第八〇話 由依とのお風呂
「じゃあ、莉奈はここでだな」
と、駅に着いた時に莉奈に言った。
「え? 私優斗くんの最寄り駅まで着いて行きますよ?」
「いや、なんで?」
「だって、定期あるからタダですし」
「そういう問題じゃねえ」
「私まだ優斗くんと話し足りないですし」
「私もー! 莉奈ちゃんともう少し話したい!」
「なんなんだよ、お前ら」
「優斗くん、ダメですか?」
そう上目使いで訊いてくる。
「分かったよ。仕方ねえ。別に俺は困らないしな」
「やったー!」
莉奈と由衣がハイタッチする。こいつらこんなに仲良かったっけ?
「じゃあ早速話そう!」
「ちょっと待て、俺の秘密の話はダメだぞ」
「えー、私たちの共通点それじゃないですか」
「そうだよー!」
あ、これ俺許可しない方が良かったのか?
「ダメだ! 俺がいないところでしろ」
「じゃあ席離れます?」
「それは……なんとなく気まずい」
別の席で俺の話されてると思ったらなあ。
「じゃあなんだったらいいんですか?」
「俺がいないタイミングで俺が気づかないように話してくれ、つまり完全犯罪してくれ」
「えー、お兄ちゃんわがままじゃない?」
「わがままじゃねえ。だったら俺も由依の秘密話すぞ?」
「いいもん、私子供だし」
「子どもだからなんでも許されると思うなよ」
「お兄ちゃん……なんか怖い」
「というわけで交換条件だ。お前らが俺の秘密を暴露するたびに俺は由依または莉奈の秘密を暴露してやる」
もうこれ以上暴露されたくない。
「てか、さっきの莉奈のやつあるからもう莉奈の秘密暴露していいか?」
「私は別に何を言われてもいいので。むしろ自分から結構言ってるようなところがあるので」
そうか、確かに人前でハグするような奴だ。そんな羞恥心なんてあるはずがなかった。
「ちくしょう、これだと由依を責めるしかねえ」
「私も、別に何言っても大丈夫だよ! どんな私も莉奈ちゃんが受け止めてくれると思ってるから」
あ、これダメだ。俺の制止効かないやつだ。
そして案の定、電車の中で俺と莉奈のいちゃいちゃエピソード及び俺の黒歴史が暴露されることになった……
「じゃあ私はここで」
「……ああ」
疲れ切った声で言う。もう俺のライフはゼロだ。
「じゃあ莉奈ちゃん!」
「ええ!」
と、俺たちはその場を後にした。
「ねえ、お兄ちゃん?」
「なんだ?」
「今日……一緒にお風呂入らない?」
「……」
え?
「……莉奈ちゃんと一緒に入ってるんだったら、私と一緒に入ってもいいじゃん」
「いや、それは……流れだ。それに最初は母さんが愛ったからだし」
「でも、入ったのは、入ったんでしょ? 莉奈ちゃんお家でも」
「……まあ、そうだが」
「じゃあ、いいじゃん!」
「だめだ、莉奈に対抗しようとしてるのなら、それはもうやめろ」
「えー、お兄ちゃんのけち。じゃあ一緒に入らないんだったらどうしよっかな?」
「何をする気だ?」
「莉奈ちゃんにお兄ちゃんが一番嫌がりそうなことを聞いて実行する」
「勝手にやれよ」
「だったら、莉奈ちゃんにお兄ちゃんの初恋エピソード聴かせるのとかは?」
「……分かったよ」
流石にあの日々のことは莉奈には言いたくはない。俺の淡い日々の事は。初恋かどうかはわからないんだけどな。
「やったー」
喜ぶ由依を片目に本当に莉奈と由依を合わせてしまったことを本当に後悔した。
そして運命の時はすぐに来た。由依と共にお風呂に入る時が。
「お兄ちゃん入るよ」
「ああ」
そして由依がお風呂に入ってくる。しかも、タオルとかで胸を隠していない。
由依はそこまで胸が大きいわけじゃない。そもそも身長も低い方だし。
ちなみに「タオルとか巻け」と言ったが、「兄弟だからいいじゃん」と一蹴された。危機感とかないのか?
だが、隣で「お兄ちゃんとお風呂だー」とはしゃいでる由依を見てると、そんなことを考えても無駄だなと思えてきた。
そして俺は由依をそう言う目で見ないように頑張る。とはいえ相手は妹だ。そういう目で見ないようにするのは簡単だ。ロリコンじゃないしな。
「お兄ちゃん、お風呂気持ちいいね」
「ああ、そうだな」
「お兄ちゃんとお風呂入るの久しぶり!」
「まあ四年ぶりくらいか?」
「たぶんそうだね」
「別に私は気にしないのに……」
「何が?」
「裸見られるの」
「……それは気にしろよ」
俺だからいいって話じゃねえし。
「私が……裸を見せるのは……お兄ちゃんだけだよ?」
「お前、アニメに影響された?」
今のセリフ、由依が観てるアニメで確か言ってた気がする。
「バレた?」
「ああ……それと、そのセリフを言っていいのはアニメキャラだけだ」
「えー、いいじゃん。楽しいじゃん」
「厨二病セリフだったらまだいいんだがな……」
誘惑系は普通にあかん。教育のためにも、色々な意味でも言葉狩りをしなければな。
もしクラスの男子とかに言ったら大問題だ。
「由依……家族以外にはそのセリフ言ってないよな?」
「もちろんだよ。お兄ちゃん私を舐めてない?」
「舐めてるとかそういう問題じゃねえ。単に心配なんだよ」
「流石に私も家と外の分別くらいつくんだから。心配しなくても大丈夫だよ!」
「そうか」
と、体を楽な形にする。
しっかし、こうしてお風呂に一緒に入るのは新鮮だなあ。莉奈と一緒に入る時ともまた違う感じがして。
って、だからって異性と一緒にお風呂入りたいわけじゃないけど。だがまあ、お風呂でしか味わえない気持ちっていう言うのもあるし、いいことかもしれんな。
「そう言えば、お兄ちゃん、友達の話していい?」
「ああ、別に構わないけど」
「竜輝君って知ってる?」
「ああ、軽くは」
確か、由衣の友達で、ゲームが好きな子……だったっけ。
「今度家に連れてきていい?」
「ああ、別に構わんが」
「やったー。お兄ちゃんに会いたいってうるさかったから」
「え? 俺に?」
まさかの俺に会いたいかよ。
「うん。私結構お兄ちゃんの話を竜輝君にしてるから」
「してるのかよ」
「うん。あ、変な話はしてないからね」
「それは良かった」
マジで変なことうを話しかねないからな。てか、莉奈に話したし。
「じゃあ、そろそろ上がるね」
「ああ、俺はもう少しは言っとくわ」
「オッケー」
そして、俺は一人のんびりと湯船につかる。
80話突破しました。




