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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第八十二話 テスト返し

 今日はテスト返却の日だ。そして、実質夏休み前最後の登校日となる。

 うちの学校ではテスト返却と、終業式を同じ日にやるのだ。別の日にやれば良いのに……。


「優斗くん、おはようございます」

「おはよう」


 いつものように莉奈と朝の挨拶をし、学校へと向かう。


「今日テストの結果出ますね」

「ああ、そうだな。自信あるか?」

「どうでしょうねえ。まあでも、自信はありますよ」

「そうか、なら莉奈の点数が楽しみだな」

「ええ、優斗くんを抜かしますよ!」

「それは無理だろ」

「いーえ、行けますよ! たぶん!」

「それは楽しみだな」


 そんな事を話しながら、学校に向かった。



 學校に着いてすぐに、


「寛人おはよう」


 と、いつものように話しかける。今日は彰人もいるようだ。


「俺は無視かよ」

「だって、いつも来てるわけじゃねえし」


 そんな軽い冗談を交わした後、


「大貫さん、上原さん、一昨日はありがとうございました」

「ああ、別にいいよ」

「ん? 何の話だ?」

「言ったじゃないですか、一昨日二人に合ったって」

「そういえば言ってたな。どういう状況だったんだ?」

「あ、えっと。大貫さんと上原さんと一緒に植物園に行ったんです」

「なるほど……珍しいな」


 まさか莉奈が俺抜きで出かけるとは。


「あ! 浮気とかじゃないですからね」


 そう莉奈が誇張するかのように言った。


「そんなもん心配してるわけねえだろ」

「ありがとうございます」


 そして、そのまま幾秒もの沈黙が過ぎた後、


「今日怖いな」


 と、寛人が言った。おそらくテストが返ってくることに対しての言葉だろう。



 だけど、俺は別にテストに自信がないわけではないので、「そうか?」と、返した。


「俺、実は数学少し自信がないんだ」

「確かに、寛人数学少し弱いからな」


 この前の定期テストで、寛人が三十八点取ってショックを受けていたことを思い出す。


「ああ、少し勉強が足りなかったかもしれない」

「俺は、寛人よりも、こっちの方が心配なんだけどな」


 と、彰人を指さす。問題児はこっちだ。授業もまともに聞いていない、学校をさぼりがち。こっちの方が断然心配だ。逆に心配しない要素の方が少ないくらいだ。

 漫画とかだと意外に彰人のようなタイプが勉強できるのかもしれねえが。ここは残念ながら現実なんだよな。


「おい、指さすな。前言った通り赤点はないと思うぜ」

「それはどうかな」


 と、にやりと笑う。強者の余裕だ。


 と、テスト返却が開始された。

 うちのテスト返却はそこまでの時間を要しない。とはいえ、一授業につき十分は取るので合計二時間半かかるのだが。


 まずは、数学のテスト返却からだった。

 数学の先生の福原先生が、


「えーまず。数学の点数がいい生徒さん三人の名前をこの画面に映します。ここに入ったものは成績優秀者なので、いつも言っていますが、その人を見習うように。では! 映します」


 と、そう言って、画面に点数が映し出される。俺は赤点は絶対ないと思うが、果たして……。


『 大村理央 九十三点

 前川優斗 八十九点

 松崎莉奈 八十六点』


 と、出た。それを見た瞬間すぐさま莉奈を見た。自分の名前が無事にあってほっとする前に。


 すると、莉奈は「やったー!!!」と、叫んだ。そして莉奈に対して拍手が送られる。俺と理央は前回もベスト三に入っていた。だからこそ、莉奈に拍手が向けられたのだ。

 思えば莉奈は頭悪かったし、頭よさそうなキャラでもない。……常に俺に抱き着いてるようなやつだしな。だからこそ、驚いているクラスメイトも多い。


 そしてその端で、前回ベスト三に入っていた秋山優希さんがショックを受けていた。


「どうしたんだよ。莉奈」

「がんばっちゃった!!」


 そう莉奈は笑って言った。正直意味は分からないが、もともと、呑み込みが早かったし、テスト前も俺と勉強した。それにあの時も莉奈は大分解けるようになっていた。だからこそ赤点はないかなと思ってはいたが、まさかこんなにできるようになっていたとは。


「優斗くんは越せなかったけどね」

「十分だろ、そんなに取れてたら」

「へへ」


 それからも莉奈の快進撃は続いた。もちろんランキングが発表されない教科もあったが、莉奈は大体八十点以上を取っていた。しかも、元から得意だった現代文に関しては九十八点だ。莉奈曰、両想いのカップルの気持ちが分かったかららしい。これを天才と呼ぶのか。


「じゃーん。平均八十四点!!!!」


 全教科のテストが帰ってきた後、莉奈はそう言った。だが、


「俺は平均八十六点だ」


 と、高らかに言った。


「優斗くんには勝てませんでしたか」

「残念だったな」

「しかし、」


 寛人が口を開いた。


「俺なんて平均で行ったら六十二だぜ。すげえな」


 と、寛人が彰人を見る。


「俺は何とか赤点三つで済んだから……」

「それでも赤点三つあるのか……そういや、寛人数学大丈夫だったのか?」

「ああ、四十三点だからギリセーフだったぜ」

「いいな、俺は十八点」

「どうやったらそんな点数取れるんだよ」

「うるせえ、赤点ぎりぎりのやつに言われたくない」


 そんな話をしていると、「私も混ぜて!!」と、理央が加わってきた。


「あ、天才さんが混ざると、私たちが威張れなくなるのでだめです」


 莉奈が堂々と断った。それはもうすがすがしいくらいに。


「いいじゃねえか。俺たちの格が下がるわけじゃねえし」

「それに、俺たちみたいな底辺もいるんだ」


 彰人がそれに付け加えた。


「お前はもう少し頑張らないとだけどな」

「はいはい」


 そして寛人が、「大村さんは何点だったんだ?」と訊いた。すると理央は慌てて計算して「九十二点よ」と、威張った。


「なんかどんどんインフレしていくな」


 と寛人があきれた感じで言った。


「そう言えば、大村さんは数学の最終問題解けたか?」


 と訊いた。数学の先生はいつも最後に超難問を出してくるのだ。それはほとんどの生徒が解けない問題なのだが、そのくせして配点が六点と高い。そのせいでもはや最高点は実質九十四点となってしまっている。


 ……赤点の人が少なくなるようにそんな問題出さなければいいのに。まあ、先生曰く、四十点分の基本問題は出してるらしい。まあ、赤点の人三人に一人はいるらしいけど。


「全然解けなかったね」

「やっぱりか」

「たぶんこれ、共通テスト模試の最終問題より難しいよ」

「だな。それは間違いない」


 この数学ベスト三が解けなかったとなると、もう、全員解けてないんだろうなと思う。


「じゃあ、そろそろ移動するぞ」


 と、先生が言った。どうやら今から行動に移動するらしい。テスト返却の日終業式の日を同じにしないでほしい……


 今は十一時半。今から一時までなんか色々するらしい。とはいえ、校長の話を聴くだけだろうがな。


 そして皆で講堂に行く。


「優斗くん、優斗くん」


 着くとすぐに莉奈が話しかけてきた。


「隣……ですね」

「だな」


 俺と莉奈は出席番号が隣。そう、こういう時に隣になれるのだ。


「しかし、優斗くんの隣に入れるの最高ですね」

「まあ確かにな。てか、今まではどうしてたんだ?」


 と言うことは付き合う前も隣だったことになる。今までは女子の隣なんて恥ずかしかったから隣はあまり見ないようにしていたから、どうだったのかは全く分からない。


「それはもう、優斗くんかっこいいなと思いながら校長先生の話を聴いていましたよ」

「なるほど、どおりで視線を感じてたわけか」

「え? 感じてたんですか?」

「冗談だよ」

「なんだ、冗談ですか」


 そして校長先生の話が始まり、その話を真面目に聴く。


 話の内容としては、夏休みだから羽目を外すなとか、学生なんだから勉強はちゃんと継続しろ、みたいなよくわからない話だった。テスト返却の後だったこともあり、たぶん学生の四分の一くらいの生徒は寝てしまっているだろう。


 そして長々とした話が終わり、クラスに戻った俺たちを待っていたのは、多くの宿題だった。


「面倒くさそうですね、この宿題たち」

「ああ、そうだな」


 その宿題の中には、漢字の書きうつし、問題集、もう三十一日にまとめて終わらそうなんて言う人を殺すような量の宿題が出されてた。


「まあ、でもこれやったら夏休み自由だしな」

「そうですね」

「おーい、優斗。これ代わりにやってくれないか?」


 と、彰人が宿題をぴらぴらさせて俺に言ってきた。


「お前……」


 呆れ顔で彰人を見た。もう何も言ってやれんな、これは。


「分かったよ。自分でやるよ」

「俺は別に何も言ってねえぞ」

「優斗がそんなの許さないという性格なのは知ってるから」

「それは良くご存じなことだ」


 そして、すぐに帰宅の時間となった。


「お前らは今日もデートするのか?」


 そう、別れ際に寛人が言った。


「どうする? 莉奈?」

「私はこれからちょっと忙しいので」

「そうなのか?」

「ええ、ちょっとしなければいけないことがあるので、しばらく会えないです」

「そうか、それは悲しいな」


 莉奈も悲しそうな顔をしていた。莉奈にとって俺は麻薬みたいなものだからそりゃあそんな顔になるよな。


「まあでも、しばらくたったら会えるからいいじゃねえか」

「そうですね」

「おーい、優斗。俺たちとも遊ぼうぜ」

「ああ、確かにな。寛人、俺とオセロやるか?」

「いや、それはいいわ。この前断っただろ」

「そうだったな」


 そう言って四人で笑った。これから自由な夏休みが始まるのだ。まあ、金曜日終わった時点で始まってるようなもんだったが。


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[気になる点] 数学の最終問題、超難問なのに解かれることを前提とした〜 は矛盾するのでは
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