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ベルナルドを先頭に暫く歩くと、目の前に石で作られた城壁が現れた。高さはゆうに大人2人分はある。随分と高い壁だ。
その中で一箇所だけ木と鉄で出来た扉があった。
ゼノが近づき2,3やり取りをすると中なら扉が開かれた。入ってもすぐにまた壁になっていて、左に急な坂道が続いている。
「魔物退治の為に建てられた砦だから中は入り組んで作られている。一人で出歩いて迷っても知らないぞ」
暗に勝手に出歩かれては困るとゼノに釘をさされた。
確かに狭い道がいりくみ所々天井も引くなっていこれは身体の大きな魔物は攻略しにくいだろうなと思いながら魔王はベルナルドの後に続いた。
坂道を登りきるとそこは屋根のついた広場になっていて、隅のテーブルで6人の男が酒を酌み交わしていた。
「ベルナルド!戻ったのか」
酒を飲んでいた男の一人が3人に近づいてきた。
ベルナルドもそれに気付き、馬を降りるとゼノに手綱を渡す。
「もう少しゆっくりしてくるのかと思った」
「向こうはつまらないからな、早々に抜け出してきた」
篝火のおかげで、広場は近づいてきた相手の顔が認識できるほどに明るい。
赤毛の、軽薄そうな男だ。しかしベルナルドとは仲が良いのか、彼の雰囲気がフッと柔らだのを感じた。
「ところでそいつは?」
「あぁ、先ほど道に迷っていたのを助けたマオだ」
「俺はニール、宜しくなチビ」
「ち、チビ!?」
チビ発言に魔王の血管が一瞬隆起する。
しかし確かにニールは魔王が見上げなければならない程に背が高い。と思えば馬を降りたベルナルドもそこそこ高いではないか。
グリトロールへの怒りが魔王の胸にフツフツと込み上げていった。
「ところでベルナルド食事はまだだろ?」
「ああ、しかしこんな時間だし何か残っているものがあればいいんだけど」
「ベルナルド様のお帰りだと言えば調理場の女共は喜んで酒やら肉やら出してくるだろうさ。早く行くか」
広間の奥へと歩き出す二人に魔王も続いた。
気付くとゼノと馬の姿がなかった。厩舎へでも行ったのだろうか。
建物の中も随分と堅牢な作りになっていた。しかし外ほど道が入り組んだ様子もなく、こちらも充分に灯りが灯っている。
すれ違う人すれ違う人前を歩くベルナルドとニールに気付くと道を避けて二人を通す。
二人はそれを極自然に受け入れているのを見て、この砦での二人の立場というものがどういったものか魔王は薄々気付き始めた。
二人は他より一回り大きな扉の部屋へと入っていった。
ニールが明かりをつけると、長テーブルが並べられ、大人数が一度に座れるようになった食堂が姿を現した。
ベルナルドは机の脇を抜け、明るく賑やかな音のする奥の部屋へと顔を出した。すると中から女達の黄色い声が響いてきた。
「ベルナルドはここの一番人気だからな。暫く留守にしていた分女達の張り切りも違うだろうよ」
一通り壁面の明かりを灯したニールは中央近くのテーブルに腰をかけ、困ったようなベルナルドの横顔を見ていた。
居場所のない魔王も同じテーブルへと腰を下ろす。二、三何か言葉をかけ、ワインとグラスを4つ持ってベルナルドが戻ってきた。




