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窓際社員の俺にナポレオンが憑依したので、戦略で会社を帝国にします 〜営業最下位から始まる皇帝のビジネス戦争〜  作者: ズッキー
覚醒編

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【第12話】皇帝の辞書

午後一時。

コスメプラザ吉祥寺店。

店内はざわついていた。


棚。

そこに並んでいたはずの花咲クリーム。


残りは―

あと10個。


相沢店長が言った。


「鈴木さん」


柚留は振り向く。


「はい」


店長は棚を指さす。


「これ」

「午前中で90個ですよ」


柚留も信じられなかった。


まだ午後一時。

それなのに。

100個のほとんどが消えている。


ナポレオンが言った。


『当然だ』


柚留は苦笑する。


「当然ですか?」


『作戦が正しいからだ』


柚留は聞く。


「戦術ですか?」


ナポレオンは言った。


『そうだ』

『戦争も商売も同じだ』


柚留は棚を見る。

次々に客が商品を手に取る。


ナポレオンの声が静かに響いた。


『余の辞書に』

『不可能の文字はない』


柚留は思わず笑った。


「有名な言葉ですね」


ナポレオンが言う。


『多くの人間は勘違いしている』


柚留は聞く。


「どういう意味です?」


ナポレオンは言った。


『これは根性論ではない』


柚留は少し驚いた。


「違うんですか?」


ナポレオンは続けた。


『不可能とは』

『戦略が間違っているだけだ』


柚留は黙った。

ナポレオンが説明する。


『戦場ではよくある』


『兵が足りない』

『敵が強い』

『地形が悪い』

『補給がない』


柚留は言う。


「それは普通は不利ですよね」


ナポレオンは笑う。


『だから戦略を変える』


柚留の頭の中に昨日の言葉が浮かぶ。


兵を分けるな。集中させろ。


ナポレオンは続けた。


『弱い軍は』

『広く戦おうとする』


柚留は小さく呟く。


「全国営業…」


ナポレオンは言った。


『強い軍は』

『一点に全てを集中する』


柚留は棚を見る。

吉祥寺。


一つの街。

一つの店。

一つの棚。


そこに―

人が集まっている。


ナポレオンが言った。


『戦力集中』

『これが戦争の基本だ』


柚留は頷いた。


「なるほど」


そのとき。

レジから声がした。


「店長!」


相沢店長が振り向く。


「どうしたの?」


店員が言った。


「売り切れました!」


店長が棚を見る。


花咲クリーム。

ゼロ。


柚留は思わず笑った。

相沢店長が言った。


「……100個」

「本当に売れました」


柚留は深く息を吐く。

ナポレオンが言った。


『第一戦』

『勝利だ』


そのとき。

相沢店長のスマホが鳴った。


通知。

SNSだった。


店長が画面を見る。

そして驚いた。


「鈴木さん」


柚留は聞く。


「はい?」


店長は画面を見せた。

SNSのトレンド。


そこに書かれていた。


「吉祥寺クリーム」


柚留の心臓が跳ねる。


投稿数。

一万件。


ナポレオンが静かに言った。


『戦場は広がる』


柚留は呟く。


「はい」


相沢店長は柚留を見る。

少し笑っていた。


「鈴木さん」


柚留は答える。


「はい」


店長は言った。


「次は何をします?」


柚留は棚を見る。

空の棚。

そして言った。


「補給です」


ナポレオンが笑う。


『いい答えだ』


柚留の胸は高鳴っていた。


吉祥寺。

小さな街。


しかし今。

この街で起きた戦いが―

次の戦争を呼ぼうとしていた。

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