第六十七話 寝床
「さあ次は二人で寝ましょうか」
「だな」
と、そのまま、服を着て、寝室に戻る。
「今日は二人で寝ましょうか」
「それってどういう意味だ?」
「そのままの意味ですよ。同じ布団で二人で寝るってことですよ」
「お前、前回のこと忘れたのかよ。俺は一緒に寝ないぞ」
あの寝相にまた付き合うつもりはない。前回の件を踏まえると胸を触らされるところが、もはやもっとヤバいことされそうだ。
いや、まあ今日軽くそんな感じのことはしたけど……。
だが、そう言う問題ではない。自分の意思でするのと、されるのでは違うのだ。
「えーいいじゃないですか。それに大学生になったら一緒に寝ることになるんですよ。なら今から私の寝相になれるのが道理ですよ」
「そんな道理があってたまるか。その前にお前が寝相改善しろよ。さもなければ一緒に寝てやらないからな」
てかもう完全に同棲すること確定なのか。それはいいとして……大学生になれば、毎日この寝相と共に過ごす事になるのか……嫌だなあ。
「えー……じゃあわかりましたよ」
なんとか一緒に寝るのを回避できたか……。
「なら今日は一緒に寝ましょう」
なんでだよ! 寝ない流れじゃねえのかよ。
「お前……話聞いてたのか?」
「聞いたうえで。私が一緒に寝たいからそう言ったんですよ」
「……もう何も言えん」
自分の欲望に忠実すぎる。こういう時の莉奈には何を言っても無駄なのは、今までの経験で分かっている。もう俺にはどうしようもできん。
「そう言うわけで隣失礼しますね」
莉奈が俺の布団の中に潜ってきた。莉奈自身の布団はしかずに。
「ならさあ……せめて布団二枚ずつしけよ。お前に布団奪われる未来しか見えん」
「わかりました。妥協しましょう」
莉奈は渋々ながら布団をとりに行き、俺の布団の隣に布団を敷く。これで一緒の布団で寝ることは無くなったようだ。良かった。
「俺は……本当はお前と離れて寝たいんだけどな」
「えー、いいじゃないですか。もう合法的に私の胸触ったわけですし」
「そのことはもう触れないでくれ!」
そして、そのまま今日も隣で寝ることになった。さて、ゆっくり寝かせてくれるのか? 今日も寝相の被害に遭うのいやだぞ。本当に。
「さて……莉奈、今日は暴れるなよ」
「暴れませんよ。ただ、寝相が酷いだけです」
「俺はそのことを言っているんだが……」
何を言っても無駄なのか?
「まあ、せっかく隣で寝てるんですし、何か話しましょうよ」
「どんな話だ?」
「夏の計画です!」
「ああ、確かに決めなきゃならないよな」
夏休みは間近に迫っているしな。
「私としては、一〇日くらいは一緒にお出かけしたいなって思ってるんですけど」
「……一〇日か……まあ……ちゃんと勉強やるんならな」
「それは分かってます!」
莉奈の学力もなんとか平均レベルにはしたいところだし。
「まあ、とは言え、俺も特に夏休みに一人でしたいこともないしなあ」
「じゃあオールで一緒にいます? てか、同棲します?」
「流石にそれは俺が疲れる」
莉奈と一日中一緒は延々といちゃいちゃ要求されそうな気しかしない。俺はそれは嫌だ。疲れるしな。
「え? 私疲れる女ですか?」
莉奈が白々しくもキョトンとした顔を見せて来た。おい!
「疲れるだろ。お前は」
「え? 酷い!」
「いちゃいちゃ要求が過度すぎるんだよ。お前はよ」
分かってて言ってるだろ!
「気をつけますからオールで!」
「無理だ!」
と、布団の中に潜った。
「ねえ、優斗くん。ねえ、優斗くん」
身体を揺さぶられる。
「ん?」
「冗談は置いといて決めましょう!」
「ああ、とりあえずプールか海は行きたい。それと混浴じゃないお風呂……温泉に入りたい」
「それはもう是非全部行きましょ。それと私としては映画も観に行きたいですし、カラオケもまた行きたいですし、あとなんかこう、動物園も行きたいです。他にも色々ありますけど……今はこれくらいで」
「なるほど、お前はそんなに行きたいのか。まあ、でも行けるとこはいっとかないとな!」
家でゴロゴロするほど無駄なことはないし。
それにせっかくカップルになったんだ。せっかくの夏休みにどこも行かないなんてそんなに損なことはない
「ありがとうございます! じゃあそういう感じで。流石に眠いのでそろそろ寝たいです」
「意外だな。お前は最後の最後まで喋ると思っていたのに」
「私だって疲れ感じますからね。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
さて、これから戦いか……と思いながら眠りに着いた。




