第三十六話 話し合い
「さてと、これからどうするか?」
俺は三人に聞く。せっかくの再開なんだし、もう一つぐらい行きたいところだ。
「まあせっかく来たんだし、なんか行きたいね」
明菜が腕を上で組みながら言う。
「そうだな、でも優斗お前金がないんだろ?」
俊が俺の方に振り返って言う。
「私が奢りますから大丈夫ですよ」
「もはやお前が俺のお金をすべて払ってないか?」
「ホストに貢ぐのに比べたら安いですし」
「まさか貢いでるんじゃねえだろうな?」
「貢いでませんよ、私は優斗くんにしか貢いでませんし」
「そうか」
「なんか羨ましいな、俺にも貢いでくれないか?」
よくあんなことがあったあとに言ったな。
「貢ぐわけないでしょ」
そりゃあそうなるだろ。
「そんなこと言わないでさ」
もしかして、常識という二文字なくしたんかな。仕方ない、止めてやるか。
「おい、そこまでにしとけ。しつこいぞ」
俺は俊の肩をつかんで言う。
「しつこいか?」
「ああ、しつこい」
「よく言ってくれました優斗くん。お礼にはぐしてあげます」
そう言って莉奈は俺にはぐをしようとする。というかもうしてる。正直言って恥ずかしい。
「お前、まさか自分を偽らないって羞恥心を捨てるということなのか?」
「もちろんですよ、まあ私の羞恥心ではなく優斗くんの羞恥心の話ですけどね」
はあ面倒くさいことになりそうだな。
「嫌われたらどうするかとか考えたことないのか?」
「毎日考えてますよ。その場合私はまず家に帰って布団にもぐって泣きまくります。そしてお母さんが来ても泣き続けてご飯だよって言われても無視し続けて、そして数日間学校をさぼります。そしてお母さんに」
「もういい、もういいから。その先は絶対悲惨な最後になる未来しか見えないから」
俺は慌てて莉奈を止める。俺はそんな悲惨な未来予想図を聞きたくない。
「これからが本番ですのに」
「なあ、また俺たち忘れてないか?」
俊のその言葉に、俊の斜め後ろにいた明菜が頷く。
「すまない」
俺は謝る。莉奈がいるとすぐ、イチャイチャされてしまう。
「まあいいけどな、お前らがそんな感じなのはさっきのハンバーガ屋さんで十分わかったしな」
「おう、いつもこんな感じだよ」
そして俊を先頭に俺たちは再び歩き出す。
「てか、まだ目的地を決めてないじゃねえか」
二〇メートル程度進んだところで俺はツッコむ。俺たちは目的もなく歩いていたのだ。
「確かにな。どこに行くか」
俊が俺の話に同意する。
「てか、お前が最初に歩いてたよな」
「何も考えずに駅まで歩いてた。すまん」
「でどうするか」
「ボウリングとかは?」
明菜が提案する。
「時間あります?」
莉奈が聞く。確かにもう四時を回っており、ボウリングをしたら夜ご飯の時間までに帰られるかどうかわからない。
「ギリギリ行けるか?」
俊が言う。
「でもまあそんなリスクを冒さなくてもいいんじゃない?」
「意外だな、明菜だったらもう少し遊びたいというと思ってたんだけど」
「それを言うなら俊じゃない?」
「いや、俺は明菜が途中参戦だからもう少し遊びたいんかなって」
「ならいいところを知ってるぞ」
俺は話に割り込む。
「何だ?」
「漫画喫茶」
「おい、お前そこはひとりで行け」
「なんでだよ」
思い切り否定された。
「中学の時にもそういうところあったよな。何かそう言うオタク趣味っぽい感じのやつを人に知らないうちに強要するやつ」
「別にマンガ読むことはオタクとかじゃないと思うけど」
「おい、明菜は俺の味方じゃないのか?」
「別に私は最初から俊の味方じゃないんだけど」
「ひどいな」
「私はいつでも優斗くんの味方ですからね」
「おう、ありがとう」
たしかに莉奈だけが俺の味方だ。
「で、俺の提案はあっけなく撥ね退けられたわけだが、ほかの人の意見は?」
「私も漫画喫茶で」
「それはあいつが嫌らしいから」
俺は俊を指さす。
「指さすなよ」
「悪いな」
「で、どうする?」
「なんだろう、バッティングセンターとかは?」
俊が提案する。
「私はあんまり運動したくないんですけど」
「私もー」
女性陣が嫌らしい。
「なんか難しいな」
「ああ」
「もう帰るか?」
俊がため息をつきながら提案した。
「それしかないのかな」
「あ、でも短時間で行けるとこあるよ」
莉奈が提案する。
「どこだ?」
「公園」
「いい年してか?」
「うん」
「運動嫌って言ってなかったか?」
「それとこれは別だよ」
「どういうことだよ」
「俺は公園いいぞ」
俊は莉奈の意見に同意する。
「まあ俺もいいけどよ」
「明菜は?」
「わたしもいいよー。でも公園で何するの?」
「鬼ごっことか?」
「お前な、それは子どもすぎないか?」
「いいじゃん、初心に戻ろうよ」
「初心に戻りすぎだろ」
「いいじゃん、鬼ごっこしようよ」
明菜が鬼ごっこに乗っかってきた。
「俊は?」
「俺はもちろんいいぞ」
「はあ、反対なのは俺だけか」
俺は自慢じゃないが、運動が苦手なのだ。完全に誰も捕まえられない可能性がある。
「いいじゃないですか。やりましょうよ」
「分かったよ」
結局鬼ごっこをやる羽目になりそうだ。




