第五十八話 人生ゲーム
「わかりました。なら、少しだけ人生ゲームしましょう」
「やだ」
「なんでですか!?」
「お前が勝つじゃん。運が絡まない奴やろうぜ」
勝てる可能性がない戦いをしたくはない。
「わかりましたよ。じゃあ優斗くんのゲーム見させてください」
と、莉奈は俺のスマホを覗き込む。
「え? 見てもそんなに面白くはないと思うが」
「いいんですよ。私も普通に見たいですし」
「だったらいいんだけど」
「優斗くん。ジュエルたまってるじゃないですか。私なんかガチャしてもいいですか?」
「だめだ、今はイベントないからなあ」
常設ガチャでジュエルを使いたくない。それに重要なイベントが近づいている訳だし。
「そうですか。なら別のゲームでガチャアイテムたまってる奴はないんですか?」
「無いな。あ、でも一つだけイベント来てる奴があるけど」
「ならそれを見せてください!」
「わかった」
そしてゲームの画面を表示させる。今回のガチャはそこまでは大きいガチャイベントではないが、それでも全体の七位くらいの実力のキャラが出る。それくらいの実力があるんだったらなかなかだろう。
「回させてください!」
「はいはい、分かったよ」
そして莉奈の手によってガチャが引かれていく。
すると早速一番のあたりキャラが出た。
「おい、莉奈お前の運やばすぎだろ」
「いえ、これからですよ」
「え?」
そしてもう一体出る。これで一凸だ。
「もう一体だと!」
結局このガチャで三凸してしまった。十体中四体。えぐい確率すぎる。
「わたしを崇め奉りなさい!」
「莉奈様感謝です!」
それにしてもどんな運なんだよ。一〇連で同じキャラ四体って。やっぱり逆異世界転生者だったりするのか? それくらいおかしいだろ、この運は。
「莉奈、何か使命があるんだったら言ってくれ! 俺が助けるから」
「優斗くん……これ以上聞かないでくださいよ」
「え?」
「冗談です!」
「おい!」
「まあでもこれが私の異能力ですからね」
「その言い方だと本当に異能大合戦でも始まりそうだな」
莉奈みたいな奴が大勢いるんならな。
「他にも一秒先の未来を見ることができる能力者とか、十センチずつ瞬間移動する能力者もいます」
「いや、しょぼいな!」
もっとすごい能力であれよ! 工夫したら強いのかもしれんが。
「てかそういうの置いといて、やっぱり人生ゲームやらないか?」
「え? 嫌なんじゃなかったんですか?」
「いや、莉奈だったらいくら稼げるのかなって」
観たことのない額を稼ぎそう。
「あー、私の人生ゲーム最高レワード教えましょうか?」
「いや、それはいい。目の前で莉奈が無双してるのが観たいだけだ」
「分かりました。なら是非!」
と、今度こそ人生ゲームが始まった。
「私が先行ですね」
莉奈が中央のルーレットを回す。
「七ということは芸能人ですね」
「ちょっと待て、莉奈。俺なんとなく分かってきた」
芸能人という職業は、職業日にルーレットで出た数かける五十万円もらえる職業だ。医者じゃなくて芸能人ということは、後々十を出しまくって、給料日に最大のお金を得ると言うことだろう。
「なら俺か」
と、五が出た。
「よし! 医者だ。これでラスボスにも抗えるな」
医者は最高額の職業だ。
「どこがラスボスなんですか」
「良いだろ、最強なんだし」
運がかかるゲームにおいてはな。
「やった! 百万人目の来場! 三十万円貰える!」
「なんでそんなにくれるんだよ。せいぜい一万くらいだろ」
「ツッコまないでくださいよ」
「だって三十万円だろ。多すぎだろ」
「腕時計が当たったと考えれば良いじゃないですか、三十万円の」
「まあそう考えたら悪くはないかもしれんけど」
しかし、やっぱりそんな店ないって……。
「あ、結婚ですって」
莉奈がひと足先に結婚マスに到着した。
「おう」
「相手は優斗くんか優斗くんか優斗くんですね」
「他の相手の可能性はないのか?」
俺しかないじゃねえか。
「やだなあ、こんな美少女に言われてるんですよ喜んでくださいよ!」
「俺は別の車に乗ってるだろ。俺以外にしなさい。俺不戦敗になるから」
俺対戦相手だし。
「なら、私が出会ったことある男性……大貫さんか、上原さんか、俊さんですか……なら優斗くんで」
「おいだからやめろ」
俺からピンを奪おうとしてくる。
「なら代わりに女ピンを刺してあげますよ」
「おい、性転換してるだろ!」
「多様性ですよ。ほら最近ニュースでよく見るじゃないですか」
「俺は性転換なんてしたくねえ」
「えー、まあでも優斗くんがそんなことしたら私結婚できなくなりますからね、仕方ないですから男ピンを置いときますよ。大貫さんを操作してください」
「寛人を操作するのか……俺を操作させてくれ」
「私がまとめて操作しますよ」
と、莉奈に俺のピンを奪われてしまった。つまりあの車では莉奈と俺(仮)がデートしてると言うわけだ。
それにこのゲームでは子どもを産むマスもある、そのマスに泊まった時の莉奈の反応が目に映る。
「あ、忘れてましたがお祝い金として百万円はらってください」
「俺に対して払うのかよ、てか高すぎるだろ!」
「早くください!」
となけなしの100万円を支払う。全財産300万あるけど。莉奈はもう千五百万あるのだ。不公平だろ。
「まあでも次俺も結婚するからその時はよろしくな」
「大貫さんがですよ」
「なんだよ。別に良いじゃねえか」
揚げ足取るなよ。
「私以外の人と結婚させたくないですし」
「莉奈……そう言うのをなんて言うか知ってるか? メンヘラって言うんだぞ」
そのワードはもうメンヘラだろ。俺は漫画で知ってるんだよ。
「メンヘラじゃありませんよ。ただ優斗くんが好きな運のいい超可愛いJKです!」
「自分でかわいいとかいうなよ」
自意識過剰か!
「えープラシーボ効果ですよ」
「自信持ったら可愛くなるとかそういう?」
「はい!」
「さてと子ども産みますか」
「おい、まだ止まっても無いのにいうなよ」
とは言いつつもうオチが見えてんだよな。なんせ、運の化け物だから。
「はい二です!」
やっぱりなあ。莉奈と俺(仮)が子ども産むのも既定路線だった訳だ。
「優斗くん男が女かどっちがいいですか?」
「男で」
「女って言うと思ってたんですけど」
「女は由依でもう十分だ」
「じゃあ優斗くん、一緒にこの子を愛でていきましょうね」
「……なんか別のゲームになってないから」
「え? そんなことないですよ。向こうにもう一つ子ども産むマスがあるからそこでもう一人産みましょうね」
「……ノリすぎだろ」
実際の子どもでは無いのに。何が楽しいんだが。
「あ、俺、結婚や、金くれ」
「まずはルーレット回してくださいよ」
ルーレットの数かける十万円だ。
「よし! 一?」
「残念でした」
「は? ふざけんなよ。お前の運って俺にも関与するのかよ」
「知りませんよそんなこと。まあとりあえずはい、十万です!」
「こっちは百万払ったのに本当酷い」
九十万円損したし、現実だったら絶交もんだろ。
「ごめんなさいねー」
「殴りてえ」
「二人目です!」
と、莉奈がまた出産マスに止まった。
「男女どっちにします?」
「男で」
興味ないし。
「私は女がいいんですけど、じゃんけんします?」
「いや、ええわ」
「夫婦で決めましょうよ」
「分かったじゃんけんな」
もうこのよくわからんノリに乗るしかないようだ。ツッコむのも面倒くさい。
「じゃんけんぽい」
俺が勝ってしまった。別にどっちでもよかったのに。
「じゃあ男兄弟ですね」
「ああ、そうだな」
はい、莉奈無双です。




