第二十三話 ゲームセンター1
「着いたー」
俺たちは市内で最もで大きいショッピングセンターにやってきた。うちの近くのショッピングモールには多くの店の中の一つにゲームセンターが置いてある。おそらく、買い物の途中で子どもに遊ばせるためのものだろう。
「優斗くんこれやりませんか?」
「これは、ええと太鼓の名人か」
「そう、私これを優斗くんとやりたかったんですよね」
「じゃあやるか」
と、曲を選び始める。
「私この曲がいいです」
そう言いながら莉奈は曲を選んだ。その曲の名前は「優しい君のためのものたちよ」という題名だった。
「俺はその曲全く知らないんだよ」
「だって、この曲好きなんですもん」
「でも互いに好きな曲にしないと俺分からないし」
そもそも知らない曲で俺はノれるのだろうか。
「なら、二曲目は優斗くんの好きな曲にしてください」
「そんなこと言われてもなあ」
「えへへ」
そんなことを言いながら莉奈は無理やら曲を選ぶ。
結局莉奈が選んだのは、いわゆるJ-popと言われるような曲だった。莉奈がそんな曲を聴くなんて少し意外だ。なぜか莉奈にはそんなイメージはなぜか無い。しかし、何が好きかなんて人それぞれであるし、別に構わないと思う。ちなみにこんな曲はアニソンしか知らないような俺が、知っているわけがない。
「これ、難しくないか?」
俺はそう莉奈に言う。実際何とか叩くので精いっぱいだ。普通に難しすぎて二つに一つは叩くのをミスってしまう。
「そうですか?」
「俺この曲知らねえんだよ」
「それはさっき聞きました」
「そういう話じゃなくてだな、知らない曲を叩けるわけないだろ」
俺は必死に叩きながら文句を言う。リズムが全然わからない。
「そうですかね、この曲結構簡単だと思うんですけど」
「簡単なわけがねえだろ」
「優斗くん、喋っている暇あるんですか?」
「ねえよ」
そんな暇はあるわけがねえ。俺はただ文句が言いたいだけだ。
「はあ、やっとこの地獄が終わった」
「地獄って言わないでください」
結果は莉奈がクリアに成功したが、俺は全然ボロボロだった。当然ながら半分も叩けていなかったのだ。
「さあ、二曲めを選んでください」
ようやくご褒美タイムが来た。このためにこの地獄を耐えてきたようなものなのだ。
「うーんそうだな、この曲にするか」
その曲とは、有名なアニメソングである「君がための特別な物語」だ俺が中三の時に軽く流行った曲であり、有名な異世界系アニメのオープニングテーマでもある。
「私、この曲知らないです」
「莉奈、この曲知らねえの?」
驚いた、この曲は人生で自分の意志以外でも一〇〇回は聞いたことがあるし、自分の意志で聞いたのも含めたら一〇〇〇回はくだらないだろう。それぐらい聞いているのだ。だからこそ驚きの感情と共に、少し悲しみを感じた。莉奈はこの曲を知らないのかという。
「仕方ないじゃないですか、私アニメ見ないですし」
「でもこの曲は一般教養だろ」
「そんなこと言ったらさっきの曲だって一般教養ですよ」
「いや、本当にさっきの曲は聴いたことねえんだよ」
莉奈のさっきの曲って一般教養なの!?
「むむむ」
「そんなこと言ってないで、莉奈始まるぞ」
実際もう選択するだけだったが、もう曲選択の制限時間が二〇秒を切っていた。
「はーい」
「ちょっと優斗くん、難しいじゃないですか」
「そりゃあ難しいぞ、俺にとっては簡単だけどな」
「追いつくので精一杯ですよ」
「俺の一回目の時の気持ちを味わったか」
結果は俺がクリアの上の師範クリア、莉奈が普通のクリアだった。
「なんでお前クリアできてるんだよ」
俺は突っ込む。本当にこの曲知らないで、その出来なのか? 俺はあんなにボロボロだったのに。
「当たり前じゃないですか、私がどれだけの時間このゲームやっていると思っているんですか」
「それは知らんが」
「知っていてくださいよ、カップルじゃないですか」
「すまん、これに関しては意味が全くわからん」
莉奈、相変わらず謎理論すぎないか? 莉奈のこういう理論には慣れてきたつもりだったが、三日かかってもまだ慣れていないようだ。
「まあそれは置いといて、三曲目何にします」
莉奈が急に話を変えてきた。さっきの問題の答えが気になるところだが、まあいい。
「互いが知っている曲がいいだろ、これとかか?」
去年の夏にとあるバンドがリリースした、ラブソングである、「ネックレス」を選択した。
「ああ、その曲なら知ってますよ。去年めっちゃ流れてましたから」
「じゃあこの曲でいいか?」
「いやです」
「嫌なの?」
「だってこの曲あまり好きじゃないですし」
「なんでだ?」
「流れすぎなんですよ、さすがに飽きますって」
まさかの理由だった。確かにテレビ番組で何回も流れていて、五〇回以上は聞いていた気がする。
「じゃあこの曲は?」
俺は今度は国民的アニメであり、毎週放送されている長寿アニメの曲である「君の勇気のために」を選んだ。
「ああ、この曲なら知っています」
「じゃあこの曲にするか」
二人で太鼓をどんどこ叩いていく。当然この曲は俺の得意な曲でもあるし、気持ちよく叩いてるが、莉奈はレベルが違う。
莉奈も知っている曲だからか、ほぼリズムを外さない。その技術は正直言ってすごい。一曲目の時から思っていたが、なぜこんなにもリズムを外さないんだろうか。当然プロレベルとは言わない、俺がネットで見たことのある人たちはみんなタイミングを完璧に合わせて最、高のタイミングで叩いて最高得点を目指しているのだ。さすがにそんな人たちと比べてしまったら見劣りしてしまうが、アマのほうではうまいほうだと思う。
「ハアハア、やりました三百九十六コンボです」
三百九十六コンボ、つまり、ほぼミスっていないと言うことだ。こいつに勝てるわけがねえと思った。どれだけこのゲームをやりこんでいるんだよ。ちなみに俺も師範クリアは達成しているが、莉奈はレベルが違いすぎる。
莉奈さすがに上手すぎですね。どこでその腕を手に入れたのか。




