第五十一話 ボウリング2
そして理央が投げる。
結果はガーターになった。
「ああ、ごめん」
理央が俺に謝ってきた。
「良かった仲間がいて」
おそらく俺を煽っといて、ガーターなったからだろう。
「仲間ではないですけど」
「まあでも謝ってくれたから、大村さんだけは許す」
「優斗くん、どの立場から言っているんですか」
「お前は黙ってろ」
莉奈お前は侮辱しすぎだ。
「えい!」
そして理央が二球目を投げた。
「あ、八本倒れましたね。優斗くんとは違って……」
莉奈はここにきてまで、また変なことを言うのか。
「莉奈お前は覚悟してろ」
もう殴りたいし。
「てかもうヤル」
そう言って莉奈の両手を後ろ手で押さえて、こちょこちょをする。
「アハハハハハ、やめてください優斗さん」
「なら謝るのと同時にもう悪口言わないって約束しろ」
「分かりましたよ。だからやめてくださいよ」
「いや、まだだトラウマを植え付け、もうやらないようにさせる」
「本当すみませんでした。すみませんでした。すみませんでした優斗様」
「もうやめてあげたら?」
と、美里が言う。
「やめない」
「もういじめかな」
その場にいた理央が言う。
「なら仕方ねえ。もうやめとくか」
「ハアハア、死ぬかと思いました」
「良かった。お前は一回死んでた方が良かった」
「逮捕してもらいましょうか」
「それはこっちのセリフだ」
「次私投げるから今度は見てて」
と、二投目を投げようとしていた。
「一回目何本倒れたんだ?」
「三本よ」
「少ないなあ」
「優斗くんには言われたくないでしょうね」
「莉奈、分かってるか?」
そういい、手をこちょこちょの感じにする。
「恐怖政治じゃないですか。たしかロベスピエールの」
「よく覚えていたな。まあ俺はギロチン処刑してないけど。まあこれに免じてこちょこちょはしないでおこう。」
「なんの権力があって」
「彼氏という権力だ」
そして二投目はプラス三個みたいだった。
「よし、次私投げるね!」
と、美里が投げる。
2投合わせて七個だった。
「私も七以上狙いましょうかね」
莉奈が待ってましたかのように前に行く。
「えー、私より上を目指すの?」
「突き放しますからね、優斗くん以外」
「俺は戦力外かよ」
こいつには嫌われるという考えがないのか?
「あれ?」
莉奈の声を聞き、見るとガダーだった。
「何やってるんだよ」
「えへへ、手が滑りました」
「手が滑ったじゃねえよ。なんというかあんなに煽っておいて自分はミスするなよ」
「次は気をつけます」
「次もミスっていいんだからな」
「はーい」
莉奈はそう言ってボールを取るためにかけだして行った。
「行きますよ」
莉奈は二投目を投げる。なんとなく失敗して欲しい、てか莉奈を煽る正統的な理由がもっと欲しい。
「よし! スペア」
くそ、ミスってくれよ。
「優斗くんとは違って次はミスりませんでしたよ」
「もう好きにしてくれ」
「今度はガーター頼みますよ」
「うるせえ」
そして俺は投げる。
「ガーターですね」
椅子に座っている莉奈が言った。はあ、そうだよ。
「お前は黙ってろ!」
本気のトーンで言った。なぜここまで俺をイライラさせるのか。
「二投目か……」
これでダメだったら終わりだ。行け!
「やった!」
「優斗くん、一本だけじゃないですか」
「それでもいいんだよ」
ガーターとか言われないのなら一本でも構わない。それに倒せるなら倒した方が気分が良いし。
「優斗、私が手本を見せてあげますね」
この人も乗ってるな。集団で一人を叩くのはイジメだぞ。てかさっきの謝罪はどうした。
「えい!」
八本倒れた。
「はあ、俺はダメだ」
もう完全に自信無くした。
「優斗くん落ち込まないでください」
「ほとんどお前のせいなんだがな」
莉奈があんなにもあおってこなかったらこんな気分にはなっていない。
「てかお前俺の悪口を言ったらこちょこちょするってさっき言ったじゃねえか」
「大丈夫です。私は事実しか言ってませんから」
「あ、こちょこちょするなら私も手伝うよー」
美里も話に来てくれた。
「それはありがたい限りだ」
「やめてくださいよ」
「みんな私の二投目を見てよ」
それを見て理央がつぶやく。
「あ、ごめん」
そして二投目を見る。
「やったスペア!」
そう理央が喜ぶ。
「良かったな」
とほぼ無表情で拍手をする。
「優斗くん楽しくないんですか?」
「なあ、莉奈知ってるか? いじめってしてる方は理解出来ないらしいぞ」
いじめをした人は忘れるがいじめられた子は覚えてるアレだ。
「それ脅しですか」
「なんかお前の態度気に入らんからなあ」
「私、優斗くんがいなかったら死んじゃいますよ」
「ああ、死ね」
そんなんで死ぬんならな。
「誹謗中傷です」
「てか、今日のボーリングで何回同じ感じの会話してるんだよ」
ずっと煽る煽らないの話をしてら気がする。
「優斗くんのせいでしょうか」
「よし分かった。お互い休戦だ。俺はお前をくすぐらないし、お前も俺をあおらない。これでいいだろ」
「そうですね。オッケーです」
「なら楽しもうぜ」
そして俺が投げる番が来た。
「行くぞ!」
そしてガーターだった。
「優斗くんドンマイです!」
ああ、あおりのないボーリングは最高だ。
そして結果は俺が四十、美里が七十、理央が九十、莉奈が1百二十だった。
「優斗くん、私優斗くんの三倍ですよ!」
元気よく言ってくる。
「ああ、そうだなー」
元気のないようにいう。
「まあでも私大人なので煽りません!」
「そうか」
なら最初から煽らないとけよ。
「でも楽しかったね」
理央が言う。
「そうだな、莉奈は許せないけど」
「私はさっき煽らなかったのに!?」
「だって罪が消えるわけじゃないし」
「二人仲良すぎない?」
「まあな」
そして俺たちは家に帰った。




