第九十一話 莉奈の豪運
そして、家に帰ると、早速莉奈のお父さんがびっくりしたような顔を見せる。まあ、当然と言ったら当然だな、こんな大きなぬいぐるみが二つも来たんだから。
「どうしたんだ? それ」
「クジで当てました!」
「う、うん。まあ、莉奈だからな」
驚きつつも、納得はしているようだ。そりゃあ、莉奈の豪運は両親が一番知ってるだろうからな。
「優斗くん、莉奈の豪運については知っているよね」
「はい、もちろん」
「あとで面白い話をしてあげよう」
「本当ですか?」
それはぜひ聞きたいところだ。
「なに、こそこそ話しているんですか? 二人とも。怒りますよ?」
「ああ、悪かった」
別に莉奈に知られて困るような話じゃないしな。
「内容教えてください」
「別に莉奈のの話豪運してただけだ。そうですよね」
「ああ、何も変なことは話していない」
「ならいいですけど」
「そう言う訳で優斗くんを借りていくぞ」
「えー、優斗くんとイチャイチャがしたいのに」
「それは後でしたらいいさ」
そして俺は莉奈のお父さんの部屋へと連れ込まれた。
そして真剣な顔で話し始めた。
「それで、莉奈の話をしてやろう。あいつの運の良さは生まれつきだった。あいつは、子どもの時からその才能をいかんなく発揮して、小学生の時から文化祭のビンゴ大会で一等を当てまくっていた」
「ああ、莉奈らしいですね」
「だろ。それで、暫く立ったら莉奈はビンゴ大会で、出禁を喰らったんだ」
「出禁? 小学生で?」
「ああ。あまりに当てるもんで、莉奈にはビンゴカードが渡されなくなっていた」
「まあ、主催者側の気持ちも分かりますね」
何しろ、人生ゲームのギャンブルマスで大金稼いだ女だ。その運だったらそりゃあ出禁にもなるわ。
「それに莉奈は小学生の時、引っ込み思案だからか友達が小学生の時あまりいなかった。だから、その決定に不満を抱く子はいなかった」
「……そうですか」
だから、俺や例の人に執着しているのかな。……って駄目だ、あいつのことに関しては考えないようにしないと。
「だから君には感謝しているんだよ。優斗くん。莉奈を愛してくれて、良き友人、そして良き彼氏になってくれて」
「まあ、俺も莉奈のこと好きですし。まあ、最初はえ? と思いましたけど。……いきなりお風呂に入ってくるし」
「ははは、そうだな。あの子はたまに突飛のないことをしてくるから」
「まあ、それは身に染みてわかってます」
「それで、話がそれたね。莉奈の運に関することなんだが」
ああ、もともとそう言う話だった。
「正直言って俺たちが金に余裕があるのは莉奈の豪運のおかげなんだ」
「豪運……」
「ああ、莉奈が宝くじで二等当てたもので、それで巨万とは言わないものの大分お金に余裕が出来たわけなんだ。そのお金を軍資金として会社を作って、そこそこの会社になった。だからこそ今の俺がいる訳だ」
「なるほど」
つめり、全ては莉奈のおかげという訳か。
「だが、莉奈はその後、宝くじには手を出してくれなくなったけどな」
「まあ、あいつのことだからなあ」
「そういう事だ」
そして俺と莉奈のお父さんはしばらく会話をした後、再びリビングに戻った。
「優斗くん、何を話していたんですか?」
「言わない」
また変なことになるかもしれないからな。
「言ってください。さもないとこれですからね?」
そう言って、莉奈はこちょこちょのポーズをとってきた。
「お前なあ、早速武力行使すんなよ」
「えー、良いじゃないですか。ほら!」
「ちょっおい、莉奈やめろよ」
「やめないです! 言うまでは!」
「ははは、早速イチャイチャしてるねえ」
「お父さん!」
そして俺は莉奈のお父さんが見ている中、くすぐりの刑に服したのであった。
「しかし、そんな話なんだったら、こそこそなんてしなくてもいいのに」
「悪かったな。なんか言われると思っただけだ」
「まあ、私はお父さんの前でイチャイチャを見せれてよかったんですけどね」
「あ、性懲りもなく」
このイチャイチャ星人め。
「とは言っても優斗くんも、水族館でイチャイチャを楽しんでたじゃないですか」
「それとこれは違うだろ」
「へーそんなこと言うんですか?」
「何だよ」
「また、なんかの罰を与えましょうかねえ」
「おい! やめろよ、それは」
そうして今日も莉奈とイチャイチャをした。




