第五十九話 人生ゲーム2
「さて、給料日ですね」
四回目の給料日が来た。今までの莉奈は全部満額の五百万円を得ている。こうなれば今回もあっさりと五百万円を取られるのであろう。
「あ、十です」
うん。知ってた。ルーレットの数字×五十万だから当然五百万円だ。
「今回も五百万円いただきますね」
と、莉奈は銀行から五百万円札を取る。
「これで六千万ですか。普通ですね」
ゲーム終わった時の金額かよ。少なくともここで持てるようなお金じゃねえ。
「優斗くんはどれぐらいですか?」
「俺はまだ四百万円だよ!」
マイナスマスによく止まるからなあ。それによく莉奈に搾取されてるし。
「さてと家が帰るらしいので、一番高い家……五百万の家を買いましょう。それに別荘だったら優斗くんとゆっくり暮らせますしね」
「プラマイゼロかよ。ほんま不公平だ」
「日頃の行いを思い返してみてくださいよ」
「そんな思い帰すことなんてねえよ。お前の方が思い返したほうがいいだろ」
「私はただ普通に過ごしてただけですからねえ。普通に暮らしているからこそこんなことが出来るんですよ」
「嫌みにしか聞こえねえ」
「嫌みにしか聞こえないうちは全然徳を積めてないんですよー!」
「そんなことは置いといて次やるぞ」
と、莉奈の煽りを無視してルーレットを回す。
「うわ最悪だ。山で遭難、三十万失い一回休み」
「ほら、私を敬わないからです」
「莉奈、お前は神にでもなったつもりか」
「え? 神は優斗くんですよ。私は女神です」
「どっちでもええわ」
「あ、宝くじマス!」
さ てと、また莉奈の持ち金が増える時間か。
「まあ私が引いたら一等以外ありえませんけどね」
ルーレットで四が出たら莉奈は宝くじが当たったことになって莉奈は五百万円手に入れられる。
「じゃあ軽く一等弾きましょう!」
と、莉奈はルーレットを回す。当然の結露であろうか……出た数字は四だ。
「まあ当然ですね!」
と、莉奈はまた五百万円を取る。
「それって俺の全財産の1.5倍なんだが」
「まあ私にとってははした金ですからね。これから優斗くんには地獄を味わってもらうことになりますしね」
「これからも何も、今味わってんだが」
「それはごめんなさいね」
「おい!」
「でも仕方なくないですか? 優斗くんが人生ゲームやりたいって最終的に入ったんですから」
「分かってるわ。それは」
それを踏まえて人生ゲームをやる選択をしたし。
「これからどんどんと絶望の底にたたき落してあげますからね」
「ああ、分かった」
「さて……回しますね」
今莉奈が回そうとしているのはコース選択のルーレットだ。シンプルなコースか、ギャンブルコースだ、だが、もはやギャンブルコースに行く未来しか見えない。
「あ、ギャンブルですねー」
やはり……これで莉奈の総資産が百倍になりそうだ……てかこれ、札足りるのか?
「私は四と5に10億円かけます!」
そして、五倍になる。五十億だ。
「今度は五に五十億かけます」
やはり、当たる。これで五百億だ。
「あれ、札が足りません」
千万円札は百枚までしかなかった。
「仕方ないですね。実は予備のお金があるんですよ」
と、莉奈は紙に百億とで書かれた億円札を持ってくる。
「次は強制的に五百万円ですか。今度は増やせませんね」
と、莉奈は五を三回連続で当てて二億五千万円を手にする。大金なんだけどなあ。
「はした金ですね」
「俺の全財産の二十五倍なんだが」
「仕方ありませんね。優斗くんにはあげませんよ」
「くれねえのかよ」
「対戦相手に塩を送ったらだめですから。逆転されるかもしれないですし」
「無理だろ!」
四百九十九億円差って……。
「まあやるだけやってやるわ」
「そうですか。頑張ってください」
と俺はルーレットを回す。
「これは……モナ・リザを買う。五百万……」
「優斗くんドンマイです」
「お前の幸運の振り替えし軽くこっちに来てないか?」
思えばさっきからろくな目に会っていない。
「まあ結婚したら私が養ってあげますから」
「そのお前のせいで今運が悪いんだけどなあ!」
「さて、三百万円払ってください」
「あ、橋?」
先に通った人に三百万円払うと言うルールがあるのだ。つまり超大金持ちの莉奈に超貧乏人の俺がお金を払わなければならない。この世は不公平だ。
「はいはい」
と、三千万円を払う。全財産五百万円から三百万円取られる。そろそろ借金生活になる可能性がある。つらいなあ。
「あ、またごめんなさい。隣の人を助ける。お礼として優斗くんから百万円貰うですって」
「はあ!?」
「ごめんなさいねー」
やばいまたお金がなくなる。
「よし! 今度こそプラスマス来い!」
流石にそろそろ運の跳ね返しを期待したい。
「えーと、家が燃える……はあ?」
流石にこんな運が悪い事あるか? もしかしてさっき莉奈に引いてもらった奴のせいなのか?
「優斗くん……」
そして最終コースに入る前の中間地点として、借金があれば、絶対に返さなければならないという恐ろしいマスに来た。
実のところさっき初の借金が出来てしまったのだ。そして家が燃えたりして、売るものがない俺は強制労働所送りとなった。
「優斗くん……いや、大貫さん。来世でまた会いましょう」
「寛人死亡確定かよ!」
そう言えば俺今寛人を動かしてるんだった。
「だって今から生存方法ないじゃないですか」
「借金返せばいいだけだから」
「じゃあ私がゴールに行くのとどっちが速いか競争しましょう!」
「ああ、じゃあ勝ったら莉奈の全財産な」
「私にメリット無さすぎませんか?」
とはいえだ。この労働所では一ターンにつきルーレットで出た数×十万円が手に入る。それに対して俺の借金三百万円だ。まあ莉奈でもない限り四ターン以内での脱出は困難であろう。それに対して莉奈はゴールまで一五マスしかない。全部の良いマス巡りでもしてくれないと、勝つのはもう無理だろう。そう、全ては莉奈にかかってる。
「やったー! 石油掘り出して五百万円ゲット!」
「やったー! 株が大当たりして六百万円ゲット!」
莉奈は俺のスピードに負けない程度に良いマスを網羅していく。
「優斗くん、ゴールしました」
「お、おう」
俺は今、まだ借金が五十万円残っている状態だ。
「回すぞ」
そして四が出て、もう一度回して、十が出た。
「優斗くん、やっと抜けれましたね」
「ああ、やっとだ」
そしてゴールまで進む。八百万円損する宇宙旅行が心配だったが、何とかゴールで来た。と言うか、八百万円で宇宙へはいけねえだろ。
「ようやく終わりですね。さてと、合計金額を二人で言いあいましょう!」
「おう」
「せーの」
「501億3250万」
「1530万円」
桁が違いすぎる。もはや勝負にもなっていやしねえ。
「優斗くん。私の完全勝利ですね!」
「そうみたいだな」
完敗すぎる。まずギャンブルなんだよなー。
「さてとそろそろ時間ですね」
「ああ」
もうすでに時計の針は五時半を示していた。そろそろ作らないとご飯の時間には間に合わない。
「じゃあ行きましょうか」
「おう」




