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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第三十三話 俊

 俺たちはカラオケが終わり、カラオケの店を後にした。ちなみにお金は有言実行というわけで、莉奈が全額支払ってくれた。


「楽しかったですね」

「まあな」

「で、次どこに行く?」

「まだ三時ですからね」

「とは言っても俺にそう言うアイデアがないんだよなあ」


 普段あんまりお出かけしないし。


「私もですよ」


 莉奈はそう言って考え込む。


「あ、そうだ! 映画とか行きません?」

「今から観れるか?」

「頑張ったら見つけられますよ」


 そう言って莉奈はスマホをいじる。


「無いです」


 俺は莉奈のスマホをそっと覗き込む。すると目ぼしい映画は大体席が埋まっているか、席がバラバラでしか予約できない状況だった。


「だったら映画は諦めた方がいいな」


 断念しよう。面白くない映画を見るぐらいだったら家でゴロゴロしてた方が良いというのが俺の信条だ。


「おーい」


 向こうから謎の声が聞こえて来た。誰の声だろう。


「おーい、聞こえてたら返事してくれ優斗」


 俺指定で声をかけて来た。本当に誰だ? 少なくともクラスメイトでは無い気がするけど。


「おーい」


 三度声をかけられる。俺はよく考えるとこの声を聞いたことがある。たが、そんなわけがない。そんなわけがないと俺は何回も頭の中で反照する。


「よ!」


 ついに肩を掴まれた。こうなっては俺は振り向くしかない。


「元気にしてたか優斗」

「あ、ああ俊」


 俺は返事をする。前原俊まえはらしゅん、俺の中学時代の友達であり、彼女関係の話でもつれて疎遠になったまさにその人だ。


「俊さんって?」


 莉奈は聞く。


「前に言っただろ、俺の中学時代の友達って」

「そうそう、その通りだ」


 俺が言い切る前に俊が言い切った。


「しかし本当に久しぶりだな」

「ああ、本当にな、まさかあの優斗に女友達が出来てるなんて」

「女友達ではありませんよ、彼女です」


 莉奈は訂正した。


「そうか、まあ俺も彼女いるしなあ」


 もっと驚くと思ってたのに、思ったよりも早く受け入れた。


「あのあと彼女とはうまく行ってるのか?」

「ああ、もちろんラブラブだよ」

「でも今日は一緒じゃないんだな」

「いつでも一緒にいるわけにはいかないだろ」

「そんな、カップルはいつでも一緒にいるものじゃないんですか?」


 莉奈は自分の考えを言う。


「優斗、お前の彼女怖いな」

「あ、ああたまに困ることがある」


 安心してくれ、俺もその考えは間違ってると思う。


「優斗くん、何か言いましたか?」


 莉奈が追及してくる。


「あ、いや何も言ってないよ」

「怪しいですね」

「そんな疑わなくてもいいじゃないか」

「まあそれもそうですけど」


 ふう、なんとか追及を逃れたか。


「しかし、二人の馴れ初めを教えてくれ、あの優斗が彼女なんて今も信じられない」

「ぜひ教えてあげましょう」


 莉奈お前、それ黒歴史になったんじゃなかったのか? と俺は驚く。



「まず私が手紙で放課後に呼び出したんですよ、それで告白したんです」

「今の時代に手紙か、あんたもずいぶん思い切ったな」

「え、時代遅れですか?」


 ほら、言わんこっちゃない。


「あー、すまんな時代遅れっていうつもりはなかったんだ」

「そ、そうですか」

「すまんな」


 俊は素直に謝る。


「で、それで家に突入して」

「初日で家に行ったのか!? 大胆だなぁ」



「いえ、優斗くんが誘ってくれたんです」

「あの優斗が!?」

「はい」

「それは驚いたな」

「ちょっと待て、俺はただ、あそこで話してるのもよくないと思って誘っただけだからな」


 俺は急いで訂正を求める。ゆっくり話せるところがどこかってなって家になっただけなのだ。


「それはなんか狙ってたんじゃないの?」

「なんか久しぶりなのに、いきなり近くないか?」


 俺はさっきから疑問に思ってた。俺たちは喧嘩別れをしたはずなのに、そんなイベントがなかったかのように俊が振る舞っているのだ。別に俺は俊のことが許せない訳ではない。ただ、疑問なだけだ。


「そうか? 久しぶりの再会だぞ、近くないといけないだろ」

「でも半分喧嘩別れみたいなものだし」


 俺は思っていることを正直に言う。


「まあそうだけどよ、どんな感じで喧嘩したんだっけか」


 俊は聞いてきた。喧嘩してたことすら忘れてたのか?


「たしか、俺がキレたんだっけ」


 俺はその時のことを思い出しながら言う。


「そうそう、あの時のお前怖かったからな」


 怖かったらしい。


「そんな怖かったか?」

「ああ、怖かった」

「ちょっと私を外さないでくださいよ」


 莉奈が入ってきた。どうやら自分の混ざらない話になって不満らしい。

「ああ、悪かった」

「どこか行こっか? せっかくの再会なんだし」


 俊が軽い口調で誘う。


「だったら私、ハンバーガー屋さん行きたいです」

「俺金ないぞ」


 俺の全財産はもう一五〇〇円しかない。


「ポテトでも食べてたらいいじゃないですか」

「そうは言われてもなあ」


 せっかく行くんだったらポテトが食べたい気持ちだ。


「ならば私が奢りますよ」


 莉奈がまだ奢ろうとしてきた。


「なあ、服も奢ってもらって、カラオケも奢ってもらって、俺奢られすぎじゃね」

「はい、どんどん奢らせてください」

「なんか俺がダメ人間すぎじゃね」

「なんでですか?」

「すぐ人に奢らせるっていう意味で」

「私がしたいだけなんでいいですよ」

「それ前にも聞いたぞ。とにかく今回は俺のお金で払う」

「別にいいのに」


 これ以上奢られてたまるか。奢ってもらいたいけど、プライド的にもうダメだろ。


「お二人とも、俺のこと忘れてない? イチャイチャしすぎだろ」

「すまんな、こちとらまだ付き合って四日なんだ」

「はあ、まだ四日目? それにしては仲良すぎだろ」

「仕方ないだろ、こいつのアプローチが凄いんだから」

「というか早くいきません?」

「あ、ああそうだな」


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