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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第六十話 莉奈と料理

 そして下のリビングに戻った。


「おお、お帰り」


 と、莉奈のお父さんが言った。


「ただいまお父さん!」



「さあ作りましょう!」


 と、莉奈はベーコンを持ってきて俺に切るように促した。


「分かった」


 慣れない手つきでベーコンを少しずつ切っていく。ベーコンを切ったことはないが、たぶんうまくいけてるだろう。


「優斗くん。大きさそろえてくださいよ」

「大きさおかしいか?」

「おかしいですよ。もう少し均等に切ってください」

「そうは言われてもなあ。俺みたいな大雑把な人間には難しいぞ」


 料理なんてしたことがないんだし。


「そこはがんばってくださいよ。勉強ができても料理が出来なかったら私が何かあった時に困りますよ」

「結婚すること前提かよ!」

「むしろ結婚してくれないんですか?」

「いや、そう言うわけではないけどよ」


 相変わらず話が早えよ。決められる問題じゃあねえだろ。


「で、どういう風に切ったらいいんだよ。俺にとっては大きさなんて全部同じに見えるんだけど」

「感覚ですよ」

「ならむしろ無理だろ」

「えー感覚覚えてそのまま切るだけですよ」

「だからそれが無理だって話だよ!」

「じゃあ私がベーコン切りますから、優斗くんは卵かき混ぜてください」

「卵何個だ?」

「四個に決まっているじゃないですか」

「いや、知らないって」

「あ、あと牛乳も頼みますよ」

「どれくらいだ?」

「500CCぐらいですかね」

「分かった」


 と、卵と牛乳をお椀の中に入れる。


「じゃあかき混ぜてくださいね」

「おう」


 と、お椀の中の卵を解き始める。初めてやるが、思ったより簡単にできそうだ。


「あとはチーズですね。そこにある粉チーズを入れてください」

「どれくらいだ?」

「適当でいいですよ。まあでもカルボナーラなのでそこそこ入れて欲しいですけど」

「分かった。じゃあ少しずつ入れるわ」


 とは言ったものの、どれくらい入れたらいいんだ? 分かんねえ。失敗しても俺のせいじゃねえぞ。知らんけど。


「ほいっと。入れたぞ」

「どれどれっ……て全然入っていないじゃないですか!?」

「え? まだ全然足りないのか?」


 結構入れたつもりなんだけど。


「もう少し入れてください!」

「はーい」


 と、少し足す。


「全然足りませんよ。もっと入れてください」

「これでもか?」


 もうチーズだけになっちゃう気がするんだが。


「カルボナーラですからね。全然足りませんよ」

「えー」

「頼みますよ。優斗くん」

「じゃあ」


 もうヤケクソだ。全部入れてやる。


「流石に入れすぎですよ!」


 と、止められてしまった。まあ当たり前か。


「まあこれでいいか」

「なら、次は麺を茹でてください。もう沸かしてるんで」

「なあ思ったんだけど、莉奈ほとんど何もやってなくね?」

「良いじゃないですか。今日は優斗くんに料理のやり方を教えるためでもあるんですから」

「ちょっと待ってくれ。俺料理下手とか莉奈に言ったっけ」


 実際料理初心者なんだけど……決めつけられてるのはなんか違う。


「言ってはないですけど、見た感じそんな感じがしましたし」

「見た感じじゃあわかんねえだろそれは」

「でも見えたんだから仕方ないじゃない」

「正直に言え」

「大貫さんから聞いたんですよ。この前、優斗くんが料理をほとんどしたことないって」

「いつの間に聞いていたんだよ。それを」

「いいじゃないですか。それにもう沸騰してますし」

「あ、ほんとだ。じゃあ入れるか」


 と、パスタの麺の束をつかんで鍋の上に持つ。


「ここに入れるのか?」

「はい!」

「これ水撥ねるよな」


 下を見ると、大量の水が沸騰している。絶対熱いお湯が飛ぶ気がする。


「そこまでは撥ねませんよ。よほど変な感じで入れなければ」

「撥ねる可能性があるっていう事だよなあ? それは」


 可能性がある時点で俺は嫌だ。


「いや、その可能性が大いにあるわけではないんですけど」

「でも跳ねるってことだよなあ」


 怖い。この水の中にパスタの麺を入れるのか……やはり怖すぎる。


「莉奈、代わりにやってくれ」

「ええ?」

「だって、お前は俺のこと好きなんだろ。ならこういうのもできるはずだが」


 莉奈の俺への愛を逆手に取る。これしかねえ。


「いえ、入れません」

「ならあとで命令何でも聞くから」

「そんなことをしてまで嫌なんですか?」

「ああ」


 火傷で死ぬのよりはましだ。


「ならわかりましたよ。私が入れますよ」

「ありがとう!」


 そして莉奈がパット二秒で入れられた。


「じゃあ後はできますよね」

「ああ」


 そして混ぜる。少し力はいるが、大したことではない。入ってしまえば簡単な話だった。


「よし、できたぞ」


 麺が出来たら後はソースとあえて、前もって莉奈が焼いていたベーコンと合わせて完成だ。


「はいどうぞ」


 と、莉奈が莉奈の両親にさらに盛りつけたカルボナーラを見せる。


「おいしそうでしょ。私と優斗くんの共同合作」

「ああ、おいしそうだな」


 莉奈のお父さんは低温で言ったが。顔はうれしさを隠しきれてはいないようだった。


 そして……


「早速食べましょう!」


 という、莉奈のお母さんの一言から食事が始まった。


六十話突破です!

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