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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第五十四話 莉奈の案内

 そして案内という名の休憩を頂くことになった。ありがてえ。


「ここはお風呂です!」


 なぜまずお風呂なんだ。他に案内する場所とかいっぱいあるだろ。しかも……


「あの時の記憶が蘇る……」


 あの莉奈がお風呂に無理矢理入って来た記憶が……


「何がですか?」


 そりゃあ気づかないよな、莉奈だから。むしろ莉奈なら今も悪い事をしたという自覚とか無さそうだ。


「お前が風呂に急襲して来た時の記憶だよ」


 声を張って言う。本当あれはやめて欲しかった。


「でも結局優斗くん楽しそうだったじゃないですか」

「楽しかった訳じゃねえ、ただそっち方面では諦めてただけだ」


 話が楽しかっただけで、別に莉奈の裸を見たい訳じゃねえ。


「そんなこと言っちゃうんですか? もっと欲望に正直になりましょうよ」

「そんなこと言ったら俺がお前を襲う事になるぞ」


 そんな気は毛頭ないがな。


「それでも良いですよ」

「高校生のうちにする話じゃねえだろ」

「良いじゃないですか、子ども作りましょうよ」

「どこで覚えて来たんだよその知識」

「高校生なら誰でも知ってますって」

「てか次の部屋を頼む」


 さっさとこの変な話から脱却しなければ。


「もうお風呂はいいんですか?」

「このままいたら服を脱がれそうだから」

「私そんな変態じゃありませんよ。それにお風呂のお湯溜まってないのにどうやって入るんですか?」

「それもそうだな」


 とは言ったが、風呂の湯が溜まっていないとはいえ、五日前に風呂に無理矢理入られたのにどうして信用できるんだろうか、いやできない。


 てか今更だが、まだ付き合ってから一週間経ってないのか。五日前にどうしても違和感を感じてしまう。


「優斗くん次行きましょうよ。それともやっぱりお風呂に共に入りたいんですか?」

「いやいい……考え事してただけだ」

「何のですか?」

「まだ一週間経っていないんだなって」

「濃密ですからね」

「半分お前のせいな気がするが」

「失礼ですね。濃密な一週間を過ごせた事を感謝してください」

「はいはい、ありがとう」

「なんですか? その子どもに言うみたいな言い方は」


 俺はその言葉を聞く前に移動した。


「待ってくださいよ」


 と、すぐに莉奈が俺を追い越す。


「あくまでも案内するのは私ですからね」

「分かってますよ」


 そして次の場所に移動する。



「こちらがトイレです!」

「トイレを案内する必要あるのか?」

「だってもし急にトイレ行きたいとかなったら困るじゃないですか?」

「そうだけどよ。地味じゃん。トイレって」


 案内する必要性が感じない……。


「そんな地味ですか?」

「普通に地味だろ」

「まあいいです。さてここで三十分時間を使いましょう」

「使いすぎだろ」

「冗談ですよ」


 冗談で良かった。


「こちらがお父さんの部屋です」

「勝手に入ってもいいのか?」

「もちろんです! 偉大な政治の部屋ですよ」

「政治ってのはお前の父親の名前か?」

「当たり前じゃないですか」

「俺はお前の父親の名前知らねえから」

「彼女の父親の名前ぐらい調べといてくださいよ」

「なにそれ、どっかのストーカー?」


 いや、莉奈ならワンチャン調べる可能性あるなあ。ストーカー容疑かかってるし。




「で、ここがお母さんの部屋です」

「へー、普通だな。てか一部屋ずつテレビあるんだな」

「そうです」

「てかあの俺の部屋見た時の反応どこいったんだ?」


 あの広いとか、羨ましいとか言ってたの何だったんだよ。うちの家広いからなとか言ってたの少し恥ずかしくなってくるんだが。


「あれは、違いますよ。ただの媚びです。付き合って初日に嫌われるなんてことあっていいと思いますか?」

「だったら付き合って二日で風呂入るようなこともあってはならないと思うが」


 よし! 良いカウンターだ。


「それは別にいいでしょ」

「いや、議論の対象として普通に成り立つ」

「成り立ちません」

「成り立つだろ」



「そしてお待たせいたしました! ここが私の部屋です!」

「やっぱり俺の部屋より大きいじゃねえか。嘘つきやがって」


 と、莉奈のほっぺをつねる。


「痛いですって。いいじゃありませんか。誰も傷付かないウソですよ」

「だからっていいわけじゃねえだろ」


 明らかに俺の部屋よりもデカいのだ。つまりこの瞬間あの時の莉奈は自分の部屋よりも小さいけど、広いとか意味わからん事を言っていたと言う訳だ。


「だったら、へー大きいじゃない。ま、私の部屋ほどじゃないけどね。って言ってほしいんですか? それこそ私嫌な女になりますよね。そこら辺どうなんですか? 優斗くん」

「あー、もううるせえ。もうどうでもいいわそっちは」


 別に口論する為に来たんじゃねえから。


「私の勝ちでいいですか?」

「ああもうそれでいいよ。もう論破された」

「やったー!」


 莉奈は喜ぶ。仮初の喜べを楽しめ。


「てかやっぱりテレビもあるんだな」

「ええ、当たり前じゃないですか。しかも全部アニメとか見放題ですよ」

「それはすごいな」

「でしょ!」


 てか、さっきから自慢されてばっかだな。まあ別にいいけど。


「で、案内終わりました。さあ読みましょう」

「いーやもうちょい休憩させろ」

「もう十分でしょ。読みますよ」

「嫌だあ」


 と、本を読む。相変わらず文字が多すぎて読む気がおきん。


「おーい莉奈、再び休憩させてくれ」

「あと三十分読んだら休憩してもいいですよ」

「さすがに長すぎるだろ」


 十分でもしんどいのに三十分は余裕で死ねる。


「いえ、逆に優斗くんが短いんですよ」

「無茶言うなこれでも頑張ったほうだよ」


 あれから十五分は読んでる。十五分で頑張ってないんだったらどうすれば頑張ってることになるんだよ。


「それを言ったら優斗くん……模試の勉強の時にスパルタでしたよね」

「それは莉奈のためを思ってのことだ」


 まさか……


「だったら私も優斗くんの世界を広げようと思ってやっているんです。文句言わないでください」


 やっぱり揚げ足とってきたか。


「そんなこと言われたってこれはしんどいって、死ぬだろ」

「小説を読めない人には明日は来ないですよ」

「意味わからん」


 と、本を開く……無理だ。


「莉奈」

「読んでください」

「莉奈?」

「読んでください」


 笑顔で俺の方を眺めながら、そんな事を言ってくる。ただ俺だけを眺めながら……


 だめだ、読んでくださいbot になっていやがる。これじゃあ莉奈を説得することもできないか……つまり生存のためには小説を読み終えるしかないというわけか。きつすぎるだろ。


 時計を見るとまだ三時だ。五時まで二時間はある。時間よ早く過ぎてくれ。


 そして惰性で読み進める。面白くはないが、勢いで読めばまだ読めないことはない。文字が嫌なだけで内容はそこそこの面白さはあるのだ。


「優斗くーん」

「何だ?」

「今日私の家に泊まりませんか?」

「何だよ急に」

「いや、また一緒に寝たいかなって」

「それはさすがに計画してないと無理だろ。明日のための教科書もってきてないし」

「そうですか……仕方ないですね。明日にしましょう」

「ああ」


 そしてスマホを取り出す。


「ちょっと待ってください! どさくさに紛れてスマホを取り出そうとしてませんか?」

「バレた?」

「没収です」

「おい! やめろ! 文明の機器を取るな」


 そして完全に莉奈の勢いに負け、スマホを取られてしまった。つらすぎる。


 てか、立場逆転してしまってる。調子に乗ったバチが当たったのか? 


「はあ、小説を読み切るしか解決方法はないと言う事だな」

「もちろん!」


 笑顔で言い切るなよ。もう希望ねえじゃねえか。


「さてと、私も見てるだけじゃなくて読みますか」


 と、莉奈も小説を読み始めた。俺が読んでるのよりも遥かに難しそうな奴を。


さて優斗は再びの地獄に耐えられるのか!?

私としては地獄と思って欲しくないですけどね。

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