淳也
「少し前から浮き足だってる。ミスないのが不思議。」
同期の桜井にそう言われてドキッとした。
「あ…ああ、うん、そうだな」
「前アメリカにいる恋人が帰国するって言ってたけど、そのせい?」
「…ごもっとも」
「四年間一度も会わずに良く続いたよな、俺、無理。」
「もう少しで消息不明になるとこだったから、連絡取り合えるだけマシだって思ってた。」
「は?なにそれ」
「アメリカに留学するの秘密にされてて、恋人の両親は離婚して新天地。」
「…うわ、マジでギリギリじゃん」
「そ。もう、居なくならないでくれるだけでも良いと思ってた。」
「なら、今ハッピーな訳だ。同棲してんですよね?」
「…ああ。心臓が持たないけどな」
「え?」
「久しぶりに会ったらめっちゃ綺麗になってるし、アメリカナイズされたからかスキンシップ多いし…」
「…佐野。もしかしてお前、」
「高校からずっと片想いだぞ?ある訳ねぇだろ」
「うわぁ!純愛ー!何?キスもまだ?」
「…おやすみのキスが初」
「ブハッ!んだよ、それ!マジか!社内で一番モテるお前がっ!クククッ!」
「るせー!」
「いや、まあ、そうだな。お前、思い遣りのあるいい奴だもんな。でも、そんなんで相手不安にならねぇの?」
「…相手も、まずはデートだよね!って雑誌見てる」
「ぐふっ!ピュアすぎっ!…じゃあ結婚はまだだいぶ先だなぁ」
「いや、籍は入れた」
「は?」
「相手の親が離婚したって言ったろ?苗字が面倒な事になってんだよ。だから、帰国に合わせて佐野になってもらった。」
「…意味わかんねー!結婚してからお付き合い開始?
は?明治くらいの見合い婚の夫婦?」
「相手がそうしたいって言うから…いや!だってな?お前!『表札も一緒が良いな?帰る所一緒って事でしょ?』
て!実家なくなった恋人に見上げられてみろよ!」
「…。あ、うん、死んだ」
「大変なのはあっちだ。名前変わるし手続きやら届けやら。それでも同じ苗字喜ばれたらなんも言えねぇよ」
「あー、うん、ドンマイ」




