第2話 攻撃力クソ雑魚女戦士、モンスターに挑む。
ユウナの攻撃力クソ雑魚っぷり、とくと見よ。
「さて!モンスターと戦いましょう!」
「張り切ってるな・・・」
桁外れの防御力と桁外れの攻撃力(逆の意味で)を持つ女戦士・ユウナ。
勇者様・ホムラと共に、モンスターと戦うべく街を飛び出した!
「俺の名前、ユウナがさらっと説明しただけだから誰も覚えてなさそう・・・」
「勇者様!早く行きましょうよ!」
なんか元気無いな、勇者様・・・
「そう慌てるな。いつモンスターが出てくるか分からないんだ。常に警戒を怠るな。」
「え〜?平気ですよ〜!わたし、防御力は桁外れですからっ!」
「そうだった・・・お前防御力に関しては最強だったな・・・」
そうだったじゃないですよ!
攻撃力クソ雑魚のわたしの取り柄なんですから、忘れないでくださいよ勇者様!…あぁ、言ってたら悲しくなってきた…
「しかし心配だな…あのクソ雑魚連続パンチングがモンスターに通用するのか…」
「クソ雑魚連続パンチング言いたいだけですよね!?というか、そんなこと思っても言わないでくださいよ〜!!」
「だって想像を遥かに超えるクソ雑魚っぷりだったからなぁ…」
「わざわざ改めて言わないでくださいって・・・」
なんでこの勇者様はわざわざわたしを傷付けることを言うんでしょうか・・・
「ほら、来たぞ。」
「!」
「グルル・・・」
【ゴブリンがあらわれた!】
「来ましたね…!モンスター!!」
「さあユウナ!攻撃だ!」
「はいっ!」
さぁ、わたしの真の実力を魅せる時です!
流石にモンスター相手なら対等以上に渡り合えるでしょう!
ユウナは愛用の武器である双剣を取り出し、電気を帯びさせる。
そしてその電気をゴブリンに向かって飛ばす!
「はぁっ!」
「グルル・・・!」
やりました!電気がゴブリンに直撃しました!
これでゴブリンもビリビリ痺れて・・・
「・・・・・・」
痺れて・・・
「・・・・・・グゥ?」
「・・・・・・あれれぇ〜?」
「案の定効いてないじゃねーか!!」
「ななななんでぇ〜!?」
「何処まで桁外れなんだよお前の攻撃力は!!」
そんなまさか・・・!わたしの攻撃じゃゴブリンすら傷付けられないんですかぁ〜?
「グゥ…!」
「わっ!ゴブリンが攻めてきました!」
【ゴブリンのこうげき!】
「・・・・・・」
「・・・・・・グゥ?」
「えっ?ゴブリンさん?今のが攻撃ですか〜?」
「何処まで桁外れなんだよお前の防御力は!あと煽るな!!」
攻撃が全然通らないのはお互い様だったみたいです!つまりこの勝負、わたしにもまだ勝機が・・・!
「次はわたしの番です!はあぁっ!!」
ビリリッ!
「・・・グゥ?」
・・・うぅ、やっぱり効いてない…
「・・・・・・」
「グゥ!」
【ゴブリンの攻撃!】
「だから効きませんって!そんな攻撃!今度はわたしが・・・」
「いやこれジリ貧じゃねーか!!」
「えっ?そうですか?」
「そうだよ!このまま戦ってたら日が暮れるわ!!」
相変わらず言ってくれるなぁ…事実だから何も言い返せないのが悔しい…
「ほら!退却だ退却!」
「えぇ〜」
勇者様に引き摺られるようにしてモンスターから離れるわたし。
「しかし、なんというか・・・本当に規格外だな…」
「いや〜、それほどでも〜…」
「褒めてない!!」
がくっと項垂れる勇者様。わたし、そんな変なこと言いましたかね?
・・・あっ、そういえば…勇者様と旅をしていて仲良くなった、治癒の魔法を得意とする女の子がいるんですけど…その子に「わたしと勇者様は似たもの同士」って言われたんですよね…
…まさか、わたしも勇者様と同じでクソボケってことですか!?
・・・いやいや、まさか!わたしはクソボケ勇者様よりまともな自信がありますから!
「そうですよね!?」
「なんだよ急に!」
今考えていた事を勇者様に話してみます。わたしそんなクソボケじゃないですよね?勇者様!
「あー、そんな事もあったなー。…んー。そうだなぁ…」
考えるような素振りを見せ、勇者様は言う。
「そもそも、『俺がクソボケ』って部分からよく分からないんだが…」
「うーん」と唸る勇者様。
…問題外でした。
そういうところですよ、勇者様!
「それより、どうすんだユウナ?ゴブリンにすらまともにダメージを与えられてなかったが…」
「い、いや!わたしの攻撃力の低さは最初から分かりきっていたじゃないですか!逆にモンスターが強過ぎたんですよ!そう!スライム!スライムなら流石にわたしでも…!」
なんか言ってることが雑魚キャラみたいになってますけど、実際攻撃力は雑魚なので…あぁ、また悲しくなってきた…
「言ってて悲しくならないかそれ?」
あぁ、勇者様にもツッコまれた…何故この人はフォローというものをしてくれないんでしょうか…
「でもスライムか…まぁ、スライムなら雑魚モンスターの代名詞みたいなもんだし、流石のユウナでもどうにかなりそうか。」
「勇者様!?なんか馬鹿にされてる気がするんですが!?」
「まぁ、事実攻撃力はクソ雑魚だからなぁ…」
「だ・か・ら!何故そこで否定をしてくれないんですかっ!!」
このクソボケ勇者様は、なんでいつもこうなんでしょうか…
たとえ事実でも、言って良い事と悪い事があると思うのですが・・・
「ともかくだ。これからスライムの出現する区域…パト村の方に行こう。」
「パト村…!・・・って、上手く話を逸らさないでくださいっ!」
パト村とは、勇者様の故郷である村。
勇者様が魔王を討伐するべく旅立った村の事です。
喧騒なんて忘れてしまうような、すごくのどかな村だとか・・・
・・・というのは勇者様から聞いた話で、わたしはパト村の出身でなければパト村を訪れたことも無いので、どんな場所なのか詳しい事は何も知らないのですが…
「でもユウナも行ってみたいって言ってたじゃん。俺のふるさと、パト村に。」
「それはそうですけど……うーん……」
難しい顔をして唸るユウナ。
「どうした?何か心配ごとでもあるのか?」
「いえ、その、なんというか・・・」
「わたしがこうして勇者様と旅をしていることで、村の方に勇者様との仲を何か勘違いされてしまわないかと…」
「何の心配してるんだお前はっ!!」
馬鹿野郎!と吐き捨てる勇者様。
「だって嫌じゃないですか。勇者様と恋人だと思われたら・・・」
「そっちかよ!!」
ガクッと項垂れる勇者様。
だって嫌じゃないですか。いくら勇者様とはいえ、こんなクソボケな人の恋人だと思われるのは・・・
「まったく・・・失礼だな、お前は…」
それ、クソボケ勇者様にだけは言われたくありませんが…
勇者様は続けて言う。
「まぁ、どちらにせよ大丈夫だよ。あれだ、田舎の村だから、いるのは歳いったおじいさんおばあさんばっかだからさ。そういったご老人が若い男女の仲を勘違いなんてよくある話だし、別に勘違いされたところでどうってことないだろ?…ちょっと失礼かもしれねーけど。」
「だから、それが嫌なんですって・・・」
「そろそろぶん殴るぞお前」
そんなに怒ることですかね?
勇者様はわたしと恋人だと思われても構わないのでしょうか…?
…とりあえず、一つだけ言っておきましょう。
「残念ながら、わたしに鉄拳制裁は効きませんよ?」
「・・・面倒くさいな、お前…」
そうだった、とため息をつく勇者様。
わたしに物理的な攻撃は効かないので、こういう時にも役に立ったりするんですよね。
作者にとってはある種ボケ殺しになりかねないので、少し厄介かもしれませんが…
…あれ?口をついて出たけど作者って何でしょう?
「凄まじいメタ発言をするんじゃない。」
あれ?今の聞こえてました?勇者様にツッコまれてしまいました。
「…まぁいいか。とにかく、パト村に向かおう。俺は別に恋人だと思われても構わないし、気楽に行こうぜ。」
「〜〜〜〜〜〜っ!?///」
何故、さらっとこんな事を言えてしまうのでしょうか…
「もう〜!このクソボケ勇者様〜!!」
ぽかぽか!
「うわっ!?何だよ!俺何か怒らせるようなこと言ったか!?」
「そういうところですよ!勇者様!!」
ぽかぽか!
「そういうところって、何がだよ!?とりあえずクソ雑魚連続パンチングやめろ!!」
「それ勇者様も気に入ってるんじゃないですか〜!?」
このクソボケ勇者様といると、命がいくつあっても足りないな・・・
そう思ったユウナなのであった・・・
クソボケ勇者様と攻撃力クソ雑魚女戦士、2人の旅はまだまだ始まったばかりだ・・・
第2話、閲覧ありがとうございました。
今回、「真面目にストーリーを進めると何も面白くない」という問題点に書いていて気付きました。
少なくとも真面目部分が面白くないというのは作者の主観なので、読者様がどう思われているかは分かりませんが…
この辺は作者の技量次第なので、精進しますとしか言えませんね。
また1週間程したら投稿すると思いますので、第3話もよろしくお願いします。
…本当に1週間程で次話を投稿するとは思いませんでした。
最後にこぼれ話ですが、『クソ雑魚連続パンチング』の効果音「ぽかぽか」がカタカナの「ポカポカ」になっているのに投稿直前に気付いて、急いで直しました。
大事な部分を間違えるなんて恥ずかしい…ここまで読んでくださった読者様と作者だけの内緒ですよ?←