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指輪

「指輪?」

「そ、指輪!」

「欲しいの?」

「淳也に付けてて欲しい、俺の独占欲」

「…」

「ちょっ!?息して!」


俺は茶を淹れて一口啜った。

「…で、何がどうしてそうなった?」

「職場で、佐野さんって彼女いますか?て聞かれて」

「うん(まあ、あるあるだよな)

「結婚してますって言ったの」

「うん(ぐっ!いや、間違ってない)

「舌打ちされて、指輪しないんですねーて返されて」

「うん(めちゃくちゃ狙われてんじゃん)

「俺が言われるって事は、俺よりかっこいい淳也の方が言われるじゃん!て」

「うん(…いや、悠介は綺麗だし)

「言われる?」

「彼女いるか?は飲み会の度聞かれる」

「やっぱり…」

「付けるのは構わないけど、悠介も付けろよ?」

「もちろん!お揃いにしよーね!」

「うん(かわいいかわいいかわいい………






「指輪の号数知ってる?」

「アメリカで自分で買ったのは7くらいだったー」

「日本のでいくと…13?もうちょい細くね?」

「薬指じゃなかったから違うかも」

「ヒモで測ってみるか…いや…13くらいだな。(へぇ、細くてもやっぱ男だな)」

「淳也はゴツいからデカそうだねぇ(ヒモ巻き巻き…)えっと…17号くらい?」

「どうする?店行く?ネット?」

「せっかくだから店がいいなぁ」

「うん、俺も。デザインは?お揃いって言ってたけど、同じか対か、どっちがいいんだ?こんな風に並べたら繋がるのとかあるぞ?」

「全く一緒が良い。大きさ以外一緒!」

「うん。なら次の休み見に行こ。」



いつもより、気持ちちゃんとした服を着てジュエリーショップに来た。

高級ブランドでもない量販店でもない、通り沿いにあるそれなりに名のある、オーダーメイドも取り扱ってる『結婚指輪』用の店。


照明も雰囲気も落ち着いていて焦らず吟味できそうだ。

「いらっしゃいませ」

と対応してくれた店員さんに指輪を見せてもらう。

悠介は『結婚指輪』とは言わずに指輪のオーダーを伝えて案内されてる。

「うーん、ね、ね!淳也!こっちとこっち、どっちがいい?」

「ん?…。俺ならこっち」

「やっぱり!…じゃ、こっちのデザインで。彼と僕のサイズでください」

「あ、面倒かけてすみませんが、会計は別でお願いできますか?」

「畏まりました。すぐにつけられますか?」


「…いえ、持ち帰ります」


袋をぶら下げて前を歩く悠介を見ながら、改めてプロポーズの言葉を言うか言わないか迷う。


「ねぇ、淳也!」

「ん?」

「今日の夕飯、ちょっと豪華にしよーか」

「食費、ヤバいんじゃなかったのか?」

「今日くらいいーじゃん!ワインでも開けちゃう?」

「たいして酒好きでもねぇだろ、悠介はケーキのがいいだろ?ホールで買ってやるよ」

「Yaー!誕生日じゃない日バンザイ!」

「なんだそれ…アハハ」


「んふふ〜」

指輪の交換でお互いつけあってから悠介はずっと左手を見ては笑ってる。

それが、嬉しいような気恥ずかしいような…。

首筋にやった手にいつもはない感触…指輪を感じて手を見る。

「…」

あー!落ち着かねぇ!!

「ちょっと出てくる」

「え?」

「夕飯には戻るから」


「ただいま!」

「おかえり〜、もうご飯用意できるよ〜」

ダイニングのテーブルには箱に戻された指輪。

やっぱ付けて炊事はヤだよな。

悠介の指輪をつまみ上げてキッチンに向かう。

火使ってるから振り向かないのいいことにそっと背後に回る。

「指輪、やっぱり外してんの?」

「もらったばっかりだしね」

「じゃあ、これ」

シャラリと小さく音をたてるチェーンを首にかけて留める。

「えっ?」

「ずっと付けてて」

囁いて耳の後にキスを落とした。

「…ぁ…はい…」





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