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海に、月が昇る ~シェリーの追憶~  作者: 時澤菫
太陽王子と月光令嬢
6/22

5 謁見


「陛下にご挨拶申し上げます。イザベラ・スチュアートと申します。」


 ランヴァルドがチラリと見たのを感じ、イザベラは足が震えそうになった。緊張していたということもあるが、興味ないように見えたので早々に消えたいと思った。ただ、それは彼女の勘違いに過ぎない。


 一方のランヴァルドは彼女が王となった自分の前で、早く引き下がろうとしているのを感じ、見た目とは裏腹に度胸のある女だと考えていた。面白い、少し意地悪してみよう、と不敵に笑う。


「そなたがかの侯爵の一人娘か。これまでは病気だったと聞いていたが、もう大丈夫なのか?あるいは、もしかして病気というのは嘘だったのかい?」


イザベラはさらに血の気の引いた顔になった。


「い、いいえ!もともとは病気でしたが、今は普通に過ごせるまで回復いたしました。これまで陛下にご挨拶できなかったこと、大変申し訳なく思います。」


慌てて否定したため、これを見た人によっては怪しくも見えるのだが、ランヴァルドは嘘をついているようには見えなかった。その代わり、場に慣れていないことが他の貴族のあげあし取りになりかねない、と考える。


「そうか、やはり病気だったか。」


ランヴァルドは周りを見渡して頷いた。


「では、今後は開かれる宴に参加するように。イザベラ嬢もきっと気に入るだろう。」



そんなことはない、と二人とも思ったが、ランヴァルドは挑戦的な表情を崩していない。

イザベラは悔しく思い、一瞬強張ったがすぐに弱弱しい笑みを浮かべて一礼した。




そしてこの陛下と気が合うことはないだろう、と確信した。


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