやく一周回り終えた観覧車が静かに止まった。
「蒼史……早く行くよ……!!」
先ほどまで膨れていた頬も今はすっかりしぼみ、今度はりんごのように……もっと真っ赤かも知れない。
とにかく、僕が今までに見たことないくらい頬を真っ赤に染めてを差し出した。
握手ではないみたいだ……
「えぇーっと……夢さん……??」
「もぅ……ごちゃごちゃ言ってないで早く行くわよ!!」
しびれを切らした夢さんは、僕の手を強引に握っては早足で歩き始めた。
前言撤回!!
本日は怒涛の一日となりそうです!!
ラストに近づいてまいりました!!
さっき確認したところ、確か評価されていたのだ!! ヤッタゼ♪
まぁまだ少しあるので、それまでにもっと評価とか付いたらいいなぁ~……




