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窓際社員の俺にナポレオンが憑依したので、戦略で会社を帝国にします 〜営業最下位から始まる皇帝のビジネス戦争〜  作者: ズッキー
覚醒編

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【第10話】吉祥寺攻略戦

土曜日。

午前十時。

東京・吉祥寺。


駅前は人であふれていた。


若い女性。

カップル。

買い物客。


街は完全に活気に満ちている。


柚留は駅前に立っていた。

営業バッグを肩にかけている。


「ここが戦場か……」


ナポレオンが言う。


『いい街だ』


柚留は頷いた。


「人が多い」

「美容意識も高い」

「口コミも広がりやすい」


ナポレオンが言う。


『だからここを落とす』


柚留は前を見た。


大きな店。

三階建てのドラッグストア。

看板には書かれている。


コスメプラザ 吉祥寺店


SNSでも有名な店だった。

美容好きの女性が必ず来る店。


柚留は小さく息を吐いた。


「ここが王か」


ナポレオンが言う。


『王を落とせ』

『戦争は終わる』


柚留は店内に入る。


店の中は明るい。

化粧品が並び、客が商品を見ている。


柚留はレジへ向かった。

店員が声をかける。


「いらっしゃいませ」


柚留は名刺を出した。


「花咲化粧品の鈴木です」


店員は少し驚く。


「営業の方ですか?」


「はい」


「店長さんはいらっしゃいますか?」


数分後。

一人の女性が現れた。


二十代後半。

落ち着いた雰囲気。

鋭い目。


店長だった。


「私が店長です」


柚留は頭を下げる。


「花咲化粧品の鈴木です」


店長は冷静な声で言う。


「営業ですよね」

「申し訳ありません」

「今、棚はいっぱいなんです」


柚留は少し笑った。


「今日は商品を売りに来たわけじゃありません」


店長の眉が少し動いた。


「……どういう意味ですか?」


柚留は言った。


「売上を作りに来ました」


店長は腕を組む。


「売上?」


「はい」


柚留はスマホを出した。

SNSの投稿。


正直すぎるPOP


いいね数。

1万8000


店長が少し驚く。


「これ……」


柚留は言った。


「僕が作りました」


店長は柚留を見る。

鋭い目だった。


「つまり」

「話題を作った営業ということですか」


柚留は答えた。


「そうです」


店長は少し考えた。

そして言った。


「でも」

「それは小さい店の話ですよね」


柚留は頷く。


「はい」


店長は続ける。


「ここは違います」

「うちは一日何百人も来る店です」


柚留は言った。


「だから来ました」


店長の目が細くなる。


「理由を聞きましょう」


柚留は静かに言った。


「この店で売れたら」

「街が動きます」


店長は黙った。

ナポレオンが言う。


『いいぞ』


柚留は続けた。


「吉祥寺は口コミの街です」

「ここで話題が生まれると」

「他の店も動く」


店長は腕を組んだまま言う。


「つまり」

「この店を戦場にしたいと」


柚留は頷く。


「はい」


店長は聞いた。


「もし売れなかったら?」


柚留は少し笑った。


「商品は引き取ります」


店長の眉が動いた。


「全部?」


「はい」


店長は数秒考えた。

そして言った。


「何個です?」


柚留は答えた。


「100個」


店長が驚く。


「100?」


柚留は言う。


「一週間で売ります」


店長は柚留を見つめた。


店内のざわめき。

客の声。

数秒の沈黙。


そのとき。

ナポレオンが言う。


『押せ』


柚留は静かに言った。


「もし売れたら」


店長は聞く。


「何です?」


柚留は言った。


「この店が」

「東京で一番話題の店になります」


店長の目が光った。


数秒。

沈黙。

そして店長は笑った。


「面白い」


柚留の心臓が強く打つ。

店長は言った。


「いいでしょう」

「100個」

「やってみてください」


柚留は深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


ナポレオンが言った。


『第一関門突破だ』


柚留は棚を見る。


そこに並ぶ。

花咲クリーム。

100個。


柚留は小さく呟いた。


「戦争開始」


ナポレオンが笑う。


『都市攻略戦だ』


吉祥寺の街はまだ知らない。

この小さな棚から。

大きな戦争が始まることを。

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