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さようなら

風に吹かれた桜が、抜けるような青空をバックに舞い散るのをぼんやりと眺める。




茹だるような暑さを我慢して浴衣を着て行った神社。

降り積もった枯葉を巻き上げてはしゃいだ公園。

寄り添って温もりを分け合った展望台。

通った学舎や二人で駆けた校庭は静まり返っていた。


感傷をため息で散らす。

笑え!と叱咤して笑顔を作って振り向いた。


「卒業、おめでとう!」


大好き。

全てここに置いていくから

最後は、笑顔で終わらせて…


たったそれだけの願いくらい叶えてくれたっていいじゃないか!

掴まれた腕、痛ぇよ!

もう、息がもたないって!

「っ…まっ…!」

必死で振り絞った声に

「!わ、悪りぃ!」

慌て足を止めてくれた

膝に手をついて、必死で息を吸う。

「はぁはぁ…なん、なん、だよ…」


「だって…悠介逃げる気だっただろ」

「…逃げるって…」

「俺、悠介が好きだ」

「…」

「お前がいないなんて俺は耐えられない!俺は、お前が、悠介がいい!」

「淳也…」

「なあ?悠介は?」

「…俺だって、お前が好きだよっ!…大好き、なんだ」



必死で諦めようとした恋が、愛に変わって俺たちの関係も色々変わった。


このネット社会では、愛があれば海を隔てたくらいでは大した障害にはならないんだって思った。

多分、恋愛関係って、互いに求め合わなければ続かないんだ。だって四年離れてても俺たち続いてるし。

物理的な距離はもちろんあるんだろうけど、俺達は問題なかった。

まあ、キスすらせずに離れ離れだったせいもあるよな。

無事に留学を終えて、日本の会社に就職が決まった。

帰国日。空港で待ってくれてるはず…

「悠介!」

手を振る淳也は四年前より逞しくなってた。

抱きしめられると包み込まれるみたいだった。

胸がギュッとして、泣きそうだ。

「ちょっ!細すぎ!ちゃんと食ってんのか!?」

「元々太んないタチだっただろうが。そうゆうお前はデカくなったな…」

「鍛えはじめたら楽しくてな!荷物そんだけか?」

「んなわけないだろ。大半は郵送したよ」

「んじゃ、行くか!」


「…でも、本当に良いのか?」

なんと俺が留学している間に、両親が離婚し、再婚や良い人が出来て俺は実家がなくなってしまったのだ。

それを聞いた淳也は、なら一緒に暮らせるな!と新居を探してくれた。

「やっと恋人と一緒に居れるのになんの心配だよ?言ってた通り働き出したら家賃とか折半な!」

カラリと笑う姿は変わらなくて、ドキドキする。

「…はぁ…頼り甲斐のあるダーリンで幸せ」

照れ隠しに腕に抱きついてしなだれかかればビクッと派手に震えた。

頭一つ上にある顔を見れば真っ赤だった。

「え?」

「い、いきなり、そんな恋人ぽい事されると…」


俺のダーリン、初心すぎる!


「ふふっ、なんだよそれ…」

「いや、だって!まともにデートもしてないんだぞ!?」

「いっぱいしようね?」

「っ!」

「…なぁに?エッチな想像した?」

「し、してない!」

「えー?してくれないんだー?恋人なのに」

「ぐっ…ちょっと、した…」

「ふふっ、良かったぁ」

「悠介、いつのまにそんな小悪魔になったんだ?」

「え?そう?」

「猥談とかも全然しなかったじゃないか」

「好きな人相手にしないだろ?」

「…。たしかに…」

「俺が淳也好きになったの一年の時からなんだよ?」

「は?マジで?そんな前から!?三年じゃねぇの!?」

「三年にはもう諦めようともがいてたよ。それが違和感に繋がったのかな?」

「…そうだったのか…」

「淳也は?いつ好きになってくれたの?」

「…夏祭りん時、浴衣姿の悠介にムラっとして自覚した…」

「ふぅん?なんか視線感じると思ってたらそうだったんだー?へぇー?」

「…すまん」

「なんで謝るのさ。でも、そっか…あのまま泊まって色仕掛けすれば良かったかな?」

「…色ボケして受験どころじゃなかっただろうな」

「あーたしかに。現実逃避に勉強してたのもあったしね。」

「ああ」

卒業の時、淳也が動いてくれなかったらこうやって笑ってなかったんだよなぁ…

「あの時、好きって言ってくれてありがと。」

「…今は、愛してる、だけどな?」

淳也てば電話のせいか言葉だと積極的なのに、触れ合いには照れちゃうんだから、可愛いよな。




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