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暗い檻の中で

作者: 志穂☆Sun

少女は檻のなかにいた。

いつからそこにいるのか、とうにわからない。


食事は地面から生えてくるキノコだ。

不思議なことに、食べても明日になるとまた生えている。


檻は、少女が脚を伸ばして寝れるほどに広い。

しかし、少女はいつも檻の端っこのほうでジーッとしていた。


周りは真っ暗でほとんど何も見えない。

地面は岩肌でゴツゴツしている。洞窟だろうか。


少女の一番古い記憶は、全身真っ黒の化け物にここに閉じ込められたということだけ。

それ以外は何も覚えていない。外の世界がどんなのかも知らない。


だが、言葉は知っていた。

檻の外の真っ暗闇の中から、ひそひそと聞こえてくるのだ。


それはどうということのない会話であった。


肉屋の店主が風邪をひいただとか、

隣近所で火事があって大変だっただとか、

恋人と喧嘩しただとか。


少女はそのひそひそ話を楽しみにしていた。

それこそが彼女の世界そのものであったからだ。


暗く冷たい檻の中、

膝を抱えて耳をすます。


ひそひそ……ひそひそ……


今日はどんな話が聞こえてくるのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんかその檻にいる雰囲気があっていいと思います! 謎な感じがして続きが気になる感じがして自分も気になってしまします。 [気になる点] 特にないと思います! [一言] これからもがんばってく…
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