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窓際社員の俺にナポレオンが憑依したので、戦略で会社を帝国にします 〜営業最下位から始まる皇帝のビジネス戦争〜  作者: ズッキー
東京攻略編

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【第19話】バズは戦場で生まれる

原宿のドラッグストア。

美容コーナー。


棚の一角に、白い小さなクリームが並んでいた。


花咲化粧品 保湿クリーム(試験販売)


10個。


それがすべてだった。

店員が棚を整えている。


そこへ、若い女性が近づいた。

スマホを見ながら言う。


「これかな?」


手に取る。

白い容器。

シンプルなラベル。


女性は友達に言う。


「SNSで見たやつ」


友達が驚く。


「え、もう売ってるの?」


女性は言う。


「たぶんこれ」


少し手に出す。

そして。


「え、やば」


友達が聞く。


「なに?」


女性が言う。


「めっちゃいい」


二人はその場で動画を撮り始めた。


「原宿で見つけた!」

「例のクリーム!」


投稿。

数分後。

その動画が拡散され始めた。




花咲化粧品 本社。

商品開発部。


白石美咲はスマホを見ていた。


「え…」


画面にはSNSの投稿が並んでいる。


「見つけた!」

「原宿に売ってた!」

「保湿すごい」


再生数。

コメント。

いいね。


どんどん増えていく。

美咲は呟いた。


「信じられない…」


ナポレオンが言う。


『火は広がる』


柚留は静かに言った。


「はい」


美咲は柚留を見る。


「鈴木さん」


柚留は言った。


「柚留でいいですよ」


美咲は少し笑った。


「柚留さん」


柚留は言う。


「はい」


美咲はスマホを見せた。


「もう3万再生です」


柚留は頷く。


「予想通りです」


ナポレオンが言う。


『次だ』


柚留はホワイトボードに書いた。


連鎖


美咲が聞く。


「連鎖?」


柚留は言った。


「バズは」

「一人では起きません」


「三人」

「五人」

「十人」


「そうやって広がります」


ナポレオンが言う。


『包囲戦だ』


柚留は頷く。


「はい」


美咲は少し不安そうに言う。


「でも」

「在庫」


柚留は笑った。


「ない方がいいんです」


美咲が驚く。


「え?」


柚留は言った。


「売り切れは」

「最高の広告です」


ナポレオンが笑う。


『いい戦略だ』


そのとき。

スマホが震えた。


原宿の店長からだった。

柚留は出る。


「鈴木です」


店長の声。


「鈴木さん」

「すごいよ」


柚留は聞く。


「どうしました?」


店長が言った。


「さっきのクリーム」

「もう全部売れた」


美咲が驚く。


「えっ!」


柚留は聞く。


「何分ですか?」


店長は言った。


「40分」


ナポレオンが言う。


『電撃戦だ』


柚留は小さく笑った。


「ありがとうございます」


電話を切る。

美咲が言う。


「売り切れたんですか?」


柚留は頷いた。


「はい」


美咲はしばらく言葉を失った。

そして小さく言う。


「私」

「ずっと」

「売れないって言われてました」


柚留は静かに言った。


「商品は」

「悪くなかった」

「戦略がなかっただけです」


ナポレオンが言う。


『将軍がいなかった』


そのとき。

営業部のフロアが騒がしくなる。


社員の声。


「見たか?」


「SNS」


「花咲の商品」


「バズってるぞ」


黒田がスマホを見ていた。


動画。

再生数。

12万


黒田は小さく笑う。


「面白い」


そのとき。

社員が言った。


「これ原宿で売り切れらしいです」


黒田の目が少し鋭くなる。


「そうか」


そして小さく言う。


「鈴木」





同じ頃。

東京。


帝都ビューティー本社。

マーケティング本部。


巨大なモニターにSNSデータが表示されていた。

社員が言う。


「神崎さん」


男が振り向く。

鋭い目。

落ち着いた雰囲気。


神崎玲司。

美容業界のカリスマ。


社員が言う。


「小さいブランドですが」

「少し面白い動きがあります」


神崎はモニターを見る。


SNS。

動画。

再生数。


23万


神崎が呟く。


「花咲化粧品?」


社員が言う。


「地方の中小メーカーです」


神崎は少し笑った。


「戦略は?」


社員が言う。


「SNSシーディング」

「原宿限定販売」


神崎の目が少し光る。


「なるほど」


そして言った。


「面白い」


社員が聞く。


「調べますか?」


神崎は答えた。


「いや」


少し間を置く。


「放っておけ」


そして言う。


「どうせ」


神崎はモニターを見ながら言った。


「小さなバズだ」


しかし。

神崎はまだ知らない。


この小さな火が―

やがて―

帝都ビューティーをも巻き込む

巨大な戦争になることを。

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