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窓際社員の俺にナポレオンが憑依したので、戦略で会社を帝国にします 〜営業最下位から始まる皇帝のビジネス戦争〜  作者: ズッキー
覚醒編

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【第3話】最初の戦場

柚留は小さな商店街を歩いていた。


平日の午前。

人通りは少ない。


古い看板が並ぶ中に、一軒の店があった。


「ビューティーさくら」


個人経営の化粧品店だ。

大手はほとんど営業に来ない。


柚留は店の前で立ち止まった。


「ここが戦場ですか……」


頭の中でナポレオンが言う。


『そうだ』

『小さい戦場だがな』


柚留は苦笑した。


「正直、こういう店ってあまり売れないんですよ」


『それは愚かな営業の考えだ』


ナポレオンは言う。


『戦争は数で決まらない』

『地形で決まる』


柚留は首を傾げた。


「地形?」


『この店は孤立している』

『つまり、競合が弱い』

『ここを落とせば拠点になる』


柚留は少し緊張していた。

営業は苦手だ。


ドアに手をかける。


「……行きます」


扉を開けた。


チリン


鈴が鳴る。

店の中には五十代くらいの女性がいた。

店主だろう。


「いらっしゃいませ」


柚留は慌てて名刺を出した。


「花咲化粧品の鈴木と申します」


女性は少し驚いた顔をした。


「花咲?聞いたことないわね」


柚留の心が少し折れそうになる。

だが―

ナポレオンの声が響く。


『怯むな』


柚留は深呼吸した。


「はい、小さな会社です」

「ですが……」


言葉が詰まる。


いつもならここで終わる。

しかし―

ナポレオンが言った。


『質問しろ』


柚留は聞いた。


「この店で、一番売れる商品って何ですか?」


店主は少し驚いた顔をした。


「え?」

「うーん……保湿クリームね」

「冬はこれがよく出るの」


柚留はうなずいた。

ナポレオンが言う。


『敵を知れ』

『戦場を知れ』


柚留はさらに聞いた。


「逆に、困っていることってありますか?」


店主はため息をついた。


「大手の商品ばかり売れてね」

「利益が少ないのよ」


その瞬間―

ナポレオンが言った。


『勝機だ』


柚留はバッグから商品を取り出した。

花咲化粧品の保湿クリーム。


売れていない商品だ。

だが―

ナポレオンが言う。


『こう言え』


柚留は口を開いた。


「この商品」

「利益率が高いんです」


店主の目が少し動いた。


「利益率?」


「はい」

「大手より30%高いです」


店主は商品を手に取った。


「でも売れるの?」


柚留は一瞬迷った。

そのとき―

ナポレオンが言う。


『戦争では勢いが重要だ』


柚留は言った。


「売れるようにします」


店主は笑った。


「どうやって?」


柚留は考えた。

そして―

ナポレオンが言う。


『電撃戦だ』


柚留は言った。


「今週末、店頭イベントをやりませんか」

「私が販売します」


店主は驚いた。


「営業さんが?」


「はい」


柚留は言った。


「一緒に売りましょう」


店主は少し考えた。

そして―

小さく笑った。


「……面白い営業さんね」


柚留の心臓が跳ねる。


店主は言った。


「じゃあ」

「10個だけ置いてみる」


柚留は固まった。


「……本当ですか?」


「ええ」

「売れたら追加ね」


柚留は深く頭を下げた。


「ありがとうございます!」


店を出る。

外の空気が冷たい。


だが―

胸が熱かった。


「……初めて飛び込みで売れた」


ナポレオンが言う。


『違う』


柚留は笑った。


「え?」


『これは戦争の始まりだ』


柚留は空を見上げた。


ナポレオンが静かに言う。


『戦争には格言がある』


柚留は聞いた。


「どんな?」


ナポレオンは言った。


『大きな戦争は』

『小さな勝利の積み重ねで勝つ』


柚留は笑った。

「じゃあ……」

「これが最初の勝利ですね」


ナポレオンは答える。


『そうだ』

『最初の征服だ』


この日―

花咲化粧品の商品は

10個だけ

店に並んだ。


だが、それは、

後に―


帝国の最初の領土になる。

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