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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第151話 帰路

 

 その帰り道。


「ちょっと今日は別の道から帰りましょう」

「別の道?」

「ええ」そして莉奈は俺の手を取り、「こっちです」と案内してくれた。


 そこは、大きな川のふもとだった。


「ここは?」

「祭りの会場です」


 ここで莉奈が言う祭り。

 そう、野球関連のはずだ。


「てことは」

「そう言う事です」


 莉奈の言うそこは、すでに大盛り上がりだった。そう、それはまさに、お祭り中のお祭りだ。

 しかも見た感じそれなりの数の警備員がいる。

 警備員つまりそう言う事なのだろう。


「なんか柄が悪いな」

「いいじゃないですか。年に一回の祭りですし」

「その言い方だと毎年優勝してるみたいじゃん」

「いえ、優勝自体は16年ぶりですよ」

「それ、ほぼ俺が生まれた時くらいじゃねえか」


 つまり、優勝したというのは実に珍しい事態だったらしい。

 つまり俺は珍しい優勝を経験したという事なのか。


 応援歌が聴こえる。今日一度も聞いていない物だ。


「これは誰の応援歌だ?」

「これは、千葉の球団の応援歌です」

「え、ランダリーズじゃないの」

「はい、こうやって違う球団の応援歌を歌う事もあるみたいですよ」

「ほー」


 なるほど、そう言うケースもあるのか。


 そして応援歌が変わった。


「これは?」

「これはまた違う球団の歌ですね」

「いや、この歌聞いたことがあるんだけど」


 確か子供向けアニメの曲だったはずだ。


「そりゃそれもチーフですからね。ランダリーズでも、実在の曲をモデルにしてる応援歌もありますよ」

「そう言うものなのか」


 しかし、もう優勝が決まってから4時間たっているはずだ。なのに、今もこんなに騒いでるの。

 体力無限なのかな、と思った。


 とはいえ、皆それなりに楽しそうだ。

 俺も見てて、正直気持ちがいい部分もあるのだから。


「ん」


 人の気配がする。いや、それは当たり前だ。今言いたいのはそう言う事じゃなくて、

 こちらに近づいているという事だ。


 今オレと莉奈は軽く離れている。莉奈がぶらぶらと俺から離れて行ったからだ。

 俺は莉奈の元にかけていく。


 こういうお祭り騒ぎの時、お酒を飲む人が増える。そして、お酒を飲んでいる人は変な人になる可能性がある。


 その最たる例なのだろう。


 俺は駆けだす。

 莉奈に手を触れさせない。

 今もその男は莉奈の背後に迫っていく。


 俺に出来る限りの全速力を。

 兎に角走っていく。


 そして――


 その男は莉奈にぶっ飛ばされていた。


「優斗くん、大丈夫ですよ」

「いや、お前大変そうだったじゃねえか」

「大変でしたね。でも、もう大丈夫です」


 そう、にっこりと笑う莉奈に俺は軽くあっけにとられてしまった。


「莉奈、お前凄いな」

「甘く見て盛られたら困りますよ。背後に酒の匂いがプンプンとしたらさすがの私だって気づきますよ」

「確かに甘く見ていたな」


 前に、莉奈がナンパされた時も、結局莉奈が何とかしてたし。


「もうっ!!」


 莉奈が俺の背中を叩く。

 しかし、莉奈。

 最近よくナンパされるよな。

 確かに最近莉奈は可愛い。


 いや、元からかわいかったが、最近はナンパされることが増えてきている。

 そしてそのたびに、ちゃんと莉奈を守り切れている、だなんて思っていない。

 莉奈が自分で解決してしまっている。


 彼氏失敗だな、と思った。


 そんな俺の手を取って莉奈は歩いていく。

 そのまま様々な会話をした。

 周りの人たちの様子や、その他さまざまなことを。

 中には修学旅行の話も含まれている。


 その帰り道はとにかく楽しかった。

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