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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第四〇話 模試3(確率)

「母さん、チョコ貰っていい?」


 俺は下の部屋にたどり着いた瞬間母さんに頼んだ。基本的にうちのお菓子は母さんが管理している。それには俺や由衣はおろか、父さんですら逆らえないのだ。


「はいはい、勉強のお供?」

「ああ」

「はい! とうぞ」


 母さんは俺にプチチョコの袋を手渡す。


「ありがとう」


 俺はお礼を言って、上の階の自分の部屋に戻る。



「ほい、チョコ持ってきたぞ」

「ぱく」


 俺が言い切るやいなや莉奈はチョコを一つ強奪して口に含んだ。



「ありがとう! おいひい」

「それはよかった」

「それで、これを見てください」

「何だ?」


 莉奈は携帯を見せてきた。動画の中では犬っぽい動物が部屋の中で走り回っている。


「これは、犬か?」

「そう、かわいいと思いませんか?」

「ああ、たしかにかわいいな」


 俺はあんまり動物にはかかわりが無い。動物を飼ったこともないし、動物にまともに触れ合ったことはない。しかし、見てたら確かにかわいいと思う。


「私こういうの好きで、延々と見られるんですよ」

「それはよかったな。俺は延々は無理やけど」


 たぶん俺だったら二分ぐらいで飽きる。


「はい!」


 5分後俺のスマホから休憩時間終了のアラームが鳴った。


「さて勉強再開だ」

「先生、さっきの犬の可愛さに免じて五分休憩を伸ばしませんか?」

「もう十一時だぞ、あんまり時間がねえぞ」

「ケチですね」

「ケチじゃねえ、莉奈のために行っているんだ」


 莉奈は少し不満そうな顔をするが俺は無視して話をつづける。


「さてまずは教科書使ってやるぞ」

「はーい」

「さてと確率で何が苦手とかあるのか?」

「いっぱいあるけど……まずは反復とか、条件付きとかですかね?」

「じゃあそれをやるか」


 俺は教科書のページを開く。


「まあ反復試行だが、これはまず赤い球が三つ、白い球が二つあるとする」

「うん」

「そして赤玉と白玉の合計五つだから分母は五だろ。そこまではわかるか?」

「うん。でも分母と分子ってどっちが上でしたっけ」


 ああ確かに言ってなかったな。


「分子が上だな」

「はい」

「でだ、話を戻すと……赤が三個、白が二個だ。つまり分子は赤が三、白が二になる」

「うん。でも問題は赤玉が三回以上出る確率でしょ。なら白を求める必要ないでしょ」

「そう。だけどその確率を求めるには赤玉と白玉の各々がでる確率を求めなきゃならないだろ」

「うん」

「そしたら、赤玉の五分の三が三回、白玉の五分の二が二回出る確率と、赤玉の五分の三がが四回、白玉の五分の二が一回と、赤玉の五分の三が五回出る確率を求めたらいい」

「うん。でも、それって全部求めなきゃならないんですか? 最初のやつだけでいいんじゃあ」

「いや、それは違うんだ。この場合ありうる確率をすべて求めなきゃならないんだから」

「えっと……赤玉が三回以上出る確率だからですか?」

「ああ、そうだ」


 まあここら辺の話は感覚的にわかりにくいこともあるだろう。確率は身近に見えて身近には思えないからなあ。


「で、この確率はまず五分の三の三乗×五分の二の二乗かけて、五回中三回出る確率だから5C3をかけるというわけだ。でつぎは」

「先生、その5C3の定理がよくわからないです」

「それは普通に数の合計が五だろ、で、赤を三回出さなきゃならないだろ。それだけのことだ」

「なるほど」

「まあといてみろ」


 俺は練習問題を指差す。


「はーい」


 そして俺は裏で別の問題を解く。


「解けました!」

「ちょっと待ってよ」


 俺はキリがいいところまで問題を解いて、莉奈のところに行く。


「合ってるな」

「やったー!」

「じゃあ次はこの問題だな」

「はい!」


 やる気が出てると教える方も楽だな。


「これは条件付き確率だな」

「そうですね」

「これはまあ、そこまで難しい話じゃないと思う」

「そうですか?」

「ああ、たぶん」

「たぶんって言われたら怖くなるんですけど」

「まあ、とりあえずだ。この練習問題、この問題は賛成と反対の問題だ」


 俺はそう言って練習問題を指差した。


「これは、選ばれた一人がAに賛成の時にBにも賛成の場合の確率を求めればいいんだ。そしたらまず分母から考えよう」

「うん」

「分母はまず全体の数となるわけだからAに賛成でBにも賛成な人と、Aに賛成でBに反対の人の数を足していったらいいんだ」

「それってAに賛成な人の総数ってことですか?」

「ああ」

「それで次は分子を考えるとすると、これは答えとなる数字となる」

「どういうことですか?」

「今までの数学と同じなんだよ。全体の数つまりAに賛成の人でAにもBにも賛成の人を割るってことなんだ」

「なるほどね。つまり赤玉+白玉 分の赤玉と同じようなことってことだよね」


 莉奈のやつ、俺の言いたいことを取りやがって。だがまあ先に会えるってことは確率がわかって来たということなんだけどな。


「ああ、すると答えはこうなる」

「なるほど、さすが前川優斗大先生」

「ああ、ありがとう。じゃあ次はこの問題だな」


 俺は大先生という言葉を無視して進める。


「はい」

「この問題は青と白の数字が書かれた札が入っている中、青色の札を引いた時に、それが偶数となる確率だな」


 これも教科書レベルの問題だ。


「うん」

「これは、思っているより簡単なんだ。まず分母なんだけど、これは青色の札を引くことが分かっているから青色の札の総数である七なんだ」

「つまり、前提条件が分母になるってこと?」

「その通り、で分子の数字は青色の札の中で偶数になる確率。つまりさっきと同じように分母が前提条件で分子が求めたいもの。という構図になるんだ」

「なんだ、さっきのが分かったら、これも同じ感じなんだ。なるほど」

「なあ、ふと思ったんだけどさ」


 俺が一旦会話を止める。


「何ですか?」

「お前、呑み込み早くね? 俺はもう少し莉奈に理解させるのに時間かかると思ってたんだけど」


 本来思ってたのでは、莉奈は確率とか全然分からなすぎてさっきみたいに俺に泣きつくと思っていたのだが。


「私が天才なんじゃない?」

「そうだな、じゃあお前のその頭脳が腐らないように、もっと勉強し続けるか」


 このまま莉奈には本当の天才になってもらわないとダメだ。大学に行ける為にな。


「んげ」


 莉奈は明らかに嫌そうな顔をする。


「何だよその嫌そうな顔は」

「仕方ないじゃないですか。勉強嫌いなんですし」

「じゃあ今日も楽しくないってことか?」

「別に楽しくないってことはないですよ。まあ楽しいかって言われたらわかんないですけど」

「そうか」


 そして数秒の間を置いて。


「じゃあ次やるか」


 俺は提案する。


「せんせー。休憩が欲しいです」

「ならこの問題やってからな」


 そして俺は問題を莉奈に手渡す。

確率は得意でした。計算が楽しくてね。六の六乗とか計算するのが好きでした。

でもたまに難しい問題出た時は答えの出し方を考えるのが嫌になってましたけど笑


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