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02-03/普通の魔法使い

「し……、しまった」

 

 

 改めて思い返してみると、幻想郷の通貨を持ってないことに気付く。だが万一持っていたとしても、外の世界の通貨なんて使えないだろうし……。

 

 いっそのことアリスの家に引き返して「金貸してくれ」とでも言って借りてくるか? だが今引き返したら何を言われるのやら……。それにあんな事を言った手前、戻るにも示しがつかないというか、男の威厳に拘わるというか……。

 

 さてどうしたものやら……と考えあぐねていると、森近が口を開く。

 

 

「お金を持ってないというのなら手持ちの何かを売るといいよ。僕の店はそういうところだし、レイジ君が珍しい物を売ってくれるのなら高く買い取ろう」

 

 

 と売買宣言。店はこんななりでも流石商売人だと思った。

 

 

「売る物? そうだなぁ…………」

 

 

 対する俺はその言葉に腕を組む。

 

 売るものと言われても、売ると金になる代物なんて俺は持ち歩いていない。今持っているのは俺が自衛する為に必要不可欠な物ばかり。それなくして妖怪とどうやって戦えというのか?

 

 

「……あ」

 

 

 ──と刹那、脳裏に閃きが走る。どうして最初にそうしなかったんだろうか、と。

 

 

「丁度いいのがここに……」

 

 

 呟いて俺は、頭の上の上海におもむろと手を伸ばし────

 

 

「いやいやいや! 上海は駄目だよ流石に! 僕とて使い魔は買い取れないよ!」

「…………そうか」

 

 

 拒否された。

 

 個人的な意見として、香霖堂で上海は幾らするんだろう? という閃きという名の疑問が浮いたのでついやってみた寸劇。しかし店主が即座に買い取り拒否をしたので値段はわからずじまい。残念だ。

 

 

「~~っ!! ~~っ!!」

 

 

 一方の売られそうになった上海はというと、最初は内容を把握していなかったが、俺と森近とのやりとりを聞いて真意を理解したのか、頭の上から降りて俺の腕にパンチして怒っている。

 

 無論、ポカポカと俺の腕を叩く上海の攻撃は痛くも痒くも無く、むしろ微笑ましく見えてしまう。

 

 しかしアリスがいないからこそ可能だった今回の寸劇。もし本人がいたらどうなっていたのやら。

 

 ………………今朝の出来事を反芻するからに、間違いなく殺されかねんな。

 

 

「すまん上海、冗談だったんだ」

 

 

 上海の頭を撫でて諭す様に謝る。だが上海は機嫌が晴れるどころかまだご立腹らしく、顔を背けて俺の傍から離れて店の片隅に飛んでいった。

 

 

「……僕からしてみれば、上海にはひどい冗談だよ」

「…………かもしれん」

 

 

 改めて反省。冗談にしては酷い類。人形とはいえ上海の性別は女性には違いなく、その心を傷つけてしまったかもしれん。

 

 

「……と、そういえば」

 

 

 俺は肩に掛けていたカバンを手に取り、中身を漁る。昨日は大抵の物しか見てなかったので、細かい所は探していなかった。

 

 なら放置していた『アレ』がある筈──。

 

 

「昔の記憶が正しければ…………あった」

 

 

 カバンの底には無かったので、ポケットを見てみると案の定、そこには1通の茶封筒。俺は中身を確認して、それを森近に渡す。

 

 

「? なんだいコレは?」

 

 

 茶碗を置き、封筒を受け取った森近。首を傾げるのも無理ないか。

 

 

「外の世界の貨幣、といったところだな」

 

 

 それは非常用の為に持ち歩いていた金だった。予定通りの手段で移動が出来なかった場合、非常時には何かと不便では困るだろうからと、恩人に渡されてそのまま放置していた。しかし俺は恩人が経費と言う建前でくれたこの金を、一度も使うことは無く、多忙の日々も相まって存在さえも今まで忘れていた。

 

 だが今はこの幻想郷の通貨に両替する為に使ってしまうことに俺は若干罪悪感を覚え、心の中でその恩人に謝罪と感謝をする。

 

 

「ほう。それはかなり気になるね」

 

 

 では少し拝借、と言って森近は封筒の中身を取り出して買取査定を開始。因みに封筒の中身は日本国の貨幣と通貨。中身は貰った時に数えたままなら、合計金額は4万5千7百円だった筈。飛行機代としては些か足りないが、陸路での移動には充分な金額だ。

 

 何事もなく幻想郷の貨幣に換金出来ればいいのだが、その辺りは森近の買取金額に期待しよう。

 

 

「……」

 

 

 そして無言になった森近の対面にいる俺は査定をしている間は当然暇になって、手持ち沙汰で何もすることが無い。そうとなれば俺はもう一度上海に謝らなければと思い立ち、その場から立ち上がって上海がいる店の片隅に足を向ける。

 

 床に置かれたガラクタもどきの品を踏まないように足を向けた先には、上海が棚から何やら漁っていた。

 

 よく見てみると、手鏡やかんざし、櫛とハサミなんかを手にして取っては戻したりの繰り返し。明らかに挙動不審すぎる。まして人形が動いていてハサミを持っているんだからホラーな光景にも見えなくもない。

 

 

「上海、何してるんだ」

 

 

 まだ怒りが静まっていないだろうから、なるべく刺激しないように静かに、そっと窘める感じにその背後に声を掛ける。すると俺の声に反応した上海は俺に振り向くや、手にしているハサミで俺を指す。

 

 

「……ハサミの先を人に向けてはいけない、と教わらなかったか?」

 

 

 そのハサミは銀色の……ステンレス製なのだろう。窓から差し込む陽光で表面が反射し、その先端は丸くなく、鋭く尖っているタイプのハサミだった。そんな危険極まりない、切ることも刺すことも出来るハサミで刺されたりなんかしたら、冗談では済まない。

 

 

「……」

 

 

 しかし上海は俺の考えていることとは裏腹に、俺を空いてる手で指し、次に自分の髪の毛を触り、そしてハサミを掲げる。

 

 そのことから連想できるのは……

 

 

「髪を切る? 俺のをか?」

 

 

 どうやら俺の髪を切りたいらしい。

 

 確かにアリスも嫌そうな顔をしていたし、上海もそれと同様なのだろう。他人からすれば整えてない、手入れをしてない髪はやはり暑苦しいとも取られるし、不気味にも見えるのは何処でも一緒か。

 

 しかし今の俺には髪を切りたい理由もない。

 

 何故なら俺はもう……駄目な人間だから。だから今の姿はとてもお似合いだ。そうでなきゃ自分をここまで卑下に出来やしないだろう……。

 

 

「……それは断」

 

 

 る──、と最後まで言葉を紡ごうとした刹那、上海が両手を大きく交差して「駄目!」と言いたげに、勢いよく首を振る。

 

 ……嗚呼、頑なに髪を切ってやる! と言いたいのか上海よ。何が何でも切りたいというのか……。なんというか、性格が清潔好きな主人によく似ているもんだ。

 

 なら邪魔にならなければいいのだろう。それも切る、という選択肢以外で、だ。

 

 

「じゃあ上海、それ以外にも髪を留める紐やゴムはないか?」

 

 

 と口にする。そうすると上海は手に持っていたハサミを棚の隅に置いて、その上の段を漁ってすぐに黒い紐らしきものを見つけ出して俺に差し出す。

 

 一見するからにして紐というよりも装飾用のリボンに近い。だが髪を纏めるのに種類は拘らないから役割としては充分だろう。

 

 

「ありがとう。とここで提案なのだが、切るのではなくて、束ねるのはどうだ?」

 

 

 黒いリボンを手にして1つ提案。そうすれば上海は多少は納得してくれるだろう。だが上海が駄目だと感じても、俺はこれ以上譲歩するつもりはないし、かといってこのままケンカするのは嫌である。このまま穏便に上海が俺の意見を承知してくれれば問題ないのだが、果たして上海は許容してくれるか……?

 

 

「……」

 

 

 すると上海も俺の言葉とその態度を見て悟ったのか、渋々と頭を縦に振ってくれた。

 

 

「すまないな上海。それとさっきの事は悪かった。この通りだ」

 

 

 胸中で安堵した後、意見を受け入れてくれたことへ対する感謝を述べるのと同時に、先程の上海の不快を被った行為に俺は反省の意を込めて頭を下げる。

 

“偏見であれ、どんな存在にも反省の意を見せろ”とはある人の言葉。俺はそれを今表しているわけだが、頭を下げて少し大袈裟すぎたかもしれない、と思った。だが俺には悪いことをしたという罪悪感がある限り、第三者からの視点だと訝しげられるかもしれないが、こうでもしないと相手に謝罪の意は伝わらないだろう。

 

 ましてや上海は喋ることも出来ない。そうなれば俺にはその気持ちを込めた言葉を紡ぐよりも体で表現したほうが俺らしい。

 

 

「……」

 

 

 そんな俺の反省の気持ちが伝わったのだろう、上海は俺の前に浮かぶとそっと頭を撫でてくれた。

 

 温もりや冷たさはないが、さらさらと手入れが届いていない俺の髪を心地よくくすぐってくれる撫で方。その撫で方に俺はどこか懐かしさを感じさせてくれた。

 

 察するにこれは「もういいよ」、とでも言いたいのだろうか? なんて寛容な人形なんだろう。

 

 

「……本当に悪かった」

 

 

 頭を上げて小さく呟き、俺は上海が渡してくれた紐……いやリボンか……を手にしてこれも買い物の1つに付け足そうとして森近がいる会計へときびすを返そうとしたところ、ぐい、と腕を引っ張られた。そのお陰でたたらを踏んだ。

 

 

「ととっ? なんだ?」

 

 

 この場でいま俺の腕を引っ張れるのは森近と上海。前者は未だに黙々と査定中だから消去法でいくと、上海が俺の上着の袖を掴んでいるのは明白。

 

 目を向けると上海が俺を見上げ、「これこれ」とまた何かを手にして掲げていた。

 

 上海が手にしているのは1つの棒状の物体。押し付けられるようにして受け取ってその物体を観察してみる。細部まで確認してみると物体は平べったく、質量を感じさせる。

 

 手にしているそれは朱色で、その横に更に細い鈍色の金属が見える。

 

 その小ささと質量、そして物体の上方にネジのような物が嵌っているからしてこれは……簡易な折りたたみ式ナイフだろう。この位のサイズのナイフで該当するのは……肥後守……? ……いや、違うな。柄が刃をしまうには幅がやや細過ぎる。だとしたらそれとは違う類のナイフか?

 

 気になったので鈍色の金属の先端を摘み、上方へと引き出すと、案の定、外気に晒された金属部分は想像通り刃だった。

 

 片刃の鈍色の刃は陽の光に反射して怪しく光り、刃の中間から背刃には小さな刻みが幾多にも浮き彫られていた。装飾用のナイフには彫刻もあるが、それにしてはこれは刃が非常に薄すぎ、おまけに先端が丸まっているためにこれでは殺傷能力など皆無に等しい。

 

 だとしたら“切る”のは可能だが、“刺す”機能がこのナイフに備わっていないことになる。しかし“切る”にしても皮一枚が限度。それ以上の……肉や骨に至る致命傷を負わせるには柄と刃の双方が力の負荷に耐えられず、刃が根元から折れてしまうだろう。

 

 となるとナイフとしての機能をまったく持たない、これは家庭の、そして化粧用の……、

 

 

「……剃刀だな」

 

 

 それにしても随分手入れが行き届いている。刃こぼれもなく、使い込んだことで見受けられる色褪せた感じも殆ど無い。根元から先端まで一直線に刃を見ると、角度も固定されているし、背刃の浮き彫りは恐らく皮膚に食い込まないようにするためのちょっとした細工だろう。

 

 中々の仕上がりだ。これが到底剃刀とは思えない芸術品に近い一級品だ、などと感嘆してしまう……が、正体がわかったとして上海よ……、

 

 

「ヒゲも剃れと?」

 

 

 疑問の言葉に大きく頷く上海。髪は妥当してもヒゲは駄目、か。確かに人から見れば顔によって印象が変わったりするからな。

 

 

「……前向きに検討する」

 

 

 政治家の常套句を言い、それも会計に持っていくことにする。でなければ上海も納得しないだろうから買わざるを得ない。剃る時にはヒゲを蒸すか、アリスの家にある石鹸でも借りるか。

 

 さて今度こそ戻ろうかと思って、ふと視界の隅の棚に置かれた、ハサミの横にあった櫛を見て踏み止まり、「ほう」と感嘆した。

 

 

「珍しいな。べっ甲で出来た櫛だ」

 

 

 その櫛は亀の甲羅で作られた櫛だった。手にしてみるが色と作りは安っぽくない。これは間違いなく本物……か?

 

 しかしプラスチックで出来た、これにあやかった似た柄をした模造品もあるので、どうにも真贋か判断するには俺には自信が無い。だが仮に本物だとしたら随分と貴重で高級品に該当するだろう。

 

 大昔の話では然程問題ではなかったが、今ではべっ甲の元となる亀が保護されていたり、動物愛護の影響で手に入らなくなっているのが現状。故にべっ甲製品を作る職人は減少して数えるほどしかいなく、材料は手に入らなくなっている。

 

 

「?」

 

 

 俺の様子が気になったのか、上海が俺の手中の櫛を見る。

 

 

「気になるか?」

 

 

 訊ねると上海はこくり、と頷く。

 

 

「ちょっとしたお宝だ。俺がいた場所では最早手に入らない代物だ」

 

 

 そんな俺の言葉が気になったのか、上海は俺の手元まで近付き、櫛をまじまじと見つめる。

 

 その時、上海の光に反射して眩く見える金紗の髪を見て俺は綺麗だ、と素直に思った。同時にアリスはここまで細部に髪まで作りこむのかと驚嘆も覚え、一瞬人間の髪を移植したのではないかと失礼なことを考えてしまった。

 

 最早アリスの人形へ籠める感情は愛情に等しい。今朝に見せたあれは使い魔に対して露わにする思いやりでも何でもない。漠然とした、家族を守る為に見せた行為だ。

 

 ……だが、だ。そんな感情を持てる人物がなぜあんなにも──、

 

 

「……いや、よそう」

 

 

 考えれば考え込むほど理解し難くなるに違いないと、俺は頭を振り天井を見上げる。それに俺は幻想郷に来て日が浅すぎる。全てを理解するのは当分先だろう。

 

 互いを享受し、互いを詮索するかどうかは俺次第でも、アリス次第でもあるのだが。果たして彼女は俺からの干渉は受け入れるのだろうか?

 

 

「?」

 

 

 視界を櫛に戻した時、俺の漏らした呟きに反応したのか、上海はべっ甲の櫛ではなく、俺を見つめていた。

 

 

「いや、何でもない。何でも……」

 

 

 とふと俺は上海の髪を見、櫛を見て、ある考えが浮かんだ。

 

 

「……上海、これで髪を梳いてみるか?」

 

 

 ふとそう言ってみた。すると上海は不思議そうに首を傾げたが、櫛をしばし見つめて俺に向き直ると、嬉しそうに頷いてみせた。

 

 発言に至る経緯は……なんというのだろうか、上海の髪は俺からしてみればとても魅力的なのだ。あそこまで綺麗で、流水の如く流れるような髪を櫛で梳くのはとてもそそられるのだ。

 

 その魅力は上海の源でもある魔力が起因だとしても、たかが人形だとしても、ここまで惹きつけられる訳が無い。しかし愛着が湧くのは事実で、気分としては年頃の娘の髪の手入れをしたい父親といったところか?

 

 別に俺が上海に対して家族のような感情でも、邪な感情を抱いてるわけでもない。……ただ、この場にあの人が仮にいたとしたら──、

 

 

「上海人形……なんという魔性の女! いいえ、魔性の人形なのっ!?」

 

 

 ……と口元を覆って、ヒステリックな雰囲気纏ってなんてことを言いかねん。あの人こういうの好きだからなぁ……。

 

 

「……」

 

 

 …………俺は言わないぞ? 断じて。柄じゃないし。期待するな。──てかそもそも誰に言ってるんだ、俺は?

 

 

「そ、そうか……。ならこれも購入決定だ」

 

 

 とまあ内心で自問自答してちょっとどもった後、今度こそ会計に向かった。

 

 

 

 

       ◆

 

 

 

 

「おや、無事に仲直り出来たみたいだね」

「手間取らせたな店主」

 

 

 いやいや構わないよ、と森近は苦笑し、俺の左肩に腰掛けている上海を一瞥する。

 

 

「~♪」

 

 

 森近の視線先には嬉しそうに足を揺らす上海の姿。先程頭に乗っていたのに、何故か彼女は森近の傍まで来ると肩に移動した。そのお陰で柔和でさらさらな髪が俺の耳朶や頬に触れて、物凄くくすぐったい。

 

 

「それにしてもここまで上海が懐くということは、あの子はどうなんだろう?」

「あの子?」

 

「うん。上海と同じくアリス君の使い魔なんだけどね、どうも上海以上に人見知りで消極的みたいなんだ」

「そうなのか。それで──」

 

 

 と俺は言葉を切り、会計の上に目を向ける。そこには小さな包みが5つ置かれていた。大きさは巾着に近く、色はそれぞれ異なっている。

 

 

「君の思っている通り、これが査定した結果の金額だよ」

「そうか」

 

 

 そのうちの1つを手にして中身を確認する。袋の口の紐を解いて中を見ると金色の硬貨が詰められていた。1枚を取り出して翳して見ると、金貨の表面には『二十圓』と彫られており、大きさは大体500円硬貨と同寸で、重さはニッケル黄銅のそれと比べるとこちらの金貨の方が俄然重く感じられる。

 

 

「これは……幾らなんだ?」

 

 

『二十』という数字は読めるのだが、『圓』という字が読めない。単位には違いないのだが俺には見覚えが無い。考えられるに、古い単位だろう。それも旧漢字の。

 

 鋳造年数が表示されている裏を見るが、『明治九年』、『二十圓』、『大日本』と彫られているがよくわからん。これは恐らくだが、『明治九年』は年号、『二十圓』は単価、『大日本』は国を表していることになる。

 

 要するにこの金貨は、明治9年に日本で鋳造、発行された金貨という事になる。俺は詳しいことは知らないのだが、こういった古い時代の貨幣を集める人がいると言う話を聞いた事がある。

 

 何でもその中で一級品なのが金貨だそうで、だとしたら…………美術品じゃないか、これ? それも博物館行き間違いなし、貨幣マニア垂涎の。しかし価値がわからないので、俺にはその魅力が理解し難い。

 

 

「それ? ああ、それは『えん』て読むんだ。幻想郷で一番価値が高い硬貨だよ。

 それでだね、レイジ君が渡してくれたお金の査定金額は20円金貨入りの袋が2つ、5円金貨入りの袋が1つ、1円銀貨入りの袋が1つ、50銭銀貨と10銭銀貨を混ぜた袋が1つ……といったところかな」

 

 

 そう言われてもあんまりはっきりしない。如何せん、森近が一袋に硬貨が何枚入っているかを言ってないからだが。しかし見るからして各々の袋がこれでもかという位に一杯に膨らんでいる。

 

 

「あー……よくわからないのだが、俺が持ってた紙幣を買い取った金額は高いのか? それとも安いのか?」

 

「要約するとだね、高いよ。もの凄く。紙幣の元は和紙、それを印刷し加工して紙幣にすることで価値にする。その繊細極まりない工程あってもここでの価値は無い。けどここまで念入りに偽造防止対策が施されてるということは、これは技術がとてつもなく高いことを証明してるんだ。硬貨もその例外ではない。

 いやはや、外の世界は凄いもんだ。だからこそ敬意を払い、至極妥当な大枚をはたいたと僕は思うよ」

 

 

 うんうん、としきりに頷いて感心の言葉を表す森近。確かに彼が感心するのは至極最もだ。

 

 概要は簡単なことしか把握していないが、ホログラム、すき入れパターン、定かではないがチップの埋め込みによって、かのスーパーK等の偽札製造対策をしているらしいが、その反面、俺としてはその所為で紙幣がおもちゃっぽく見えてしまう時がある。

 

 仕事で各地を渡り歩いた俺から言わせれば、偽札も世界経済の一端を担っているのだが、それを言った日にはどうなることやら……。

 

 

「とまあそうだね、これだけ潤沢なら苦しい生活になることはまずないよ」

「浪費しなければ、か?」

 

「しなければね。どこでも贅沢は敵だけど、そこはレイジ君の使い道によるよ。それで、買取してもいいかな?」

 

 

 最後の確認。ここで生きるには免れることが不可能な必要最低限の犠牲だ。持っていても幻想郷では無価値に等しく使い道が無いだろう。

 

 

「ああ」

 

 

 それに俺は無論、短く答える。対して言葉を受け止めた森近は「ありがとうございます。ではこちらで買い取らせて頂きます」と商人言葉で返答し、次に俺が手にしている商品を見つめる。

 

 

「えーと、金平糖にネクタイピン、リボン、剃刀、櫛かい? リボンと剃刀は然程珍しくない物だけど、ネクタイピンと櫛がちょっと値を張るよ」

「構わない。それに上海が気に入ってるからな」

 

 

 そう言うと肩に乗っている上海がうんうんと頷くのがわかる。いや、耳がくすぐったいのですが。

 

 それよりもべっ甲の櫛はともかく、ネクタイピンも高いのか。まぁアリスから聞いた幻想郷の風土と衣装からしてみるにネクタイなんか着けてる人はいなさそうなので、そういった面で考えてみるとネクタイピンはかなり稀有だろう。

 

 

「ともかく、どうする?」

「買うさ」

 

 

 即答。ここで止めた、と言ったら上海にど突かれそうな気がする。

 

 

「わかった。金額はそうだねぇ…………、これだけで充分かな」

 

 

 少し考える仕草を見せると、森近は会計に置かれた俺の金になった袋の内の1つから硬貨を1枚取り出す。色は金色。考えられるに20円金貨か5円金貨のどちらか。

 

 しかしそれだけで終わってしまった。ということはしめて合計金額は5円ということになる。

 

 

「それだけでいいのか?」

 

 

 もっと高く値が張ると想定していたので怪訝に思い、少し拍子抜けした声で訊ねる。

 

 

「うん。元より値札とか貼ってないしね。価値からして5円金貨で充分だよ」

 

 

 そういえば値札が無かった。しかし買えたのだから特段気にする必要もあるまい。だが香霖堂でまた買い物する時のために、記憶に留めておくべきか。

 

 

「取り敢えずお買い上げということだね。ちょっと待っててくれ、包装するから」

 

 

 会計の下から大きな1枚の和紙を取り出し、俺が買った品をそれにまとめて包み込んでいく。その間俺は会計に置かれた袋をカバンに詰めて上海に訊ねる。

 

 

「上海、次はどこに行く?」

 

 

 視線を横に向けて見ると、上海は頬に手を添えて、行き先を考えている様子。恐らくどこに行くか迷っているのだろう。

 

 だが直ぐに何かに気付いたようで、俺の頬をつつくと森近を指した。……要するに、森近に訊けば? ということだろう。

 

 

「店主、どこか人が居る場所を知らないか」

「人が居る場所? ──と、はいこれ商品」

 

「ああ、“iyayraykereイヤイライケレ”」

「……ほう、随分と変わった返事をするね? そうだねぇ……」

 

 

 訊ねてみると、森近は人が大勢居る場所にどこか思い当たる所があるのだろう、和紙に包装された品一式を手渡すと腕を組んで虚空を眺める。

 

 

「……“紅魔館”、“人間の里”、“白玉楼”、“妖怪の山”に“守矢の神社”と“永遠亭”──」

 

 

 椅子の背もたれに体重を預け、唐突に森近は口早に呟く。虚空を眺めながらブツブツと呟くその姿は不気味に見えるが呟きを聞く限り、どうやら集落らしき場所が幾つか存在しているようだ。

 

 

「“紅魔館”の主はあの性格だからイヤな予感がするし、一番近い“人間の里”は妖怪に遭遇しやすい場所で今向かうと夜になって更に妖怪が蔓延るだろうし、“白玉楼”は冥界を危険だけど通らないと行けないのは必定……。

“妖怪の山”と“守矢の神社”に向かおうにしても哨戒天狗達がそう安々と入らせてくれないだろうし、“永遠亭”も道案内無しだと竹林ですぐ迷子になっちゃうだろうし……」

「…………」

 

 

 ……何だその「こうまかん」やら「ようかいのやま」やら「えいえんてい」とは?

 

 前述の2つの言葉はまだしも、「ようかいのやま」とはいかにも物騒すぎる地名だ。絶対妖怪の巣窟だ。それに冥界て……、本当にそんな場所に人が居るのか?

 

 

「“三途の川”と“彼岸”は人がいるにはいるけど魂ばかりだし、“マヨヒガ”は猫ばかり。“無名の丘”は鈴蘭がちょうど咲き誇っているから危険極まりないし、妖怪少女の屋敷は僕は知らないしなぁ……」

 

 

 しかし、会話を聞くに、どこもかしこも怪しすぎる。どう聞いても人間居なさそうなんだが。

 

 

 はてさて、他にどんな地名が出てくるのやらと俺はカバンに買った品物を押し込んで森近を眺めていると、突然、彼が何かを思い出したように声を発する。

 

 

「……っと、そうだ。あそこがあったよ」

「あそこ? どこだ」

「場所かい? ここから東に向かった山奥にあるんだけど、遠いのが難点かな」

 

 

 けど、と森近は一旦言葉を切って一呼吸。

 

 

 

 

「もしかしたらレイジ君が住んでた外の世界に帰れるかもしれない」

 

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 その言葉を聞いて、一瞬、俺の心臓が跳ね返ったような気がした。

 

 ……帰れる……?

 

 帰れるということは、自分が住んでたあの世界にか……?

 

 全てが淀んで、全てが残酷で、全てが冷酷で、全てが玲瓏で、全てが地獄で、全てが複雑で、全てが自然で、全てが皆無で、全てが天然で、全てが矮小で、全てが氾濫し、全てが飽和し、全てが矛盾し、全てが明るくて、全てが暗くて、

 

 全てが偽りだらけの、全てに疑心を抱かざるを得ない、全てに権利を与え、そして奪える、誰もが王者になれるあの世界に?

 

 

 

 

 自分が唯一存在出来る証明を与えてくれていた、あの世界に────か?

 

 

 

 

「……」

 

 

 …………俺は……戻るべきなのだろうか…………? それとも、ここに残るべきなのだろうか……? その選択をよもやこんなガラクタまみれの場所で考える羽目になるとは。

 

 幻想郷の住人からすれば俺は異端者に違いない。ならばさっさと外の世界に戻るべきかもしれない。よくよく考えてみれば、俺が残らなければいけないというメリットは存在しないし、デメリットも存在しないのだ。

 

 ……そうなると外の世界に戻った折、また酒浸りの日々になりそうだが。

 

 しかしそれが今の俺の日常なのだ。

 

 ──過去よりも酷く濁りきった今の、荻成怜治という愚者にとって。

 

 

「……そうか。なら行ってみる価値はあるな」

 

 

 静かに口を開く。その言葉を聞いた森近は「そうかい」と呟く。

 

 

「でも距離的に考えてみたら人間の里よりも遠いんだよ。誰かに連れてってもらうのが一番手っ取り早いんだけど──」

 

 

 ──と刹那、店のドアがけたたましく音を大きく立てて開いた。来客を告げる音にしてはやけに大きすぎる。

 

 客なら大抵もうちょっと静かに入るべきだ。相手はマナーも知らないのか?

 

 しかし仮に、入ってきたのが……客ではないとすれば──

 

 

「っ……!」

 

 

 音を捉えたのと同時に俺は入り口に振り向き、即座にカバンに手を突っ込む……! 振り向きざまに上海が肩から転げ落ちたような気がしたが、そんな悠長な事には構ってられない。

 

 何度も生死の境を彷徨って、すっかりこびりついてしまった癖は2年というブランクがあってもその俊敏さと感覚は色褪ることなく、刃物のように鋭いままで昔と寸分違わぬ反応をしてくれた。

 

 店はよくわからないもので床のあちらこちらもが埋まっているが、店の入り口のドアと会計の間の距離はそう遠くは無いのだ。それは店に入ってきた人物が、会計にいる人物に一瞬にして詰め寄って襲いかかれるということを意味している。

 

 鍛えてない人間が相手ならそう素早く移動できることではないが、ここは幻想郷なのだ。

 

 仮に入ってきたのが妖怪なら? 亡霊なら? そんなのが来客と偽った来襲だとしたら、瞬間移動と同等の行動なんてお手軽に違いない──。

 

 本来だったらとっくに今頃、カバンの中で握っている物を晒して、それを入り口にいる相手に向けているのだろうが、ここは幻想郷だ。アリスが言うには知能が高い奴がいるのは然程珍しい事ではないと言う話らしく、俺が握っているものをカバンから取り出して向けたら即座に警戒するか、怒りを被って襲い掛かってくるかもしれない。

 

 ならばまずはカバンの中に手を入れたまま様子見し、それが危害を与える相手なら躊躇う事無く向けて、且つ脅威と感じ取って判断したら即座に攻撃────

 

 

「…………」

 

 

 ところが、そんな懸念は一瞬にして杞憂となって失せた。

 

 なんというか……気が抜けた。

 

 

「な……なんだ、お前? そんないきなり振り返って?」

 

 

 振り向いた視線の先には恐ろしい妖怪でも、現世に心残りがある亡霊でもなく、そこに佇んでいたのは黒色のリボンのついた、体躯には不釣り合いな大きな三角帽を被り、白のブラウスのような服の上に黒いサロペットスカートのような服を着用し、スカート部分に白のエプロンを着けた、驚きの表情を浮かべていた1人の少女の姿。

 

 外見と容姿から判断すると、まだあどけなさを感じられるので大体10代半ば。それと同じく際立って印象的なのが金色の瞳に、柔らかそうな金髪のロングヘアーとその髪の一房をサイドで三つ編みに編んで小さなリボンで結んでいること。

 

 背は小さく、特徴的な大きな三角帽を除けば俺の胸元ぐらいの大きさだ。

 

 そんな髪の毛と瞳の色でわかり辛いが、体格と顔の輪郭と風貌からして日本人だろうか?

 

 一見すれば害意が無い、おかしな格好をした美少女とたかを括って話はここで終わるだろう。………………………………片手に携えている箒さえなければ、だが。

 

 

「…………あ~」

 

 

 これはあれか? 完璧なりきりコスプレ少女なのか? 自分魔法少女ですよ~、と宣伝してるのか? 俺はどう反応を返したらいいのだ?

 

 

「……魔理沙、また本を盗みにでも来たのかい?」

「ん? おう香霖。盗みに来たから歓喜してくれ」

 

「しないしない。むしろ咽び泣きたい気分だよ……」

 

 

 視線をずらすと会計に座っている森近が深く嘆息し、来客した少女の名前を呼ぶ。声音と言葉からしてどう聞いても歓迎しているような雰囲気とは思えない。しかしその言葉を向けられた少女はというと、屈託がない笑みを浮かべる。

 

 

「そうかそうか、咽び泣くほど嬉しいのか。至極恐悦だぜ。それで……」

 

 

 森近の嫌味が混じった言葉を歓迎の言葉と受け止めているのか、嬉しそうに告げると俺に視線を向けてきた。

 

 

「アンタ誰だ?」

「俺か? 言ってもいいが、その前に自分から名乗るのが礼儀じゃないか?」

 

 

 相手のペースを掴ませてはいけない。なりは変で、人間の姿をしていても、相手はまだ危険な存在であるかどうか見極めなければならないのだ。無論、カバンの中に手を入れたまま答える。

 

 

「おやおや、おカタイいねぇ。なら先に名乗ってやるとして……私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いをしてる」

「……俺は怜治、荻成怜治」

 

 

 互いに名乗ると、普通の魔法使いと称する霧雨魔理沙という少女は俺の目の前まで歩み寄ると爪先立ちをして、ぽんぽんと俺の肩を軽く叩く。

 

 

「?」

 

 

 あまりにも自然で、危害を加えるような雰囲気や、それといった構えたような動作ではなかったので咄嗟に反応が遅れた。

 

 

「そんな固くなるなって。私はオマエを取って喰ったりなんかしないから」

「じゃあ普段は喰ってるのか」

 

「いやいや喰ってないっての。私は人間だぜ? そうなると共食いになっちまうって」

「共食い……。ということは君は人間……なのか?」

 

「そゆこと。アンタも人間だろ? なら同種族同士、フレンドリーにしようぜ」

 

 

 どうやら俺は勘違いをしていたようだ。カバンに突っ込んでいた手を引き抜くと森近に振り返って少女の言う事が事実かどうか訊ねようとしたが、それよりも先に俺の言いたいことを察知したのか、口を開く。

 

 

「魔理沙の言ってることは事実だよ。それに彼女と僕は長い付き合いだから、そう警戒しないでくれ」

「……わかった」

 

 

 己の張り詰めた空気を霧散させ、強張った筋肉と神経を弛緩させる。森近が身の上を保障しているということは、気が知れた仲ということ。ならばもう警戒を解いても充分だろう。

 

 

「“wenウェン”霧雨、てっきり強盗の類と勘違いした」

「ウェン? なんじゃそりゃ?」

 

「『悪い』という意味だ。……謝ったつもりが、いつもの癖で出てしまった」

「てことはなんだ、謝罪か? 別に私は気にしてないから、アンタも気にしなくてもいいぜ」

 

 

 からからと笑う霧雨。なんというフランクな性格なんだ。

 

 

「それと私の事は名前の方の魔理沙って呼んでくれ。どうにも名字で呼ばれるのは好きじゃないんだ」

「そうか。俺も名前で呼んでくれた方が馴染みがあるから、そっちで呼んでくれても構わない」

 

「あいよ。宜しくなレージ」

 

 

 霧雨──ではなく魔理沙──は、手を伸ばす。俺は握ろうか握らないか一瞬迷ったが、結局躊躇いがちだが魔理沙の手を握り、握手を交わす。

 

 

「こちらこそ宜しく……魔理沙」

 

 

 自分で言っておいてなんだが、女性のファーストネームを呼んでいいものなのかまたしても迷った。しかし魔理沙は気にする素振りを見せる様子はない。

 

 森近も彼女の事を名前で呼んでいたので、余程霧雨魔理沙という少女は名前で呼ばれているのに慣れているのだろう。

 

 魔理沙がぶんぶんと手を上下に振って、友好の握手を交わす。そんな彼女の小さな手を握っているのだから俺の手も当然、同じように上下に振り回される。

 

 

「……ふむ」

 

 

 手を離すと、静かに会計の椅子で様子を見ていた森近が何か閃いたように口を開く。呟きに反応して視線を向けると、その会計の上には俺の肩から落ちた上海がいつの間にか鎮座していた。

 

 

「魔理沙、君に頼みたいことがあるんだけどいいかな」

「面倒事じゃなければ引き受けるぜ」

「うん、レイジ君を博麗神社に連れてって欲しいんだ」

 

 

 森近に頼まれた途端、魔理沙はうーん、と唸って腕を組み、

 

 

「面白そうなのをくれたら」

「いや、そこは無償で」

 

 

 森近の提案、却下。ただし等価交換でというのなら、と魔理沙は条件を提案。料金ではないとはいえ、さしずめ俺は宅配物か?

 

 送り届けるというのならその比喩はあながち間違いではないかもしれない。何せ俺は幻想郷の地理に詳しくないからな。

 

 

「冗談だよ冗談。今日は単に何か無いかと見に来ただけだしな」

 

 

 要求を棄却して手を振る。それに対して森近は「やれやれ……」と肩を竦め、向き直る。

 

 

「そうかい、ならお願いするよ」

「任されたぜ」

 

 

 魔理沙と森近による一方的な話が終わると、俺はまた魔理沙に手を掴まれていた。

 

 

「え? あ、おい?」

「善は急げって言うだろ。ほらレージ、とっとと神社に行って茶菓子で寛ごうぜ」

 

 

 強引に手を引っ張り外に向かう魔理沙。その力は強く、転びそうになった。

 

 

「しゃ……、上海!」

 

 

 たたらを踏みながらも俺は魔理沙に引かれて同じく外に向かう際、置いてきぼりの上海を呼ぶと、彼女は一気に会計の上から俺の頭の上に移動する。

 

 

「じゃあねレイジ君。無事に帰れるといいね」

 

 

 森近が俺に向かって手をひらひらと振り、別れを告げる。その言葉が意味するのは俺が帰れるという示唆。

 

 床に埋もれたガラクタを避けながら、俺も言葉を返す。

 

 

「またな店主」

 

 

 再会を誓い立てた言葉ではなく、

 

 

「…………いや、じゃあな店主」

 

 

 別れの言葉に訂正して、俺は香霖堂を魔理沙と共に去った。

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