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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第八十一話 俊の浮気疑惑

 夜に電話が鳴った。スマホを見ると、俊からだった。いったいどうしたのだろうか。

 実のところ俺と俊は結局あのハンバーガー屋さんでの一件以来会ってはいないどころか、メールでのやり取りもしていなかったのだが。


 とりあえず、電話を取る。すると、


「明菜を何とかしてくれ」


 と言われた。


 俊の言葉は焦っているのか言葉の羅列みたいになっていたが、要約すると、明菜とケンカしたという事らしい。まさかあの二人がけんかするとは。

 そして、なんやかんやあって、明日俊と明菜と合うことになった。所謂仲裁役と言うことだ。

 正直なんで俺が行かなきゃならないんだと思うが、断ればよかったのに、素直に断れなかった俺が悪いのだ。



「優斗くんとのお出かけ楽しみです」


 そう隣で莉奈がはしゃぐ。当初は俺だけで行こうと思っていたのだが、莉奈が私もついて行きたいと言ったから莉奈も来ているという訳だ。別にそこまで楽しいことをする予定もないのに。


「今から行くの別に楽しい場所ではないぞ」

「それでもです!」

「そういや、莉奈って仲裁と化したことあるのか?」

「あるわけないじゃないですか! 綾ちゃん以外たいして友達いなかったのに」

「そうだったな」


 そして、俺と莉奈はファミレスに入り、「お待たせ」と、そこに来ていた俊と明菜に挨拶する。


「……」

「……」


 明らかに空気が悪い。これは、何とか仲裁できるのか。


「とりあえず何か頼みますか」


 と、莉奈が俺にメニュー表を見せる。助かった。


「じゃあ、このかな」

「わかりました」


 と、莉奈が店員さんを呼び、注文した。


「さて、何があったんですか?」


 莉奈が真剣な目で明菜を見る。俺たちは特に事情は聞かされてないのだ。


「俊が、俊が浮気してたの。私がいない間に女の子とデートしてて」

「なるほど。それは俊さんが悪いですね」


 と、莉奈が結論付けると、すぐに俊が「待ってくれ」と言った。そりゃあそうだ。


「俺は、浮気してない。ただ、一緒に買い物してただけだ」

「私にはそうは見えなかったけど? 手をつないでたじゃない」

「……あれは違う。握らされてただけだ」

「でも、まんざらではなかったように見えたけど」

「そりゃあ女子に手をつながれたらドキドキ位するだろ」

「へー、私以外の女子にもドキドキ……するんだ?」


「優斗くん、優斗くん」


 莉奈が小声で話してきた。


「何だ?」

「俊さんもうほぼ負けてないですか?」

「ああ、確かにな」


 はたから見ると、もう勝ち目がないように見える。俺たちは仲介役と言うことで呼ばれたけど、これ俊に味方すること難しくないか? もうほぼ無理な気もするが……


「ちょっと待ってくれ」


 とりあえず声を上げる。気になった点があった。


「それって本当に浮気だったのか? もしかして、妹とかだったり」

「優斗、流石にそれはない」

「そうか……なら俺にも擁護は不可能だ」

「ちょっと待ってくれ! 俺を見捨てるのか?」

「ああ。てかさ、その相手側は今どこにいるんだ?」


 もちろん相手側の人の証言なしでは断定することはできない。


「ああ、確かもうすぐ到着する予定だが」

「じゃあ、お前の無実はその子にかかっているってことか」

「ああ」

「まあ、そんなことはないと思うけどね」


 と、明菜が冷たい目で俊を見、俊は少し落ち込んだ様子を見せた。


「私は明菜さんの味方ですから」

「おい、お前は一応俊に呼ばれたんだから俊の味方をしろよ」

「私は恋する乙女の味方です」


 乙女の味方って……


 そしてそんな話をしていると。


「お……お邪魔します」


 と、俊の浮気相手(仮)がやってきた。


「えっと、桐沢光さんでよろしいですね」

「あ、はい」

「それで、詳しくあなたの方からも聞かせてもらいましょうか」


 そう、威圧しながら言った。ただの修羅場じゃねえか。


「え……えっと……」

「そんなの良いから」


 しかし、本当に恥ずかしがり屋さんなのだろうか、全然人の男を奪いそうなタイプには見えない。どういうことなのだろう。


「私はただ買い物に付き合ってもらってただけです。それに……私が好きなのは俊先輩じゃなくて、武弘先輩なんです。それで誕生日が近いから……」

「なら証拠は?」

「レシートです」


 そのレシートにはマグカップが書いてあった。おそらくプレゼントのためだろう。


「なるほどね。でも、じゃあ、手をつないでたのはなんで?」

「それは、完全に私が悪いんです。私が手をつないでくれませんかって聞いたから……」

「俺も、お前がいるのに軽率に手をつないでしまったことは謝るよ。ごめん」

「なるほど。でも、まんざらでもない感じだったわよね?」

「それは本当に悪かった! すまん!」

「本当に悪いと思ってる?」

「ああ」

「分かった。じゃあ今度俊持ちでデートね」

「分かった」


 そして俊は安堵の表情を浮かべた。


「なあ、俊。これ俺たちが来た意味あったか?」

「すまん。ほとんどなかったわ」

「まあでも解決できてよかったな」

「もしかして別れようなんて言われるかもとか思ってたから良かったよ」

「これに懲りたらもう怪しい行動はしないことだな」

「ああ」


 そして俊たちと別れた俺たちは。


「優斗くん、優斗くんは怪しいことしないでくださいね」

「ああ、分かってるよ。くだらないことで剣かなんてしたくないからな」

「私もですよ。そんなのエネルギーの無駄です」

「ああ、そうだな。……もし俺が浮気してたらどうする?」


 興味本位で訊いてみた。


「それは、もう。優斗くんに私を愛させるだけですよ」

「莉奈ならそう言うと思ってた」

「もう、優斗くん」

「俺はそんな愚かな真似はしないから大丈夫だ」

「ならハグしてください」


 それは違うだろと言いたいが、まあいい。


「莉奈、大好きだ」


 と、ハグをした。

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